お姉ちゃんなんだから

身について離れない習慣。

お姉ちゃんなんだから。

物心ついた頃から、母は私に厳しかった。妹と弟には甘くても、私だけには異常に厳しかった。妹や弟が原因で喧嘩になったとしても、怒られるのはいつも私だった。何をやっても私が怒られる。正しくても正しくなくても。

両親が共働きだったせいもあってか、小さい頃から家事を手伝うのが当たり前だった。子供心に理不尽だと思うことがあっても、「お姉ちゃんなんだから」の一言で片付けられ、私の感情は関係なかった。甘えた記憶もなく、妹と弟のため、家のため、家族のためが当たり前になっていった。

いつからか、口うるさい母から色々言われることを避けたいがために、言われる前に全てをやるようになっていた。何を言われるか、怒られるか、見当がついてきた私は、前もって全てを行い、怒られないように、それを超えて褒められるように、先回りして行動するいい子ちゃんになっていった。

そんな私に対して、母は満足気だった。まるで自分の出来のいい作品を見るように…

怒られたくないという発想から生まれた「いい子ちゃん」としての自分。幼い私は、自分の感情を押し殺し、仮面を被って生きることをしばらく続けることになる。

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