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まちづくり目線のアップサイクルにワクワクするのは、”ほしい未来への時間軸”があるから。

「アップサイクル商品」を買うとき、またはつくるとき、はたまた売るとき、多くの人は「ゴミを出さない」「環境に配慮している」というような視点で行動していると思う。

ところが今回、メルとモノサシで取り扱いを始めたアップサイクルブランド「巡り巡る」はちょっと違う。興味深いのは、「まちづくり」を目的としたアップサイクルを行っているところだ。

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テント生地の残反をつかったアップサイクル製品をつくる「巡り巡る」を企画しているのは、兵庫県播磨町でまちの人たちの活躍の場をつくるような、さまざまな事業を行う「合同会社Roof」さん。

実は私が借りている事務所もRoofさんの事務所であり、私がNPO職員だった数年前から、"まちづくり”と名のつく地域のプロジェクトに参加すれば高い確率でお会いしたり、地域活動におけるアイデアやアドバイスをいただくような、そんな関係性だった。

「まちのみんなでテント生地のアップサイクルを始めたよ」と聞いたのは、たしか2017年ごろ。エシカルファッションのイベントでご一緒し、私の夫が「いいやん!」と一目惚れで購入したクラッチバッグはいまだに彼の毎日の相棒だ。

当時のブランド名は「ethical HARIMA」。私自身は「環境目線のものづくり事業を始めたんだな〜」とその活動を見ていたのを覚えている。

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その裏に込められた壮大な「まちづくり」観点での考えや想い、しくみを知ったのは、このたびお取り扱いすることとなり、取材をしたときのこと。ターゲットを育児に特化し「巡り巡る」とリニューアルしたことで、さらに研ぎ澄まされているように感じた。

「まちの未活用材」(正確にはテント生地は"まちの人に紹介されて出会った素材”らしい)をつかい、つくるところだけでなく発送のところまで「まちの人材」が活躍するという、「まちぐるみ」のものづくりプロジェクトだったのだ。

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それだけではなかった。なぜ育児商材に特化したのか。私はここが一番、心に響いた。

アメリカの哲学者マーガレット・ミードの言葉、"The future is now." 直訳すれば、未来は今。Roofの浦田さんは「未来は今の私たちの選択一つひとつでつくられていく。」と捉え、ならば未来をつくる子どもたちの日常をかたちづくる環境が大事であると考えた。その環境に、エシカル消費の選択肢が当たり前にあることが、子どもたちがつくる未来=私たちのほしい未来=豊かで持続可能な未来につながるのではないかというのだ。

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さすが、普段から「まちの人びと」を見ているからこその観点だなと、心が震えた。まちづくりの会社がまちの人材をつなぐアップサイクルブランドをつくる、という「まちぐるみ」のサイクルだけでも十分に価値があるのに、このブランドにはさらに「ほしい未来」を見据えた時間軸まであったのだ。

アップサイクルのつくり手さんには「いつかこの材料(=廃材やゴミ)がなくなって、私たちの仕事がなくなることが一番いいんですけどね」と話す人が多い。環境的な目線ではもちろんそうだし、わかってはいるんだけど、「世の中がよくなればこの商品はなくなるのか」と寂しく思ってしまうのも本音だ。

だけど「巡り巡る」の場合は、ワクワクする。目的は目の前の素材ではなく、「豊かでサスティナブルなまちの未来」なのだ。今後は新たなまちの未活用資源をつかって、子どもの環境をかたちづくる商品を開発していくそう。エシカルな選択肢を自然と取り入れて育つ子どもたちは、どんなまちを、どんな未来をつくっていくのだろう。どんどん使い込まれていく夫のクラッチバッグを見るたびに、想像が膨らんでいく。


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