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オタクが服を買おうとすると

当方はオタクである。

オタクは、服を買わなければならない、と思った。

長年着てきたシャツがいいかげん、ボロくなってきたからだ。


当方はオタクである。

しばしば、服が臭いと名指される属性である。

しかし、服の臭いで周囲に迷惑をかけるのは、実は私の本意ではない。

なればこそ、服を買わなければらない、と思った。

煮沸するより、買った方が早いと判断するだけの理性はあるからである。


当方はオタクである。

故に、服をどこで買えばいいのか、頓と見当がつかぬ。

ユニクロなるものが便利だと噂は聞く。

私も幾度となく利用してきた。

だが、オタクゆえの世間から斜に構える根性が耳元で囁くのだ。

ユニクロ被りするつもりか?

お前もユニクロを使う俗物なのか?

果たして、服をどこで買えばいいのだろうか?


こうしてオタクは身動きが取れなくなる。

服を買う必要性は感じている。

しかし、欲しい服がない。

そもそも欲しい服を探すための手がかりがない。

そりゃそうだ。最も便利なものを、自ら切り捨てているのだから。


果たしてオタクは、女性アイドルを頼ることにした。

彼女がインスタグラムに上げている写真にタグづけされたブランドで服を探すのだ。

もちろん、私は男のオタクだからウィメンズ服を買うわけにはいかない。

私は異性装をしないからだ。

そのブランドのメンズ服を、ZOZOTOWNで見てみる。

そして、その値段に驚愕する。


いや、お前高すぎるやろ。

オタクがいつも思い浮かべる、ありがちな感想に私も辿り着く。

オタクは、アイドルの君が稼いでいて嬉しいけれど、プチプラコーデしてみました、とかやってるじゃん。

なんかね、極端じゃない? ねえ。

と非難の声をあげたくなるが、より私を絶望させるのは、そのブランドが決して、ハイブランドではないということだ。

つまり、バレンシアガとかクリスチャン・ルブタンみたく、百貨店にあるようなブランドではないということ。

もっと、ショッピングモールとかに入っているような。


ここで私の、金銭感覚の世間とのズレを突きつけられる。

しかし、オタクが服を買うとはそういうことなのだ。

オタクは、服の世界を知らないから。

形状も、相場も、何もかもを。


そして私はいつも、ZOZOTWONで、セール品に手をだす。

あ、なんか40%オフとか言ってるぞ。

そんな舐めた理由で服を買う。

だから、わりとシーズンから外れた服ばかりがクローゼットに並ぶ。

オタク特有の、季節感のないコーディネートはこうして完成する。


オタクが服を買おうとしたとき、まず必要なコードが分からない。

オタク専用の美容室とか作っている場合じゃない。

オタク専用の、セレクトショップがあるべきなのだ。


そこでは店員は話しかけてこない。

そのホームページでは、可愛い女の子が、どんなふうに服を選べば良いのかを、数的根拠と共に示してくれる。

店員は、女性にするとストーカー被害とかのトラブルが起こりそうだから、それはトラブルを起こす客側が根本的に悪いのだが、ここは男性ばかりにしておこう。

もちろん、その男性店員は、ツーブロックゴリラではない。

そんな、オタクに優しいセレクトショップがあるべきなんじゃないだろうか。


うるせえ、わがまま言うな、と思った方。

あなたの感性は正常です。

これは、オタクの戯言に過ぎない。


というか、素直にユニクロ被りとか、ユニバレとか昔めいた言葉をほざかす、ユニクロを活用しておけばいいのだ。

エアリズムコットンオーバーサイズTシャツがオタクの味方です。

いやほんと、ユニクロさん。

さっきは悪口言ってごめんなさい。

やっぱり今年の夏もお世話になります。


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