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愛犬『ラック』①

父が他界し、確か…その1年後に死んだ愛犬『ラック』。この犬との出会いから死ぬまでの間、たくさんの思い出があります。


そう、

家族になった動物は、たくさんの思い出を残してくれる。

笑い話から涙がちょちょ切れる話まで…。



言葉を発しない生き物だからこそ
こちらがたくさん想像し想いを汲み取る。


「動物に感情なんてあんの?」
「動物に想いなんてあんの?」

と思われる方…


「あると思います!」(←芸人:天津木村 風)



はい。

そして、我が家の愛犬ラックのエピソードを思い出しました。


ラックは捨て犬でした。ある日、家に帰ると母がニコニコしながら「お座敷の庭、見ておいで」と言いました。私と姉はドキドキワクワクしながら見にいくと、子犬が2匹居るではありませんか!

動物好きの姉はもう、大喜び。ベロベロ舐められながら芝生に這いつくばって遊んでいました。そして私はというと…

「知ってるこの子犬。会ったことあるもん‼︎」

と大人と姉に興奮気味で言いました。全く相手にされなかったけど、私は確信がありました。何度も何度も説明し続けたので今でも細かく覚えています。

小学一年生の時のクラスメートのゆみこチャンにの家に遊びに行った時、坂道をあがる手前の家の庭でお母さん犬と2匹の子犬がいて、ゆみこチャンに誘われて少しだけ遊んだこと。そして、子犬が良く似て居たけれど[鼻筋に白く線が入っている犬]と[全部茶色の犬]とゆみこちゃんと話していたこと。この数日後に、この2匹の子犬が我が家に来たことを。

今、言っていて、やっぱり信じて欲しくて興奮する(笑)


両親は、スーパーと宴会場を切り盛りしていたため、動物を飼うことはあまり積極的ではなかった覚えがありますが、「店の前にダンボールに入れられ捨てられていた」ことがインパクトが強かったのか、生き物を飼うということを決めたようでした。

そして、意外と張り切っていたのが父。
「そこまでいる?」ってくらい大きな犬小屋を作ったり、
「それって必要?」ってくらい長いリードをつけてあげたり、
「ええ⁉︎犬なのに?人間じゃないのに⁉︎」って言いたくなるような30〜40㎝くらいの骨付きの肉をあげたりと楽しんでいました。

母も本当は犬好き。だから、良く優しい眼差しで頭を撫でてあげていたし、父に怒られた時は我が子を慰めるように側にいた記憶もあります。

店から団地へ帰るとき、ラックはどうやって帰るのかというと…、父が運転する車を誘導するように前を走っていきます。そう、リードはなし。店の駐車場で、首輪からリードを外して「帰るよ」と言うと、団地の庭へ一直線。その走る後ろ姿をライトで照らしながら帰る…というのが日常でした。

けれど、時々、団地の庭へ一直線…ではなく、裏山へ一直線!という時がありました。父が

「ラック‼︎」

と大きな声で呼び止めても無視。友達がいるのか、山の中が楽しいのか、山の方へ入っていってしまう。翌日の朝には、何食わぬ顔で団地の庭にいて朝食をねだったり、夜中に水を飲む音がするから見てみると、ラックが帰ってきていたり…こう言ったことは時々ありました。
そして、ラックの脱走にはセットで[父の厳しいしつけ]が待っていました。母曰く、怒られた時に涙を流したことがあったそうです。それくらい、怒ると怖かった。(わかるわかる、分かるよラック)

けれど1度、翌日になても帰ってこなかったときがありました。私と姉は心配になり、忍者ごっこや落ち葉で剃り滑りをした山へ探しに行きます。

「ラック〜」「ラック〜」

と何度も呼び掛けます。けれど、帰って来ませんでした。すると数日後、学校から帰った私たちに母が「ラック帰って来たよ。見に行ってごらん」となぜか笑顔。

数日間帰って来なかったのなんて今までなかったのに、やっと帰ってきたのは嬉しいけど何で笑顔?と少し混乱しながらラックに会いに犬小屋へ…。

すると…


緑色のメガネをしているラックが。

違う違う、緑色のペンで顔に落書きをされたラックがしょんぼりして座っていました。私は帰ってきてくれたことに安心していると、母が

「お父ちゃんに怒られると思って、ラックは反省してんの。シッポも中に入っててね。お父ちゃんも、「今回ばっかりは」って怒る気満々だったんだけど、メガネ姿のラックみて笑っちゃって笑っちゃって全然怒れなかったの。だけど、ラックはずっと反省してて、おかしくておかしくて、お母ちゃんも笑っちゃった」

とエピソードを教えてくれました。

今だったら、動物虐待になるのかもしれない行為ですが、その時は「何て面白いことをする人がいるんだろう」「可愛がってもらって楽しくて帰って来なかったのかもね」と私たちは受け止めていました。


やっぱり、心があったかくなります。
動物とのふれあい、家で飼うことにした犬との生活は。

それから当時は、地域の人のつながりも濃かったということや、動物を虐待するというニュースやカモ鳥に矢が刺さっていたなんて衝撃的なニュース映像も見たことも聞いたこともなかった…、だから、動物と人が穏やかに触れ合っているイメージが強かった私です。だって、姉とムツゴロウさんのテレビ番組めっちゃ見てたもの(笑)


そうだそうだ、あんなこともあったな〜(爆笑)。


〜愛犬『ラック』②へ 続く〜