サッカーが引っ張ってくれた人生

無関係なように見えて、考えてみると私とサッカーの関わりは深い。人生の節々でサッカーが人生の駒を思わぬ方向に推し進めたようにも見えます。

最初に断っておくと、私はサッカーをまともに教わったこともないし、小学生の時に遊んだ程度。まともに教わりたかったし、ラームみたいに華麗なボールさばきができるようになりたかったなあっていう気持ちがないわけではない。

しかし結果として、今現在、私はサッカーをする側ではなく、完全に観る側の人間。

それでも不思議なもので、サッカーは観るものに生きるパワーをくれるから、自分の人生がサッカーから離れてしまいそうになって、自分を見失いかけてる時は、「最近サッカー観てないからだ」っていう兆候として、サッカー不足が現れ、逆にW杯やユーロの時は、毎日の生活が驚くほど充実する。のちに何度も参照される「歴史」ができる瞬間を今、テレビであっても体験している自分は幸せ、とそう思います。

今の状況においても、救ってくれるのはサッカーである気がしてます。「勝つ」ことを目的とし、それに向かって淡々と、なるべく感情を挟まず、しかし時には感情を出して、各々が共有された目的のために、真剣な眼差しで行う試合は私にとって、理想的な仕事の姿勢そのものです。

ここでは、サッカーっていうスポーツの存在があったから、頑張ることができたことと、それによって出会った仕事について、書きたいと思います。

まずは、ドイツ語とサッカー。私は、ドイツ語では上から2番目にあたる資格Goethe-Zerifikat C1を持っていて、大学で学んだわけでもないのに、ただドイツで働きたいという理由で取得しました。

しかし、そのレベルに行くまでは本当に大変で。英語しか勉強したことないし、英語みたいに日本語で学べる教材がたくさんあるわけでもない(最近は増えてきたけど、私が一生懸命勉強していた8年前にはあまりたくさん出回っていませんでした)

どうやって、レベル上げたらいいんだろう、ドイツ語で何を読んだらいいんだろう、と悩んでいた時、シャルケのプレスリリースをたくさん読みまくる戦略に出ました。
最初は全く読めませんでした。なぜって本物のドイツ語。普段大学で教わる生易しいドイツ語とは、文の長さも文の複雑さも全く違います。最初は何時間もかけて読みました。読んでいくうちに、若者言葉やサッカーに特有の用語を覚えていきました。
特にサッカー選手は10代とか20代そこそこなので、プレスリリースのインタビューでは、自分と同世代の人が使っているドイツ語はなんなのか、よくわかりました。

結果、プレスリリース作戦のおかげで、ドイツ語の基礎が身につきました。特に、冠詞の活用が得意になったことを今でもよく覚えています。

プレスリリースだけではなく、シャルケやドルトムントが配信している動画もたくさん観ました。自分が普段聞いている生易しいドイツ語の速度よりも3倍以上速くて聞き取れない。しかも上記クラブは、昔から炭鉱の街でルール地方特有の訛りがある。とても苦戦しました。

もちろん、それらだけで上級レベルにいくことなんて絶対に無理でしたけど、与えてくれたものはあまりに大きい。ドイツ語の幅を確実に広げてくれた。

私がドイツにかつて移住した理由のひとつも、ボルシア・ドルトムントで働きたかったから。実際に、ドルトムントやケルンのAusbildungには何度も応募しました。もちろん、大卒そこそこの得体の知れない日本人が雇われる確率は、かなり低いものだと思いますが。

ドイツで働いていた時も、ブンデスリーガ下部組織でサッカーをしている人たちに出会いました。すぐに仲良くなったし、試合も見に行きました。
その人たちに今までどうやってヨーロッパでがんばってきたのか、話も聞きました。でも年齢とともに、サッカーとはお別れし、全く別の就職先を見つけていく彼ら、あるいは、バイトから入ってがんばって実際に某クラブに内定をもらった友人もいます。

ドイツを去り(去った当時は2〜3年で戻る気満々)、今全く無関係の仕事をしていますが、実は今の仕事も、不思議とサッカーつながりで採用されたというか、サッカーとは無縁でなかったのです。
私が転職活動していた時期は、2018年のW杯真っ最中。ある意味、夜中に気兼ねなく試合を観ることができたので、タイミング的にラッキーでした。
とにかく、偶然引っかかった今の会社の当時の上司もやはりサッカーが強くて、サッカーをやっていた。やっぱりそういうところで縁があるのかな、と思いました。不思議に、サッカーをやっている人と仕事をしている確率が高い。サッカー好きすぎて、「サッカー好きです」ってたくさん発言しているから、類は友を呼ぶんでしょうか。

忙しすぎるとついサッカーのことを忘れてしまいますが、サッカーなき人生は悲観的すぎてとても耐えられない。サッカーを観たり、(欧州)サッカーに関わっている時の心の豊かさ、取り戻したいと思いました。

サッカーをするように(淡々と)働く、それはいつも心がけていることです。今の職務は、サッカーともドイツ語とも縁とゆかりもないけど、どこかに縁を見つけたいと思いました。

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