【まくら✖ざぶとん】⑧②『脱走容疑者』野次馬鹿➍
列島を夏の嵐が横切らず縦切って各地に被害を及ぼしたのを縦目じゃなく横目に、春先の脱獄事件に続いて世の中を揺るがす脱走事件が発生したまま逃げっぱなしとくりゃ野次馬鹿の出番だ出動で大出張、かつて脱走ゾウガメと脱獄受刑者を追いかけた二人がなかなか捕まらぬ容疑者を探しに関西へ。
春の脱獄受刑者からタスキを受け継いだのは夏の脱走容疑者、富田林(とんだばやし)署の面会室から遁走したっていうぶっとんだはなし、瀬戸内海の島々から舞台を大阪の都会に移してリアル『逃走中』のはじまりはじまり、受刑者の二十日余りをあれよあれよと越える三十日余りの逃走劇は現在進行系。
受刑者と容疑者、より悪そうな前者の〈窃盗〉に対して〈放火〉に〈強制性交〉と罪状では後者が右に出る筋金入り、左脚には兎の刺青入り、一兎しか追ってない大阪府警が捜査員を総動員しても捕まえきれぬうちに新たな犯行を重ねたら大惨事の大失態、警察の面子面目丸つぶれ。
単純逃走罪で再逮捕された脱獄受刑者がちょうど懲役六年を求刑された折、加重逃走罪で指名手配された脱走容疑者はひったくりに次ぐひったくりで有り金ふやしてひっひっひっ、『逃走中』のそれと違って途中で〈自首〉しても賞金がないなら金の切れ目が延命の切れ目となるまで逃げ続けるのみ。
賞金と言えば脱走犯にゾウガメ以来の懸賞金がかけられて動いたのは暴力団、悪者が悪者を捕まえにかかるおとぎ話はさしずめ〈兎と虎〉か〈兎と龍〉、脱獄受刑者のドキュメンタリーに続いて捜査員と組員が入り乱れて脱走容疑者探しに競争する大捕物の狂騒曲は一大エンタテインメント。
大阪で勃発した大規模な鬼ごっことかくれん坊、『逃走中』のそれと違ってスーツにグラサン姿じゃないが駆けつけた野次馬鹿はゾウガメ探しに続いての賞金首ハンター、そこらで容疑者とバッタリしても走って追いかけて捕まえはせずコッソリ目撃情報をタレこむだけ、とんだ儲けばなしに一枚噛んだその歯を食いしばりはせず大口開けて食いしん坊に食い倒れ!!
※事件詳細
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!