【詩/紫電】27 春の蟲
ムシの名を持った満月。
時代は都が先陣を切って進む。順応せねば、古臭い方法で朽ち果てて行くのみ。
成功する条件は容易且つ難解。
【名を轟かせる】
例えば、居眠りを扱き下ろし選ばれた例の国会議員。蓋を開けば一度も仕事をせず報酬は多額。
例えば、VTuber。先鋭を切った著名アーティストはスパチャで億単位を稼ぐ。十分の一でも、何千万もが報酬になるだろう。
一度名が売れれば、それに思考を止めた群衆が着いてくる。一人一円落としても十分食っていけるであろう額も、共に。
成功者は「日々の努力が報われた」と言う。そりゃあそうだろう。成功者になれなかった者にこの言葉を話す権利は無いのだから。
如何に短時間で職務を遂行するかが重視される時代。長いこと職場で一所懸命残業して褒められる時代はもうとっくに終わってんだわ。
「公務員は安定してていいですね。」
年収から労働時間で時給換算したら約四百五十円。
これ知ってて同じ事言えんの?
言えるんなら相当辛いとこにいるんだね。話ぐらいは聞いてやれるぞ。
春が来る。早い所動かないといけないのに、余計な楔が打ち込まれて邪魔で鬱陶しくて仕方が無い。
父の言葉。
「大の大人一人の時間を貰うことの重要さを知らない」
この業界は特に顕著だと感じる。
月定額五千円(二十代半ば)労働放題パック強制加入。残業ゼロ時間でも、四十五時間でも、百時間でも、均一料金で働かせ放題で御座います。
因みに過労死ラインを超えるとお上から直々にお叱りを頂けます。
お叱りは監督者も一緒に受けますよ。ですから監督者は過労死の危険性が無いと判断させるのに必死で御座います。
二十日間出勤時間外労働八十七時間四十分。空白に消えた十時間。過労死の危険を示す境界線は霞の奥に消えている。
この世界から飛び出してみようと試みる。
街を歩くのも周囲の目を考えなければならない。出会えば相応の態度を求められる。例え、勤務時間で無かろうと関係無し。
繭の中から羽ばたきたい。
死骸を喰らって生きる寄生蟲の様な生き方はもう沢山だよ。そろそろ地力で空を飛ばないと。
暖かくなって、春に蟲が沢山飛び回り走り回るから蠢くって書くんだよ。
わてくしも、愚痴苦駄ばっかバラ撒いていないで、綺麗な棘を持つ薔薇を探しに飛ぶとしましょうか。
霜蛹 陽射しに解けて 蒼へ翔ぶ
続
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