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【詩】水底

瞳を閉じて 宙に舞う
逆さまに 落ちていく

酒に入り浸った二十五時半
空は二十時間前と同じ色をしていた

微睡む御月様
睡魔を誘う浅い雲

毎晩飲み込む十一錠
未だ無人の十二号室

駆け上がる十三階段
二十四時に駆け抜ける貨物列車

愛の正体は深い水の奥に在る
水底まで辿り着くには溺れなければ
泳いで着く所には誰もが辿り着ける
故に溺れなければならぬと思ふのだ

酒浸り
己に課す安易な試練
容易に越えて飲んだ酒
依存を加速させるが生憎
もうティケットは無いんだ

愛の意味なんてもううんざり

愛の行方は水底に導かれる
溺死が先か、溺愛が先か。
悩めよ、殺されるまで。
殺されるまで死ぬ訳には逝かぬ
私が殺されるのは、誰の手だろう

崇愛する兄貴分か
酒か、煙草か、病魔か

亡骸に華は要らない
ラム酒と煙草、蚊取線香を
添えてそっと燃やしてくれ

私の只一つの願いは
葬式なんて開かなくて良い
それだけ。

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