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【Memory of Movies】第1章『バック・トゥ・ザ・フューチャー』との出会い

これまでの映画人生を振り返る回顧録のようなものを執筆したいと思い立ち、いまに至る。こんな、ごくごく平凡な人生を送る筆者の回顧録なんていうのは大したものではないが、お付き合いいただける読者がいてくれたら幸いだ。今回は、映画の魅力に初めて触れた瞬間のことを振り返ってみようと思う。

バック・トゥ・ザ・フューチャーとの出会い

筆者は現在、映画・海外ドラマを専門とするライターとしても、日々、活動している。この仕事を始めてから6年ほどが経過し、ありがたいことに、ある程度の生活はできるくらいの原稿料がいただけるようになった。
これまで数多くの映画を鑑賞してきた。足繁く劇場にも通い、自宅のテレビでDVDを鑑賞するのは毎日の日課である。映画や海外ドラマを観ていないといてもたってもいられなくなる、もはや中毒なのだ。ここまで映画が好きになったのはいつ頃からだっただろうか?と思い返してみると、あれは恐らく小学校1、2年生の頃からではなかったかと記憶する。当時の私は『ウルトラマン』や『仮面ライダー』といった特撮作品に興味を惹かれ、そのほとんどをVHSで視聴してしまい、子供ながらに新たな作品との出会いを欲していた。そんな折に、偶然近くのレンタルビデオ店に母と共に足を運び、手に取ったのが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』(1989)であった。なぜ「PART2」なのか?それは1作目が貸し出し中であったからだ。もともと母が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のファンであったことから「面白いよ」と勧められ、2作目ではあるものの、そんなのは子供の私にとっては関係なく、自宅へと戻り、お気に入りのビデオデッキにVHSを入れ、再生ボタンを押した。

車が空を飛ぶことに衝撃を受けた幼少期

あのユニバーサルスタジオのロゴが現れ、主人公のマーティ・マクフライがガレージを開け、新車の4WDを眺める。ガールフレンドのジェニファーが現れた矢先に、銀色のタイムマシンがゴミ箱やらなにやらを吹っ飛ばして突っ込んでくる。運転席から姿を現したドクが、マーティとジェニファーの未来にとんでもないことが起きていることを伝え、タイムマシンに3人は乗り込み、未来へと旅立っていく…というのが『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』の冒頭であるが、まず衝撃を受けたのは、やはりタイムマシンであるデロリアン、つまり車が空を飛んだということだった。
幼い頃から無類の車好きだった私は、ミニカーを買いあさり、道行く車の車種を言い当てることを得意としていた。そのため、空飛ぶデロリアンのあまりのカッコ良さに衝撃を受けたのだ。それからというもの、私は映画のストーリーはもちろんだが、空飛ぶデロリアンから目を離せなくなってしまった。そして、デロリアン型タイムマシンを開発したドクに強い憧れを抱くようになる。タイムトラベルを繰り返す主人公のマーティではなく、ドクに憧れたのだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』を観終えると、母の運転する車に揺られて、すぐさまレンタルビデオ店へと向かい、今度は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3』を借りた。「PART2」の本編終了後に流れた次回作の予告にいてもたってもいられなかったのだ。こうして、私の映画人生は幕を開けた。「PART2」→「PART3」→そして最後に「PART1」という普通ではない鑑賞順で『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズを鑑賞し終えた私は、ドクのような科学者になりたいという夢を抱き、自室の壁から壁にロープのようなものを張り巡らせ、そこをハンガーで滑るといった、「PART1」のクライマックスを想像した遊びにかまけたり、自作の次元転移装置を車に装備させたりと、半ば取りつかれたように『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の虜になってしまったのだ。
しかしながら、時代はすでに2000年を迎えており、小学校低学年の私の周囲には『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を知っている友人がいなかった。テレビでの洋画放送も当時はすでに全盛期を過ぎていたため、過去の傑作洋画に触れる機会というのも限られていたのだ。それでも私はめげずに『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がテレビ放送される際には、ひとり宣伝活動を繰り広げ、クラスメイトに布教していった。思えば、この頃から映画のことについて熱く語りたいという欲求があったのかもしれない。あれから20年余り、いまでは各メディアで映画の紹介をする仕事をしている。映画人生の原点である『バック・トゥ・ザ・フューチャー』がなければ、いまの私はいないと言っても過言ではないだろう。

Memory of Movies...
この作品をもしも鑑賞していなかったら、おそらく今とは全く違う人生を送っていたことだろう。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は、それほど筆者の人生に多大な影響を及ぼした作品と言えるのだ。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は映画好きになるきっかけをくれた作品であり、今でもマイベストランキング堂々の1位に君臨している、最高の映画である。

(文・構成:zash)



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