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【詩/写真日記】蘇る時間(トキ)と空間

【君の瞳に映るもの】

光が差し込むその部屋に
足を一歩踏み入れた
突然セントポール大聖堂の鐘が鳴り響く

廃屋となった空間に過去が蘇る
移民が集まるこの街
縫製工場で忙しそうに働く女性達
オフィスから鳴り響くタイプの音
乱雑に書類が散らばるメールルーム
電話交換室から聞こえるのは君の声なのか
なぜ外を見つめている
その悲しい表情で何を見ている

置き去りにされた時間
君の瞳が語る儚い世界
過去から現在へと
止まるものは何一つとない
君はこの街の歩みを
光も影も全てを
優しく包むように見つめる
刹那なこの世を癒すために

光が差し込むその部屋で
君もまた消えていく





先日、少し前に予約してあったRoneというメルボルンのストリート・アーティストの展示会に行ってきた。

時間の止まった廃屋に描かれた女性のポートレート。

彼が描く女性の顔には憂いがあり、一度見たら忘れられない確固たるスタイルがある。そして、彼が作り出すアートは、美と衰退が交差する紙一重の空間に存在する。

今回の展示会の場所は、メルボルンのアイコンとも言える
フリンダース・ストリート・ステーション

クリスマス前のフリンダース・ストリート・ステーション

上の写真右手奥に続く部分の3階が今回の展示場になっており、
戦後ヨーロッパからの移民が増え産業が活発だった頃のメルボルンを、
頭の中で再現させるよう設定されていた。

展示会での最初の部屋

実際に縫製室があったのかわからないが、入った瞬間に脳がこの時代に戻って行くのが分かり、切ない懐かしさを感じた。

Roneが描く女性ポートレート

ここは、メールルーム。乱雑に散らばった書類、ヴィンテージの家具。女性の憂いのある表情が、置き去りになったこの場所の想いを更に掻き立てていく。

この首を傾げた角度がたまらない。

女性の表情に吸い込まれそう。

クローズアップで。

ここは、電話交換室だろうか。
小さな空間に描かれた魅力的な女性。

個人的にこの女性の顔は私好み(笑)。
ドキドキする。

突き当たり奥は待合室。
女性の顔に窓からの光が差し込む。

今は廃屋となったこの空間に過去が蘇る
君の瞳に映るものは…

オフィスと呼ばれていた場所。
彼女の悲しげな瞳は何を見つめてるのかと惹きつけられる。

見つめられて動けない。

美術室
ドアからの僅かな光が暗い部屋を照らす(ライトもありますが…)。
この明暗は何を表しているのだろうか。

写真的にも光と影のコントラストが楽しめる
今気づいたが、爪の輝きが素敵。

当時の学校を再現

図書室
ミュージカルの舞台に立っている感覚
あの時間(とき)に戻れる…気がする

なんと美しい空間なのだろうか。

当時の雑貨屋さんを再現
ここは、置いてある「物」達が興味深かった。

1930年代から1950年代の雑誌

時計の窓が光に当たって神秘さを増す。
外からは普通の古い時計にしか見えないのに。

中庭のようなガラス張りのアーチの空間
目を閉じた女性の雰囲気に癒される

マリア様を感じるのは私だけか…

外の売店には、この展示会の広告として
Roneの作品が描かれている。

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