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子どもに読ませてはダメ!やばいホラー漫画3選

小さい頃、我が家には300冊以上の漫画があった。それは父が子どもの頃に集めたものだったり、本屋やブックオフで買い集めたものでだったりさまざまなのだが、そうして集まった漫画の5割はホラー漫画だった。

その中で、今思うとこんなの子どもに読ませるべきじゃないよなー、という漫画がかなりあった。まあそれを読んだことにより、私も妹も成長に支障があったわけではない(と、思う)が、この記事ではそんな思い出深い作品・作者を3つピックアップし、紹介してみたいと思う。

それぞれの作品には3つの指標を設けた。エロ度とグロ度、それにナンセンス度…と行きたいところだったが、エログロが合わされば大体ナンセンスなものなので、ここではホラー度(オバケ的な怖さ)を指標に加えた。

伊藤淳二(人間失格、富江など)

エロ度 ★★★★☆
グロ度 ★★★★☆
ホラー度 ★★☆☆☆

伊藤淳二といえば、稀代の美少女主人公として名高い「富江」シリーズが有名だと思うが、私は病んでるときに読んだらダメな漫画ナンバーワンとして「人間失格」を推したいと思う。
名前の通り、太宰治の文学作品「人間失格」を漫画化したもの。

伊藤淳二氏は、街がうずまきの呪いに取り憑かれ(症状:カタツムリをずっと見つめ続ける、髪がカールする、など)最終的に街の人々が一つのうずまきになるとか、人間が風船になってしまい割れたら死ぬので電線を避けて空をただようとか、インフルエンザの時に見る悪夢のようなシュールなストーリー展開と美麗かつ描き込まれた作画が魅力のホラー漫画家だ。
(+ひょっとして笑わそうとしてる?と思わせるストーリー展開もある)

そこに人間失格の内省的かつ自己批判的な要素が加わると、これでもかと人の精神を追い込むネガティブな展開が続く。

基本的に幽霊などのホラー要素はない作品だが、追い込まれた人々の心理描写がそのままホラータッチで描かれる+残虐なシーンも多いので、作品に隙がない。主人公が生きてきた中で体験した「恥」を鍵に物語が進んでいく。ドラッグ、女性トラブル、親子関係など、基本的にトラブルしか起こらないので、子どもは知らなくても良い人間の汚いところを教え込まれる事になる。(もちろん人生経験の多い大人にも刺さる)

読後は最悪なのだが、しばらくするとまた読み返したくなってしまうのは、人たらしの主人公の魅力を余すことなく描写した作者の手腕だと言える。

ちなみに怖いの苦手だけど伊藤淳二の作風に触れてみたいという方は、元外交官・佐藤優氏の法廷バトルを描いた漫画「憂国のラスプーチン」をおすすめします。ロシアとの領土問題を題材に扱っており、このご時世的に刺さるものがあるはずだ。

日野日出志(毒虫小僧、地獄の子守唄など)

エロ度 ★☆☆☆☆
グロ度 ★★★★☆
ホラー度 ★★★☆☆
 
日野日出志作品の魅力は地方の遊園地のお化け屋敷のようなじめじめした怖さだと思う。1946年生まれ、1967年デビューの大御所で、ホラー漫画界のパイオニアの1人だ。昔ながらの日本画をおどろおどろしくしたような絵柄で、小さい頃は血走ったギョロ目の登場人物がただただ怖かった記憶がある。前述した伊藤淳二などは美麗な絵を描くが、日野日出志氏のホラー漫画は、ひと目見てホラー漫画とわかる。「地獄の子守唄」「恐怖列車」など、作品名も直接的なものが多い。

「毒虫小僧」は、いじめられっ子の少年がある突然人々に危害を与える毒虫になってしまい、人々に迫害される様子を描く物語だ。フランツ・カフカの「変身」そのままの設定だ。

私はこの二つの作品をどちらも子ども時代に読んだが、「変身」を読んだ時は、周りとの関係性が変わっていくことの切なさを感じた。

一方「毒虫小僧」は自分が虫になってしまうことを想像して純粋な恐怖を覚えた。それは、この作品がホラーであることはもちろんだが、主人公が自分と同世代の子どもという事も大きかったと思う。

そもそも日野日出志作品はもともと少年誌に掲載されていた。そのため、作品には読者層と被る小学生くらいの登場人物が多いし、分かりやすい作品名もそのためだ。

子ども向けの作品を子どもに読ませてはだめ!というのも変な話だが、トイレにいけなくなる系の恐怖漫画として、この作品を推したいと思う。

関よしみ(マッドハウス、愛の墓標など)

エロ度 ★★☆☆☆
グロ度 ★★★★★
ホラー度 ★★☆☆☆

ホラー漫画にも様々なジャンルがあるが、この作品はジャンルでいうと「少女まんが」だ。だが、一見かわいいこの絵柄に反して、彼女の作品はとんでもない狂気を孕んでいる。

その狂気は作品内の台詞をみても一目瞭然だ。

「出ました!Bの左上腕切断ー!!略して...左折!!」

「最初のゲームから脱落するようななさけないパートナーにはサメのエサになってもらいまーす!!」

一応言っておくとギャグではない。この作者は、ぱっと見まともな漫画の皮を被ってじわじわと日常を非日常に変えていくのだ。

今お腹いっぱいな状態でこの記事を書いているのだが、「関よしみ」で検索して表示される画像を見ていると段々気持ち悪くなってきた。生理的嫌悪感という言葉がぴったり合うのがこの漫画たちだ。

これらの作品は90年代に描かれており、受験戦争や食糧問題など当時の社会問題を扱ったものも多い。当時を知る人にはよりリアルな恐怖に映るはずだし、この手の問題とは無縁に生きてきた私は、逆に予言めいたものを感じて背筋が寒くなった。

まとめ

子どもに読ませてはいけないホラー漫画を紹介しているうちに、「じゃあ、どんなホラー漫画は健全なんだろう」という疑問が湧いてきた。

思うに、幽霊・オバケ系は割とオッケーだと思う。この手の題材は低年齢向けの絵本でも割とあるからだ。今回紹介した漫画は、理不尽さや、人間の汚さを取り上げたものが多い。もし私が親だったら、その手の漫画はあまり読ませたくない気がする。

一方、子どもの立場に立つと、小さい頃観た・読んだあれやこれやが自分の引き出しを増やしてくれたという実感がある。私の親も読むものに特に制限はかけていなかった。結局はその家庭の教育方針に依るのだろう。

最近はイラストひとつ取っても、クレームや規制を求める声が本当に多いが、作品に何かを求めるのではなく、家庭で管理したら、みんながハッピーになるのではないだろうか。(家庭によっては)子どもに読ませてはダメ!という事で、この記事を参考にしてもらいたい。

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