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Youtubeで聴く"南"のオーケストラ 2.フィリピン
フィリピンは、カトリックの影響で早くから音楽教育が定着していたようです。1879年に、上海の租界で欧米からの植民者に娯楽を提供するために創設された、上海交響楽団の前身である上海公共楽隊も、フィリピンから音楽家を招いて発足しました。また、20世紀になるとアメリカに留学して作曲家になる方もあったようです。
現在もオーケストラへの需要はさかんなようで、マニラのオーケストラが各地を巡演しているほか、地方にもいくつかオーケストラがあります。また、カトリックと音楽の関係は現在も強く、カトリック系大学のオーケストラや教会のオーケストラが、聖歌の伴奏などに活躍しています。
①芸術音楽を多く演奏するオーケストラ
マニラ交響楽団 Manila Symphony Orchestra (MSO)
創立 1926年
音楽監督・首席指揮者 Marlon Chen (米籍台湾人)
正指揮者 Jeffrey Solares (MSO財団専務理事)
公式チャンネル
公式ウェブサイト
アジア最古のオーケストラの一つ、と誇るマニラ交響楽団は、2022年のアジア・オーケストラ・ウィークで来日しています。公式チャンネルに最新の演奏会やアーカイブ映像を多数アップロードしており、多くは西洋クラシックで、曲目も多彩です。ヴァイオリンの前田妃奈さんがヴィエニャフスキ・コンクール優勝記念世界ツアーの一環で行った演奏会の動画もあります。
ここでは、フィンランドの若手が登場した最新の動画を紹介します。
シベリウス 交響曲第3番
指揮 Sasha Makila
2024年5月4日
マニラ・フィルハーモニー管弦楽団 Manila Philharmonic Orchestra (MPO)
創立 1998年
創立者・音楽監督 Rodel F. Colmenar (比)
公式チャンネル
公式ウェブサイト
公式フェイスブック
2013年のアジア・オーケストラ・ウィークで来日しています。公式チャンネルの動画は少ないのですが、フェイスブックで見ると現在も活発に活動しています。ミュージカルに力を入れているようですが、ジャズ、室内楽、歌手のバックなど多様な演奏を行っています。
ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー
ピアノ Dr. Raul Sunico
指揮 Rodel F. Colmenar 2018年9月1日(創立20周年コンサートより)
フィリピン・フィルハーモニー管弦楽団 Philippine Philharmonic Orchestra (PPO)
創立 1973年(1982年に現在の楽団に改組)
音楽監督 Grzegorz Nowak(ポーランド出身)
公式フェイスブック (英)
CCPのウェブサイトにある紹介ページ
国立フィリピン文化センター(CCP Culture Center of the Philippines)に属するオーケストラ。2002年のアジア・オーケストラ・ウィークで来日しています。また、福村芳一さんが音楽監督だったこともあります。
フィリピン作品の演奏に力を入れていますが、地方公演では西洋クラシック小品とポップスを組み合わせたプログラムもあります。
少し前の映像ですが、20世紀フィリピンの作曲家の作品です。タイトルは自動翻訳だと、「山々にかかる月」といった感じです。
Lucio San Pedro: Ang Buwan sa Kabundukan
指揮 Gerard Salonga
2020年2月
セブ・メトロポリタン交響楽団 Cebu Metropolitan Symphony Orchestra
創立 2020年
公式チャンネル
セブ島にあるオーケストラ。公式チャンネルの動画は少ないですが、姉妹関係とみられるクラシック・ユース・オーケストラ(下記⑤参照)のチャンネルに最近の動画があります。ポップス、映画音楽と西洋クラシックをあわせた演奏会が多いようですが、地元のクラシック音楽の演奏家を結集するというねらいがある(創立を報じる新聞記事)とのことです。
ベートーヴェン 交響曲第1番(第1楽章)
指揮 Prof. Felicito Sacdalan
2020年1月11日(創立演奏会)
カガヤン・デ・オロ交響楽団 Cagayan de Oro Symphony Orchestra
財団理事長 Krenz Banzon Sabanal
首席指揮者 Horst Hans Bäcker
公式フェイスブック
ミンダナオ島北部の都市にあるオーケストラです。2023年10月にプロ化したようです。動画は個人がアップロードしたものが少ししかないのですが、フェイスブックによると昨年はオペラや、フィリピン・弦楽器教育協会とのコラボ企画などもやっているようです。
ブラームス・ハンガリー舞曲第5番
2023年5月23日
③宗教関係のオーケストラ
バラソアン・カメラータ・フィリピン Barasoain Camerata Philippines
