今求められるミニマリズム&過去作を見て思ったこと

ミニマリズムは物を捨て、人生で大切なものを取り戻す。
物ではない大切なものを。

ミニマリストと聞いてどのような人を思い浮かべるでしょうか?
私は、がらんどうとした部屋の床にノートパソコンだけを置いて、物を持っていない俺すげーだろとドヤ顔で語っているイメージしかありませんでした。(失礼)

ですが、当作品を見てミニマリストに対するイメージが変わりました。
ミニマリストはとにかくなんでも捨てるという極端な例がクローズアップされがちですが、これは本質的なものではありません。
物を処分するだけなら、大掃除となんら変わりません。ミニマリズムにとって物を捨てるというのは、ただのスタート地点に過ぎないのです

注:本noteではものを意識して書き分けています。物は物質的な物、ものは例えば大切なものといった、抽象的なものを想定しています。

作品の概要

Netflixにはミニマリズムと名前のついた映画が2作あります。
一つは2016年に公開された、「ミニマリズム 本当に大切なもの」。
もう一つは2021 年に公開された、「今求められるミニマリズム」。

この二つは、実は監督もメインキャストも同じで、内容までもがほぼ同じものです。
じゃあ二つも見る意味ないじゃん。と思われるかもしれませんが、正直その通りです。どっちか見れば十分かと思います。
ただ1作目に出た人が、2作目では結婚してたりといった、その後がわかるので、中の人たちが好きならファンディスク的な視点で見るのもいいかもしれません。

メインキャストはライアン・ニコデマスジョシュア・ミルバーン
二人は2010年にミニマリズムを紹介するブログを立ち上げました。
ブログを立ち上げた最初の月のアクセス数はたったの50に過ぎませんでしたが、現在では月に数百万アクセスにまで進化しました。

彼らがミニマリズムに至った理由(ここ別に読まなくていいです。)
彼らは小学校からの親友で二人とも貧しい家庭で育った。その反動で金持ちになることに執着した。二人とも大企業に入り、必死に働き昇進し続けた。
ジョシュアは29歳で、ある大企業の最年少の課長に昇進。広い家、高級車、クローゼットいっぱいのブランド服といった欲しかった物を全てを手に入れたが、満たされることはなかった
アメリカンドリームを成し遂げたが、週に80時間以上働くなど生活を犠牲にしていたため離婚、また同じ月に母親が癌で亡くなってしまう。
金持ちになって成功者になることが幸せの道と思っていたが、膨れ上がる欲望に満たされることはなく、欲望を追い求める過程で色々なものを見失っていた。
改めて自分が本当に求めているものとはなんなのか、自分はどうなりたいのか、そのために何をすべきかを考え直すことにした。
そこで出会ったのがミニマリズムという考え方である。

内容解説(2作ともほぼ同じなので統括しました)

人類は先史以来、最も裕福な時代を迎えている。だが、人々の欲望は満たされることはない。
短期間で多くの物が生まれ、大量に消費されていく。
どんどん進化する道具、新しい物が出るたびに、古い物には魅力がなくなっていく。
欲望はブラックホールだ。欲しい物を全て買って欲望が満たされると、そこが欲望の天井だと思っていたところは、新たなになってしまう。

物を買うように煽るのは、ありとあらゆるところで見られる広告
「こうあるべきだ、このようになれ、流行に置いていかれるぞ、セレブはみんな持ってる、金を稼げ、広い家に住め、いい車をかえ、これを買えば幸せになれる」
広告は感情を制御して、欲しい物必要な物に変換させることができる。
金を稼いで成功者になれ、という社会規範の中で大量消費が肯定され、その生活を支えるために莫大な資源が食い潰されている。

我々は周りの人と比較することで充足感を測っている。
家具、洋服、車などを周りの人たちと比較する。昔は同じところに住んでいる人は、大抵同じ経済状況で同じような物を持っていた。
だが、テレビやSNSが発展したことにより、比較対象が別次元へと広がってしまった。
有名人や金持ちの生活を詳しく知ることができるようになり、それと比べてしまい満たされない気持ちになってしまう。
私たちが満足感を得られないのは、常に他人と自分の人生を比較し続け不満を抱いているためである。

自分の軸を持ち、広告に振り回されず、本当に自分に必要な物だけを持つという考えがミニマリズムである。
ミニマリストはとにかく何も持たないという極端な例がクローズアップされがちだが、これは本質的なものではない
ミニマリストが持つべき物は、自分が価値があると確信する物であり、例えばコレクションであっても持っていて構わない。
(ただし適当に収集した物ではなく、人生に本当に必要だと確信している物のみ厳選して所持する。)

では物を減らすと生活は好転するのだろうか。
それに答えるにはミニマリズムの目的を理解する必要がある。
物を捨てるというのは手段であり、本当に重要なのはその目的である。
ミニマリズムの目的とは、自分の価値観をしっかり持つことで、財産や他人に振り回されず、自分が本当に必要なものを見失わないようにすることである。
いつから物の所有に価値を感じていたのか。人生に大事な事は何か。なぜ満たされなかったのか。どんな人物になりたいのか。自分にとっての成功とは何か。
これらの質問に答えるのは難しいが、物を捨てるよりもずっと大切なことだ。
なんのために物を捨てたのか考えなければ大掃除と変わらないし、1年後にはせっかく空になったクローゼットも元通りになっているだろう。

我々は人生を無駄に難しく考え過ぎている。
静かな場所で自分と向き合い、「どんな人生が良いのか、他人に惑わされず自分の心の声に従う」と宣言すれば良い。
自分の望む通りに生きることができれば情熱が見つかり、その情熱は利己的なものでなく、社会のためにより良い行いにつながるだろう。

最後に

本作はミニマリズムの考え方を示すもので、具体的に物の捨て方を紹介するものではありません。
ただ作内で二つほどやり方を示していて、なるほどを思ったので紹介します。

その1 1ヶ月毎日物を捨てる方法
毎日ひとつ以上の物を捨てましょう(ゴミ以外で)。
その際、本当に必要な物なのか、一つ一つ自問しながら捨てましょう。
自分にとって本当に必要としている価値観を明確に形成するためです。
捨てるたびに解放され自由になる感じがして、捨てるほどどんどん勢いが増していくはずです。試しに今日から初めてみましょう。

その2 引っ越し法
その1の方法は時間がかかります。やる気があって劇的な効果を求めるならその2の方法がオススメです。
まず、引っ越しをするつもりで家の中の荷物を全てを荷造りします。
そして次の3週間で必要になった物だけを都度取り出します。
3週間後使わなかった物はできるだけ箱の中を見ずに始末しましょう。

最後に残った物があなたが本当に必要としている物です。
ミニマリストにとって物の1つ1つには理由があり価値があります。

上記の二つの方法ですが、捨てるのが心理的に負担であれば、売るなり、寄付するなり他の人に有効活用してもらう方法を試してみましょう。


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