滝壺へ落ちる

取り残される悲しみは
見知らぬ後ろ姿でも
乗り遅れて
走り出すバスでも同じ
駅のホームみたいに
追いかけても無駄だと
諦めることを
教えられる
苦くて白い薬でさえ
治らない痛みや傷は
永遠の眠りに導く灯りを
ともしては消す
疑いも迷いもなく
軽く握ってたはずの両手は
血だらけの握りこぶしに変わった
風あたりの悪い人の世で
流されないように
賢く橋を渡っていけず
泣き叫んでも
仕方ないことを
知りすぎたら
瞳をあけたまま
滝壺へ落ちる

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