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マーケターという仕事とは

このマガジンは、事業会社でマーケティング担当者として13年以上働いてきた私が、事業会社のマーケターだからこそ得てきた経験を、今後マーケティングに関わる方や、マーケティングを学びたい方に役立てていただくために残すものです。お仕事でマーケティングに関わる方もそうでない方にもお役立ていただけるものにしたいと思っておりますのでぜひお付き合いください。

※このマガジンの背景や概要を知りたい方は、最初に書いた以下のnoteをご覧ください。こちらは全文無料で最後までお読みいただけます。

そのvol.1として今回は「マーケターという仕事とは」ということで、まずマーケティングに対する解像度を上げていただく回にしたいと思います。

マーケターという仕事


「マーケティング」とは何でしょうか。世間では、非常に幅広い意味で、そして時には曖昧な定義のまま使われています。大企業で事業戦略を立てている人もマーケターと呼ばれますし、マーケティング・コンサルタントもマーケターと呼ばれることもありますし、Web広告やWebサイト制作をしている方が「マーケター」と名乗っていることもよくあります。

マーケターが担う業務は、会社によっても業界によっても大きく違います。一般の消費者を対象とすることもあれば(BtoCマーケティング)、企業を対象とすることもありますね(BtoBマーケティング)。しかし、今やどんな会社でも、一定の規模の会社であれば「マーケティング」という職種が存在することが多いです。

マーケティングの神様・フィリップコトラー教授はこのように定義しています。

“マーケティングとは人間や社会のニーズを見極めてそれに応えることである。マーケティングを最も短い言葉で定義すれば「ニーズに応えて利益を上げること」となろう”

なんだかもっと難しくなりましたね。

そんな複雑なマーケターという職業ですが、元P&Gマーケターの森岡毅さんの言葉をお借りすると「マーケティングとは売れる仕組みを作ること」です。営業という職種が「人のコミュニケーションを通して商品を売る」ことを主軸としているのに対し、マーケティングは、広告・ブランディング・様々なプラットフォームなどを通して、「売れる仕組みを作る」ことを主軸としています。

これでも言葉の定義が抽象的で曖昧だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。でもそれもそのはずです。マーケティングは、一つの専門性として語られることもありますが、私は個人的にマーケティングは1つの尖った専門性というよりは、「何でもこなす万能型の職種」だと考えています。戦略も考えるしデータも分析するし、広告のクリエイティブも考える、そして社内外の多くの関係者を取りまとめてプロジェクトを動かすマネジメント力も問われます。走ることのプロでも水泳のプロでもなく、何でもこなすトライアスロンの選手のようなイメージでしょうか。

マーケティング思考の本質は「顧客視点」

わかりやすい言葉でマーケティング的な思考を表すなら、その本質は「顧客視点」にあると思います。私がまだ大学を卒業してマーケティング関連の仕事を始めたばかりの頃(その頃は広告制作ディレクションを担っていました)、広告の企画のOKがもらえず困っていた時に、当時の尊敬する女性上司に言われた言葉はこうです。

「私たちはデザインもできないし、綺麗な写真も撮れないし、商品を開発しているわけでもない。”お客様を知る”ことしかできないのよ。あなたの企画書からはお客様が見えない。それができないなら、この仕事向いてないと思うしかないね」

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このマガジンは、マーケティングの実務について知りたい方に幅広くお役に立てる内容にしていく予定ですが、特にこんな方に読んでいただくことを想定して書いていきます。「広告代理店や事業会社のマーケティング部門で働いて1〜3年目くらいの方」「今後実務にマーケティングの知見が必要そうなので基礎を学びたいという方」「今まで自己流で実務をこなしてきたけど改めてスタンダードな方法を学び直したいという方」

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