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内視鏡技師の実際と取り組み #1

2021年4月からのiryoo.comのご利用者「北海道消化器内視鏡技師会」の佐藤会長にお話しをお聞きしました。第一弾では「消化器内視鏡技師」と「北海道消化器内視鏡技師会の取組み」について教えていただきました。

消化器内視鏡技師とは

–––– 最初に「消化器内視鏡技師」について教えてください。
「消化器内視鏡技師」という制度は国家資格ではなくて、「一般社団法人日本内視鏡学会」が定める認定資格です。私は「看護師」ですが、看護師には「正看護師」と「准看護師」の2種類あります。前者は国家資格で、後者は都道府県が認定する資格です。私の場合、准看護師になってから、後に正看護師になりましたが、最初から正看護師になるケースが多いです。消化器内視鏡技師が保有する国家資格としては、看護師の他に臨床工学技士や臨床検査技師・診療放射線技師などがあります。

国家資格があり、都道府県資格があり、更に学会認定資格があるとなると、ちょっとややこしく思われるかもしれませんね。では、看護師の資格を持つ医療従事者が更に「認定資格」を持つと何をできるようになるのか? 例えば、手術の助手ができるようになります。「医師二人」で手術せねばならないところ、「医師一人と内視鏡技師一人」の組み合わせで手術や治療ができるようになります。つまり、医師の右腕となれるわけです。

–––– 手術においても活躍されるのですね。人間ドックで胃カメラの検査を受けた経験がありますが、消化器内視鏡技師の方と接点があったのですね。
正確には「上部消化管内視鏡」です。口から喉を通り、食道・胃・十二指腸までを検査します。一方、肛門から挿入し、直腸から結腸もしくは回腸末端にかけて診断・治療を行う器具は「大腸内視鏡」です。何れもカメラを操作する事ができるのは医者に限られます。内視鏡技師は直接操作できないのです。ところが、内視鏡検査・治療において注射や電気メスのような道具を使う場合、医師はカメラを持っているので、一人で全て操作する事はできません。ここで、内視鏡技師が活躍します。内視鏡検査・治療は職種の垣根を超えたチームワークが必要なんです。

士別市立病院内視鏡室内にて

消化器内視鏡技師の必要性


–––– なるほど、まさに医師の右腕ですね。非常に高度な知識や技術を身に着ける必要があるのでしょうか?

はい、その通りです。消化器内視鏡技師は学会認定資格ですが、検査・治療におけるテクニシャンでもあります。内視鏡はクリニックから大学病院まで幅広く使用されていますが、医師のみの力では内視鏡医療は成立しません。テクニシャンを養成することで患者の安全・安楽が担保されます。

消化器内視鏡技師の業務は、内視鏡の洗浄や消毒(感染症の勉強も必要)、何十とある機器の構造を理解した上での点検・メンテナンス、診断や治療に必要な物品や器具の準備・組み立て・操作、前処置(薬の投与や麻酔)、患者と家族への対応(看護)、データ集計と管理等、多岐に渡ります。特に治療時には100種類ぐらいある器具(電気メスや縫合器、注射・ガイドワイヤー・バルーン・ステントなど)の操作をする必要があり、この分野のプロフェッショナルといえます。

ちなみに、私が勤務する士別市立病院の看板は「内視鏡センター」です。2009年には同センターをリニューアルし、2015年度・2020年度には最新の機器に更新しました。難度の高い治療を行えることを目指し、全国屈指の著名な医師達も非常勤医として患者様の検査・治療にあたっています。
そして、私のような「消化器内視鏡技師」の認定資格の保有者、もしくは目指す人が集まっている団体が「一般社団法人日本内視鏡技師会」です。また、その北海道支部を「北海道消化器内視鏡技師会」と呼んでいます。

–––– その「北海道消化器内視鏡技師会」の責任者が佐藤会長でいらっしゃるのですね。活動内容について教えていただけますでしょうか?
消化器内視鏡技師の認定資格の取得には書類審査と筆記試験に合格する必要があります。受験の要件として「単位」を集める必要があります。更新の場合も同様です。単位を取得するためには「研究会への出席」や「講義の受講」が必要になります。

北海道消化器内視鏡技師会では北海道内において、単位取得可能な研究会や講義を開催しています。また、筆記試験に合格するには相応の知識が必要になります。医療は年々進歩していますので、会員に対して時代に合わせた新しい知識を学んでもらうために講習会を開催しています。

講習会のオンライン開催

–––– 研究会・講義・講習会は年間に何回実施されているのでしょうか?
北海道の場合、年間4~5回です。例年、4月中旬に定期総会と合わせて「機器取扱講習会(基礎編)」及び「医学講義」を開催しています。2023年度では4月15日(土)に札幌医科大学を会場としてハイブリッド形式で開催します。

夏には札幌以外の会場で「機器取扱講習会(基礎編)」や「パネルディスカッション」を開催しています。2022年度は室蘭市内で開催しました。2023年度は8月5日(土)に函館市内で開催します。秋には「技師会研究会」を開催します。研究会では会員から「一般演題」を募集し、発表してもらっています。「症例研究会」や「施設紹介」も行います。例年、最も参加者が多い会です。そして、冬に「機器取扱講習会(実践編)」と「医学講義」を2日連続で開催しています。
何れも開催日にリアルタイムでiryoo.comによるライブ配信を行います。また、会期後のオンデマンド配信においても同じプログラムを受講可能です。

–––– iryoo.comをご活用いただき、ありがとうございます。次回のインタビューではiryoo.comのご採用に至った経緯や、良かった点・課題について教えてください。
はい、わかりました。

北海道消化器内視鏡技師会 会長 佐藤貴幸 様
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北海道消化器内視鏡技師会ホームページ


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