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留年しやすい遺伝子はあるのだろうか

前回書いた 亡くなった夫の1周忌の寿司屋の話の Noteの閲覧数が多くてびっくりしている。いやいや、ありがたい・・・

今日はその、寿司屋に一緒に行ってくれた息子の話。

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脳腫瘍で亡くなった夫は数字にめっぽう強かった。
一緒に買い物に行くと、トイレットペーパーの単価を計算してどの店が安いとか、以前あのお店ではいくらだったとか、歴史も好きだったので何年に何があったとか、とにかく数字にまつわることが得意だった。
時間も、9:51を適当に「10時だね」なんて言おうものなら、「いや、9:51ね」と言いなおすような人だった。
本のレシピで「具材を3センチに切る」、とあると本気で定規を持ってくるんじゃないかという緻密さで切るため、時間もかかり、若干面倒なところもあった(笑)

一方の私も一応理系の端くれではあるのだが、数学が大の苦手。
過去に請求書にゼロを追加して出して相手方からビックリされた位の経験を持つ超ずぼらな人である。
最近は恥ずかしいので、理系であることはネタでしか言わなくなった(笑)
ゆえ、夫は私から見ると尊敬に値する人だった。


その彼の血を引いたらしく、息子は大学では理系学部に進んだ。
厳密に言うと、数学は確かに強かったが国語が恐ろしく弱く、戦略的に理系に進学したのだが、そんなところも夫と似ていた。

何となく、理系に行くならそのまま大学院に行くもの、という先入観もあり。また、コロナ入学ゆえ、ようやくキャンパスに行くことが出来るのだから、6年行ってしっかり大学生活を楽しんでもらっても良いかな、と思っていた。

ただ、留年してもらっては困るので、単位計算だけはしっかりすることと、大学院試験を甘く見て落ちるとそこからの就職活動は大変なので甘く見るな、ということとは耳にタコが出来るほど口酸っぱく伝えていた。

何しろ息子はウルトラポジティブで楽天的な人。
親向けに送られてくる大学の成績は恐ろしく悪く(てか、大学も送ってこないで欲しいw)、でも、要領は良いし、ライバルがいたり、やりたいスイッチが入ると恐ろしいパワーを発揮するタイプだったので、単位数だけは口酸っぱく言うものの、大学院試験については温かい目で見守っていた。
⇒というと聞こえが良いが、要は放置していたww


その大学院試験の願書提出日。
親心で確認をすると、受験料の振り込みも完了したとのこと。
さすが、一人暮らしを経験して成長したなぁ~、偉いじゃないか、なんて、感慨深く思っていた。

その数時間後に、珍しく息子からラインが届いた。

「ねぇ、俺、院試受けられないかも」

まさかのメッセージに、何事かとあわてて電話をすると、

なんと、
願書提出に行ったところ、院試に必要な必須科目の単位数を満たしていないことが発覚した。どうやら、やっちまったらしい。

とのこと。

はぁーーー???
アホー!! 何やってんのよ!!
信じられないっ!
え、あれだけ単位計算は間違えないようにって散々言ったよね??
え、どういうこと?なんで?ありえないんだけど
はぁ??どーいうこと??

と、管理職や親が避けるべき「なんで?」を連発していた。
というより、そんな対外的なことを気にしている余裕はない。

いやいやいやいや、6年間大学に行くのがプランだったよね??
それって、留年して6年間じゃないから!!

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実は夫も留年をしているのだ。
彼はその数字の強さと要領の良さから緻密に単位数を計算し、単位数ギリギリで攻めていたらしい。
そして、とある楽勝必須科目(必ず単位が取れると思える科目)の期末試験は絶対合格していると信じて疑わず、事務所の合否発表の掲示板の張り出しを見ることもなく(メールも無い時代です、はい)、遊びに行ったらしい。

そして、ある日突然、卒業出来ないことを知った。らしい。

夫が亡くなった後、物持ちが良い(捨てられない)彼の遺品整理をしていたら、彼の両親あてに大学から送られてきた、赤いハンコ付きの手紙が見つかった。
「お宅の息子さん留年しましたからね。ご家庭内でのご指導をよろしくおねがいしますよ」ってやつだった。

それをゲラゲラ笑いながら写真に収め、この手紙を受け取ったご両親はどんな心境だったろうか、と想像しながら息子に「こういう風になったらダメだからね!私、こんな手紙もらいたくないからね!」と伝えていたのだ。

それが・・・涙

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ウルトラポジティブな息子は、「俺、実は就職したかったから、申し訳ないけど逆にモチベーションあがってるw」と翌日には元気に就職に向けて活動を始めていた。

私も、別に大学院がすべてではないし、息子がハッピーに生きているならそれで良いし、でもさ、なんだかなー、と思っていた。

ホントに、子どもとは、何歳になってもネタを提供してくれる存在だ。
何とも言えぬ心境であるwww







ね、こんなところ遺伝しなくても良いのだけど。
めちゃ笑えるでしょ。
もうね、この話、語り出したら止まらないくらい衝撃的、かつ面白かったんだよ。

会社は就職したばかりで、無駄話をあまりまだ出来ないんだけど。
あまりにもショッキングかつ面白すぎて、誰かに聞いて欲しくて、この話を会社の人にしたの。
で、オチで「実は夫も留年していて」って伝えたら
「そりゃ、パパさんは何も怒れないですね」って言われたの。

あなたが亡くなってること忘れてたみたいでさぁ。
そりゃ、家族状況なんて覚えてないだろうし、仕方がないんだけどさぁ。

複雑な気持ちになったよ。

いろいろ、どーしてくれんのよwww

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