「夫が亡くなりまして・・・」ふがふが

人が亡くなると手続きが色々あって、電話したり、出向いたり、色々ある。
同じ用件で色々なところに連絡をするのだが、話した後の反応がなかなか面白い。

大抵、普通に電話口でハキハキと「どのようなご用件でしょうか?」と聞かれる。
そこで、「夫が亡くなりまして」と言った瞬間、一瞬「ハッ」と息を飲むような間があり、それから声を一段低くして、ゆっくり目のスピードで「この度はご愁傷さまで・・・(ふがふが)」と言われ、こちらも同じく静々と「あ、ありがとうございます・・・(ふがふが)」と返す。
「ありがとうございます」って何だか変だよな、と思いつつ。

そして、そのふがふが儀式が終わってから、お互い最初のトーンに戻り、「で、手続きなんですけどね」と本題に入る。

どこの会社も似たような感じなので、きっと、マニュアルがこうなっているのかな、と想像している。
お悔やみの言葉を言うこと。言う時はトーンを落として丁寧に、あまりハキハキとではなく、語尾を濁す感じでお伝えすること、とか。

最初は、なんじゃこの上辺だけの儀式風お悔やみ!と思ったけれど、まぁマナーでもあるし、これを言わないと進まないのが分かっているので、今は「いつもお世話になっております」くらいなものと諦めている。

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そんな中、今日の年金事務所の方のリアクションはピカイチ面白かった。

いつも通り「夫が亡くなりまして」と言った瞬間
「えー!それは大変じゃないですかー!まだこんなにお若いのに?あらー!」のリアクション(笑)

換気のために回っている扇風機に書類を飛ばされそうになるのを必死で押さえたり、フツーにご近所さんとお話しているような気楽さ。
でも、ちゃんと仕事は進む。

本題が終わるころには「〇〇の手続きとかやりました?忘れてない?」と色々聞いてくれ、
最後は「今日は暑いですからねー。今は手続きで忙しいけど、ガクッとくるって言うから気をつけてくださいね」と、田舎のおばちゃんのように声をかけられた。

素の対応が心地よく、疑問があったらスルスルと聞いちゃいそうな雰囲気。

一連の手続きは彼の存在を消していくような作業でもあり、どよーんとして終わることが多い。
でも今日は担当者さんのおかげで「暑い中、私、頑張った~」と自分を褒めてあげたくなったし、なんだか楽しく終わった。

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よく管理職向けのセミナー等で、傾聴のスキルのポイントをお伝えしている。
その時に、上司から「何でもいいから。話してごらん。さあ!!」とめちゃくちゃ真顔で迫られると、逆に話しにくくなるので注意しましょう、とお伝えしている。話をしてもらいたいし、真剣な気持ちは分かるが、事情聴取じゃないんだから。

文章だけだと上手く伝わらないかもしれないのが残念だが、悩みや相談話を聴く時は、ふんわり空気感、喋ってもしゃべらなくても良いけど、気が楽になるならお待ちしてるのでどうぞ~、みたいな聴く側にクッション的な空気感があることが大切。

困っている時、どんな風でいてくれると心地良いのか。
知識的なプロではなく、真のプロフェッショナルってどんな人なのか。
信頼できると思えるのはどんなことがあるからなのか。

一連の手続きで色んな経験をさせてもらって、自分の在り方を振り返る良い経験をさせてもらっていると思う。


てかさー、ホントに手続き大変なんだけど。
こういうの、ホントに苦手なんだけど!!分かってんのー?
もし、立場が逆であなたが手続きする側だったら、きっとムリよ!!

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