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XLのシャツの袖

8月27日
「トラックメーカー、シンガー。」こと水槽さんのライブ、ENCOUNTERが表参道 WALL&WALLで開催された。

詳しく1曲1曲の感想を書きとめて、ライブに行けなかった人にも伝わるような良いレポートにしようと思っていた。

昨日の夜に山の中にある自宅に帰ってきた。
ライブどうだった?と笑顔で尋ねた母親に私は
すごく良かった という感想しか言えなくなっていた事に気がついた。

行きの新幹線に乗る時、軽かったトートバッグがグッズで重くなっていた。
Tシャツ、タオル2枚、シガレットケース、ステッカー、缶バッジ、CD
特別重いものはない筈なのに。
疲れだろうか。2日で3万歩歩いたけれど
東京はこちらに比べて空気が少し重く感じる。

そんなことは良くて、問題は
ライブの詳細が途切れ途切れなのだ。
場所の関係で全てを見れた訳ではない。
私の身長が150cmと高くない事も原因ではある。
人と人の肩の隙間から覗くように水槽さんの姿を追った。
歌っている時の表情、表現、全力、エネルギー、
全てを見逃したくなくて、泣きそうになったり、しゃがみこみそうになるのをグッと堪え、下唇を口内炎になるほど噛み締めて、できる限り脳みそに焼きつけた。
それなのに。
何かの呪いにかかってしまったのかと疑うくらい、記憶が途切れている。
ライブが終わって放心状態から抜け出せないでいた。

生歌って凄い。声の透明感凄い。演出良かった。
その姿勢でこんなに声ってでるんだ。
ライブハウスって凄い。

こんな感じ。ライブ中はこんな薄っぺらい感想じゃなかったのに。
ライブハウスに置いてきてしまったのだろうか。

人生で初めてライブハウスという場所に足を踏み入れた初心者は、音圧に圧倒された。潰れるかと思った。
わりと本当に。
ライブが開演するまで、前も後ろも右も左もライブたるものに慣れている人たちだった。
22年生きていて、初めて緊張で水を飲む手が震えた。
足先が冷たくなっていた。
数分間に1度、深呼吸をしないと倒れてしまいそうだし、呼吸の仕方を忘れそうだった。
心臓が痛かった。背中と肩が縮こまっていた。
この部屋のなかで1番ちっぽけになった気分だった

始まるギリギリまで、水槽さんの
「1人でも初めてでも大丈夫」という文字を脳内で再生していた。
事前物販はフォロワーと、部屋に入ってから、場所を変わってくれたお姉さんたちも周りにいたけれど、孤独を感じていた。

始まって、周りが声を出し、腕を振るなか、私は緊張で動けなかった。右手は手首しか曲がらなかったし、左手は首に掛けたタオルを握り締めていた。

セトリも公開されているので曲名は伏せないけれど、
アディクションカラーで、ダボダボのXLサイズのTシャツの袖が音圧で肘に触れたとき、自分を疑った。
床は揺れていたし、天井が破れるかと思うくらいに響きわたる重低音で、空気が音波でTシャツを揺らした、?

信じられなかった。

もっと何回もライブに足を運んで、慣れてくればもっとまともな感想が書けるのだろうか。

タクシー・ジャックの一体感も凄かった。
この曲で少し緊張が解れたのを感じた。
やっと腕を振ることができました。
あの瞬間の水槽さんの笑顔が1番好きかもしれない。

少なくとも今の私にはこんな支離滅裂な文章しか綴れない。
行って良かったと心の底から感動した。
最後の夏休みに相応しい一夜を過ごすことができた。

ライブを通して人の優しさを痛感して、同じ人を応援する仲間がいることを実感した。
あの日いた人たちみんな大好きになった。

またいつか会えますように。


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