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どついたるねん。

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きっと仕事のためにはならないでしょうが、暇つぶしにはなるかと思います。そんな、エッセイです。(2019/10/1〜2021/5/23)
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2019年12月の記事一覧

永野芽郁は9月24日、東村芽依は8月23日

若いときに顕著だとは思うが、誰かの振る舞いを真似るような経験は誰しもにあると思う。 ドラマの登場人物だったり、ミュージシャンだったり。 私の場合、それは岡田亨だった。 村上春樹に『ねじまき鳥クロニクル』という小説がある。三部から成る長編小説で、ほかの大作らと並び彼の代表作だ。 岡田亨はこの小説の主人公であり、語り手(「僕」)である。かつて法律事務所で働いていたが現在は無職であり、妻の久美子と一匹の猫と一緒に住んでいる。 つまり彼は専業主夫にあたるわけだが、私がその立

イブ・サン=ローランってなんの人!?

「トリ肉って何の肉!?」というテレビ朝日系列で放送されているクイズバラエティ番組がある。 Wikipediaによればレギュラー放送開始後に一度リニューアルを挟み出題の傾向もやや変わっているらしいが、要するに「平成=ゆとり世代は常識がない」と嘲笑するのが趣旨の番組だ。 私がある日、家に帰ってテレビをつけるとちょうどこの番組をやっていた。 悪趣味だなあ、と思いながら、BGM代わりにチャンネルを変えず点けたままにしていた。 司会の浜田雅功が良く通る声で問題文を読んだ。 「

休日のファッションどうすべきか問題

最近、会社に行くのが憂鬱で仕方がない。 元々、この会社が好きです! というタイプではなかったが、今年度に入ったあたりから特にひどく、その傾向は強まる一方だ。 その原因については思うところがないわけではないが、今回は特にそれは掘り下げない。 さて、この会社嫌い――仕事にやる気が出なくなるのは予想通りとして、ほかにも思わぬ弊害を私にもたらした。 会社に行くのと同じ服で休日を過ごしたくないという気持ちが、尋常でなく高まっているのだ。 ファッションに無頓着な私には、これはま

RADWIMPS知りません

私は、ポップカルチャーが好きだ。 SNSのプロフィールで「好き」だと言い張れるぐらいには好きだ。 好きでなければnoteは書かないし、「今回の一曲」もやらない。 しかし、会社での私のイメージはそういうのに明るくない人らしかった。 休日の過ごし方を訊かれ、図書館に行く、芝居を観ると答えたのがまずかったのだろう。 回答に窮して直近の土日に実際にしたことを述べただけだったのだが、毎週末通っていると誤解されたのかもしれない。 兎角、どうやらそこから私は「スカした奴」という

青春って感じじゃない

これは、私たちが高校二年生の頃の話だ。 体育の授業の後、私たちは教室に戻ろうとしていた。 汗で貼り付いた体操服が気持ち悪かった。グラウンドから砂埃の臭いがした。 渡り廊下へと続く階段をのぼっているとき、前田という男が言った。 「なんかさ、全然青春って感じしねえよな」 その芝居じみた――そして、だからこそ芝居では聞かないような――言葉に私たちは驚き、彼を見つめた。 「この生活はなんなんだよ。毎日は。俺たちの年齢ってのは、青春ってやつじゃないのかよ」 彼は、身振り手