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#幻想小説
うつむいた花に見下ろされながら。
少年はちいさくなって
クリスマスローズの小径を
しばらく歩き、腰をおろした。
うつむいた花に見下ろされながら
風と土の匂いをかいだ。
あたまとこころの中が
風と土の匂いだけになった。
やがて少年は透き通って
見えなくなった。
風か土のどちらかになった。
その先に、必ず良きものがある。
世界の果てのある国の人々は、やはり、困難な日々を生きていたが、なぜか、その先に、必ず良きものがある、と無闇に感じていた。そして、そのためにできる限りのことをした。体力と知力と無限の想像力と、怒りと冷静さと優しさで、挑戦を繰り返した。ときにさぼり、愚痴り、絶望しながら☺️
耐え難い現実が続く時、tea trainがやって来る。
耐え難い現実が続く時、tea trainがやって来る。座席は、薄暗い個室のティールーム。花と葉とアンティーク。ハンサムな猫の給仕がベルガモットのお茶を淹れてくれる。3段のお皿に焼きたてのお菓子達。長いソファに顔をうずめて大声で泣く。疲れて眠る。ハンサムな猫の給仕がそっと毛布をかけてくれる。
譜面から溢れ出す。
#冬の辺境の冬の旅人
旅人は辺境の村のポトフ屋にいた。クマのような男が入ってきて、店の隅で、鞄から、どっさりと譜面を出し、ギターでうたをうたいはじめた。譜面から、花や雪や海峡や夜明けや鳥や精霊が溢れ出した。男はうたい終えると、溢れ出したものたちを鞄にぎゅうと押し込み出て行ってた。
自分の無限を見に行くために。
#冬の辺境の冬の旅人
旅人は厳しい吹雪の辺境をただ進んだ。厳しさは、身の程がよくわかった。厳しさに耐えれるよう、身体とこころと自らの幻想をあたためた。鞄の中の小屋でしっかり休み、しっかり進んだ。自分の無限を見に行くために。