マニラ近郊、ブラカン州マロロス市にあるBarasoain教会という、単に歴史的建造物というだけでなく、フィリピン独立に関わる歴史において重要な場でもある教会に属する合唱団と室内オーケストラです。州の歴史・文化芸術・観光局のレジデント・アーティストでもあるそうです。
ホルスト(パリー作詞) 「御名をほめたたえる歌声より」
2021年9月4日 マニラ、サン・アグスティン教会
⑤ユース・オーケストラ
フィリピン・ユース・オーケストラ Orchestra of the Filipino Youth (OFY)
2012年に財界人とピアニストのJovianney Emmanuel Cruzによって設立された非営利法人のAng Misyon, Incが運営するユース・オーケストラ。海外公演も毎年のように実施しています。公式チャンネルにある演奏動画は残念ながらほとんど抜粋です。
ショスタコーヴィチ 交響曲第12番「1917年」抜粋
2018年(カタール公演)
クラシック・ユース・オーケストラ Classic Youth Orchestra (CYO)
創立 2016年
創立者 Prof. Reynaldo Abellana
公式チャンネル
公式フェイスブック
セブ島にベースを置く、12~23歳で構成されるユース・オーケストラ。日本を含むアジア諸国、さらにはオーストラリアやチェコのオーケストラから招聘されたメンバーもいるとのこと。一部メンバーで構成するCOMS室内楽団は、2023年8月に東京の教会で公演しています。
ヴィヴァルディ 協奏曲「四季」
下記は「春」、以下リンク「夏」、「秋」、「冬」
ヴァイオリン Rey Abellana
指揮 Paul Gilbert Ramos
2024年1月3日
マニラ交響楽団ジュニア・オーケストラ Manila Symphony Junior Orchestra
創立者 Jeffrey Solares(マニラ交響楽団財団常務理事)
公式チャンネル
8歳から26歳までと幅広い年齢層のメンバーで構成されています。フル・オーケストラだけでなく室内楽、アンサンブルなども取り組んでいるようで、多くの動画が公式チャンネルにはあります。
モーツァルト 交響曲第40番
指揮 Darrell Ang
2023年2月18日
⑥大学オーケストラ
UP交響楽団 UP Symphony Orchestra(UPSO)
創立 2018年
音楽監督・指揮者 Josefino Chino Toledo(音楽学部教授)
公式チャンネル
公式フェイスブック
フィリピンを代表する大学、フィリピン大学音楽学部のオーケストラです。スローガンとして”Orkestra ng Bayan”(街のオーケストラ)を掲げており、芸術音楽だけではなくポップスや歌謡曲のアーチストとの共演にも力を入れており、また首都圏以外の島嶼部にもでかけて演奏会を行っています。なお、詳細な年次報告書が学部のウェブサイトに掲載されています。
フィリピン現代作曲家の、民族楽器と西洋オーケストラを融合させた作品です。
ROBIN ESTRADA: PALABUNIBUNYAN
指揮 Josefino Chino Toledo
2019年10月19日
聖トマス大学交響楽団 UST Symphony Orchestra
首席指揮者 Prof. Herminigildo Ranera(2020年時点)
公式チャンネル
公式フェイスブック
現存する大学ではアジア最古(Wikipediaによる)と言われる聖トマス大学(University of Santo Tomas)の音楽学部にあるオーケストラ。音楽学部も1945年開設という歴史があります。
公式チャンネルには10年前の動画しかないのですが、安倍圭子さんのマリンバ協奏曲”Prism Rhapsody”を演奏した動画があります。また、フェイスブックからは、現在の活発な演奏活動がうかがわれます。最近と思われる動画を、指揮者の公式チャンネルからお借りしました。
マルケス ダンソン第2番
指揮 Jedrick Itugot
演奏時期不明(2023年11月アップロード)
ブルー交響楽団 Blue Symphony Orchestra
創立 2008年
公式チャンネル
公式フェイスブック
楽団紹介パンフレットpdf
アテネオ・デ・マニラ大学ロヨラ・スクールの学生によって運営されるオーケストラ。2008~18年のあいだはプロの指揮者・ヴァイオリニストRodel E. Lorenzoの指導下にあり、現在もその支援をうけているとのこと。曲目はスタンダードやゲーム、ポップスなど。
ジョゼフ・コズマ 枯葉
2023年6月25日
とりあえず以上です。このほかSBCA交響楽団、Visayas Symphony、イロイロ室内管弦楽団、ダバオ市交響楽団などの動画もあるのですが、個人チャンネルだったり、最近の活動が確認できなかったりで省いています。新しい情報があればまた付け加えます。
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