【まくら✖ざぶとん】⓼⓼『引き網会議』
そういうことでまあ前回でようやっと解禁したからには連作で野蛮球技こと野球ネタ、年に一日だけ世の中がそれ一色になるドラフト会議の日にアメトーークも芸人ドラフト会議だってんならまくらもドラフト会議。
超高校級の野手トリオが席巻した今年のドラフト会議は古豪も強豪も1位指名で名乗りを上げて競合に次ぐ競合、我が獅子軍団は市場調査で情報操作した〈獅子脅し〉作戦が功を奏し、超大学級の即戦力投手を一本釣りでまさに漁夫の利、ご当地特産の出世魚まで網にかかってバンバンザイのザイ。
中年野球レベルの草野球だろうとドラフトはドラフト、野球経験者ならプロが通用せぬと認めた雑魚でもどこかにひっかかりやしないかとヤキモキしつつ会議当日を過ごすのが面白味。
地区大会どまりの弱小校だろうとドラフトはドラフト、担当スカウトはプロで通用すると見初めた逸材をどこかがひっかけやしないかとドギマギしつつ会議当日を過ごすのが醍醐味。
野球はドラフトだがボクシングはプロテストでコンテンツはコンテスト、芸能界の美貌才人はオーディションで芸術界の美術作品はオークション、鮮魚市場はセリで古本市場はセドリ、永田町の国会議員と秋葉原のアイドルは総選挙。ふるいにかけられるのが市場原理ではあれ百人が入って百人が出てく野球界、戦力外通告と戦力内指名が表裏一体の新陳代謝は鱗の生え変わり。
そんなドラフト制を思い切って導入したらよさそうなのは相撲部屋や落語屋号の一門。学生相撲界や落語研究会にスカウトを派遣して、有望株がいたらドラフト会議で積極指名。素人側からは門戸を叩く勇気がなくとも、玄人側から選択希望してくれりゃ入らぬわけでもなく伝統文化もそう廃れない。
もちろん指名では交渉権を獲得しただけ。やれ親方の不祥事が、やれ師匠の不人気が、と申し訳を並べて入門せぬもよし。〈逆指名〉や〈自由獲得枠〉に〈希望入門枠〉と往年の制度も円滑に援用活用し、指名順位が高けりゃ序二段や二つ目まで飛び級できる奇特権益があってもよし。
…とかなんとかゾロ目の回だからって長めに一席ぶってみたものの、なにはともあれ走攻守の三拍子そろった活きのいい高校生がパシフィックの洋々にも飛び込んでくるってんだから、酒の肴にゃちょうどよし。
次の酒?そうだな、じゃあ三拍子そろえて紹興酒にしとこか。
えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!