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SS05

 おはようございます。家事が終わったので、先輩が起きてくるまでに一作書けるかな、と思って書き始めた。現在七時三十九分。完成が朝になるのか、それとも先輩を送り届けた後の夕方辺りになるのか、その辺は知らぬ。
 昨日の夜はすっかり沈んでいたが、やはり朝日を浴びることは大事だと改めて思った。六時二十分に起き、炊けた米をかき混ぜ、洗濯物を回してショートコース(二千歩くらい)のコースを歩いて、筋トレして回した洗濯物を干してきた。朝陽は、言葉にし難い、不思議なエネルギーをくれる。こういう時は、夏に感謝。暑くて暑くて死にそうじゃが。
 さてさて、今回のテーマはとても書きやすそうだ。ネタもすぐに浮かんできた。iQOS一本吸ったら、早速書き始めよう。

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SS05「革命」

 書類とパソコンを交互に見ながら、何時間作業しただろうか。目と肩の疲れを感じ、立ち上がって伸びをした。時計を見ると、もう午後十一時を過ぎたところだった。職員室には、僕一人。大学四年で採用試験に合格し、とある高校に赴任して三年目。慣れてきたと感じる部分もあれば、まだまだ若造だな、と感じる部分も多々ある。まさに、今日がまだまだだな、と感じさせる一日だった。
 単元テストの採点と記録、その他事務関係の仕事が山積みだった時に、部活中に一人が怪我をしてしまい、とてもテンパってしまった。幸いベテランの主顧問の先輩が手際よく対応してくれたので、大事には至らなかった。
 主顧問の先輩は生徒にも同じ職場の後輩にもなかなか手厳しいが、お陰で成長できたと感じる場面も多い。陸上部を、この二人で三年間組ませてくれているのはボスの優しさだろう。
 三日前の生徒の約束も、主顧問の先輩にまず相談した。最初は「断れ。」の一言だった。しかし、若手として、歳の近い生徒がわざわざ呼び出すということは相当悩んでいるのだろう、ということで僕は折れなかった。結局、誰もいない教室に女子生徒と男性教師二人っきりはまずいということで、外で主顧問の先生がこっそり見ていて、何かあったらすぐに駆け付ける、という条件で約束を守ることができた。
 そして約束通り化学室に行ったら、まさか告白されるとは思わなかった。素直に自分の考えを伝えたつもりだったが、先輩からは「もうちょいうまくやれよ」と笑われてしまった。
 その女子生徒は素行も悪くなく、真面目で、友人関係も問題なさそうで、生徒指導で名前が挙がることはまずないような生徒だった。去年、化学の点数が下がって相談に来た時に、相談に乗ってできる限りのアドバイスをしたことも覚えている。正直、一人の女性として見れば性格もよく、可愛いと思う。ただ、その女性は女「子」であり、「教え子」だ。その女子生徒の気持ちに応えてあげたかったが、やはり生徒と教師の間には超えてはならない一線というものがある。その子の為にも、そして自分の為にも、一緒にケーキを食べてあげることはできなかった。
 先輩にお礼を言って、「よく正しい判断ができたな。あれに負けるのが、ニュースや新聞で出ている不祥事やらかす馬鹿者だ。そこは素晴らしかったと思うよ。」と優しい言葉を返してくれたのが救いだった。
 悶々としながら、普段の半分以下のペースでしか仕事が片付かなかったため、気づいたらもうこんな時間だ。残りの仕事は、明日以降にピッチを上げればなんとかなる。
 何が働き方改革だ。管理職は、一年目の時の先生は現場思いの先生で、早く帰れるように色々流れを変えようとしてくれていたのだな、と今になって感じる。二年目で教頭が変わったが、その教頭は「早く帰りましょう」しか言わず、特に何をしてくれるでもなかった。折角仕事に慣れてきたのに、今まで前の教頭先生が陰でやってくれていたことや、雑事をこっちに回してくれるお陰で、一年目以上にやることが無駄に増え、より疲れが溜まる。三年目で更に仕事も増えたが、少しずつ要領よく捌けるようになってきた。それでも、業務量は殆ど減らず据え置きのままだ。持って帰って仕事をすれば早く帰れるが、個人情報等のリスクも伴う上、憩いの場に仕事を持ち込みたくないので、極力学校で済ませている。
 平日は授業、部活、事務仕事。貴重な土日は部活動で時間を持っていかれる。かつて陸上部だったので、陸上部を副顧問の立場で持たせてくれたのはありがたかったが、自分の時間の短さを痛感する。ワーク・ライフ・バランスで言えば、八:二くらいか。一年目の時に忙し過ぎて時間の管理ができず、彼女とも別れてしまった。改革どころか革命的な何かをお偉いさんたちに期待したい。給特法ぶっ壊すとか、土日手当増やすとか、部活撤廃みたいな革命的な何かをさ。
 なんて考えながら、職員室のか細い最後の灯を消して施錠し、車を出して門を閉め、憩いの場へと帰る。明日の自分よ、また頑張ってくれ。
 告白してくれた女子生徒へ。友達に励ましてもらって、もっといい男見つけてこい。時が経ち、教師と生徒との関係ではなくなり、一人の男性と女性としてまた目の前に現れて同じことが言えたなら、その時はその時で考えよう。

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 いかがだっただろうか。キーワードが「狙ってる?」ってくらいのもんだったので、昨日の目線変更アフターストーリー。

https://note.com/melancholy_sunny/n/naadb9fb061bb?magazine_key=m9cdd6b14a08b

ニュース等で教員の働き方についてたまに見かけるが、一度目にした記事の中で強烈だったのは、労働基準法に則って残業代を全教員に払うと、国の予算が九百五十億円ほど吹き飛ぶらしい。言い換えれば、日本中の教員が合わせて九百五十億円分のタダ働きを強いられているのだ。
 教員の友人がいるが、久々に会った時に少し話をした際、繁忙期に時間外労働が百八十時間を超えたらしい。トチ狂ってるだろ。通常の勤務+百八十時間働いて、残業代は基本給の四パーセントだったかって常軌を逸している。その業界に、心地よい風が吹き抜け、少しでも働きやすくなることを願うばかりである。
 さて、前回のキーワードは、



「夕焼け」「ケーキ」「化学室」

でした。分かったかな?今回のテーマはこれにちょっとだけ被るものがあるから、一つは見つけやすいかも。では、また次回。


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