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わが家のペレットストーブの灰を、染色に活用してみた

わが家の冬の暖房は「ペレットストーブ」というストーブを使っています。聞いたことはありますか?間伐材や端材をチップ状にした「木質ペレット」を燃料にしたストーブで、薪ストーブ同様、ゆらゆらと燃える火を見ながら暖を取れます。

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なぜこのストーブを?と聞かれることが多いのですが、実はわが家も、家を建てる時に工務店に薦められるまでペレットストーブの存在を知りませんでした。

私たちが選んだ工務店は、「地元の木材で家を建てる」ということを推進していて、その流れで、林業を継続する上で欠かせない、間伐材などを活用するこういった取り組み(バイオマス燃料、などと言われていますね)を紹介されたのが始まりだったと思います。

わが家は毎冬、自分の家に使われる木が育った森と同じ森の木からつくられたペレットを買い、それを燃やして暖房にしています。なぜ、間伐材の活用が林業の継続に必要なのか、日本の林業の現状も含めて、以前私がgreenz.jpで書いた記事がありますので、ぜひこちらをご参考ください。

さて、この家で暮らして早5年、ペレットストーブを使うたびに出る"灰"の処理について、どうにもすっきりと答えが出ぬままでした。畑をやっている義父に、「肥料にして」と渡したり、そのまま捨ててしまったり。でも、せっかく森の循環を考えてこれらを使っているのだから、最後まで自分で使い切りたい、という思いがあったのです。

ここ2ヶ月のステイホーム 期間で染色に目覚めた私ですが、特に面白いと感じているのは、染料で染めた後に色を定着させるための”媒染”の作業。例えば玉ねぎの皮で染めて生地が黄色くなったあと、ミョウバンを使って媒染すると明るめの黄色に、鉄を使って焙煎するとカーキになるなど、染料と媒染剤との化学反応がとってもおもしろく、いろんな媒染剤を試してみたくなりました。

↑コーヒー染めの鉄媒染。鉄で媒染することで、暗くて渋い色味になります。

4月のある日、来シーズンまで使わないであろうペレットストーブの掃除をしていた夫がふと言いました。

「灰で、媒染できるらしいよ」

私が染色にハマりゆくのを見て、彼も興味を抱き色々と調べていたのだそう。その中で、「灰汁(あく)媒染」を知ったようです。

そんなこと全く知らなかった私。「嘘だ〜」なんて言いながらネット検索をしてみたら、あるんですね。木灰を水につけて時折かき混ぜながら数日放置し、ろ過した液(=灰汁)で媒染をすると、赤みが強く出るということでした。

そうとわかったらやるっきゃない。早速、溜めておいたストーブの灰と大量の水をバケツに入れ、家の外に放置。かき混ぜるのは面倒でほぼせず、でしたが。(几帳面ではないので、毎日というのは困難でした…)

次なる作業は「ろ過」これはハードルが高く(重い腰がなかなか上がらず)、結局3週間ほど放置した後にようやく取り掛かりました。今一度しっかりかき混ぜ、2Lペットボトルの口に100均で買ってきた小さな漏斗を差しこみ、コーヒーフィルターを使ってのろ過。小さな漏斗だったので、全部濾すのに1時間以上もかかってしまいました(笑)

気が遠くなるような作業でしたが、こういうのって見ていて飽きないですよね。そしてろ過後の綺麗な黄色い液に感動!おもしろかったです。

ちょうどペットボトル1本分ほど灰汁をつくり、出番を待ちわびること約3週間!アボカドで染めたピンクから、さらに赤味を強く出せるのでは?と期待し、アボカド染めの媒染剤として使ってみることにしました。

特に薄めず、黄色い灰汁のみで媒染。ただでさえ、アボカドで赤っぽく染まった生地が、灰汁につけてモミモミすると、液が真っ赤に。なんだかスプラッタな雰囲気。

染め上がりはこちら。ガーゼ2枚のうち、左側が灰汁で媒染したもの、右側がミョウバンで媒染したもの。他の2つ(アベノマスクとTシャツ)はミョウバンです。灰汁のパワー、すごいです。

そしてこちらが、ロングスカートのbefore/after。元々淡いピンクだったのですが、アボカド×灰汁のおかげでしっかり色の変化を感じられます。

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このスカート、久しく履いていなかったのですが、染めたのをきっかけに頻繁に履くようになりました。これぞ、アップサイクルの醍醐味ですね。アボカドの皮や種を使った、というだけでもワクワクするのですが、自宅のストーブの灰を使った、という満足感、ハンパないです。昨日まで捨てようか迷っていたスカートが突然、唯一無二の存在感を発揮します。

まだまだ灰のストックはあるので、またまた重い腰を上げて(笑)、灰汁づくりに灰汁媒染、チャレンジしてみたいと思っています。

少し話がそれますが、この日のアボカド染めは、誕生日を迎える夫のために、彼が着なくなったTシャツも染めました。ミョウバンで媒染しサーモンピンク寄りの色に。気になっていた首回りの黄ばみもわからなくなり、早速愛用してくれています。

料理に使った野菜の皮×着なくなった服×ストーブの灰で、こんな楽しみを得られるなんて、キッチン染めの可能性ってはかりしれない……。なんてことを考えてニヤニヤしながら、今この時間も、大量のコーヒーの豆がらで染めている最中なのでした。

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