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若者特有の孤独と焦燥

過去にベストセラーになったという、20歳の原点という本を読了した。
もう20歳なんてとうの昔に過ぎ去ってしまった私が読むと、どこか懐かしく心臓をつかまれるような気持ちがする。

10代後半には、社会に、世界に、押しつぶされてしまいそうになるような、禍々しくて大きい、特有の孤独があるのだ。
孤独は私を急かす。
急かすだけでなく悩ませる。

19歳、家族と離れ一人暮らしを始めると気づく。
家族というのは、(機能不全家族でなければ)程度に差はあれ自分のことを「一人だけのかけがえのない大切な存在」として認めてくれるものだ。
「私一人が、(名前)として存在している」ということを知らせてくれる唯一のもの。家族に代わりはいないから、自分の絶対的な価値を感じさせてくれる。

しかし、いざ家族と離れ一人暮らしをしてみるとどうであろう。
大学で友人はできるが、友人はいわゆる大勢の中の一人でしかない。
親友には別の親友もいる。だから独占することもできないし、絶対的な価値を感じることもできない。
ここで、孤独を感じてしまう。

家に帰り一人。
自分のことをただ一人の存在として認めてくれる人はいないものか。
自分だけのヒーローのような、私のことだけを考えて見つめて甘やかして叱ってくれる存在はいないものか。
早く、早く探さなければ。

この焦燥感に駆られて、20歳くらいの年齢は皆恋人を求めるのだと思う。
今思えば寂しいもの同士が傷をなめ合っているに過ぎないのだが、
孤独の穴埋めを必死にしてゆくのだ。私に合うピースは誰なのか?
私を1番に、絶対的な存在にしてくれる人は誰なのか?と。

「20歳の原点」の著者の高野さんも、この孤独と戦う中で恋愛に葛藤していたように思う。
ただ私と違うのは、相手に幻想を抱き猪突猛進していたところである。
高野さんは「好き」という思いにまっすぐで、そのまま相手に向かうことで玉砕している。玉砕するから自分の存在も否定された気になってしまって、感受性の豊かなこの方は崩れていってしまったのではないだろうか。

私は高野さんと違い早々に王子様幻想を辞め、求められる存在になろうと決めた。今思うとおかしいなぁと思うが、いわゆるサークルや学部内でそこそこ好かれる女になろうとしたのである。「ザ・普通」な私が孤独を埋めるには正直そうするしかなかった。相手から好かれるように振舞えば、告白されるし、デートできるし、「この人私のことが好きなんだな~」と感じることができれば、ちっぽけな承認欲求は満たされたのだ。

10代後半には、社会に、世界に、押しつぶされてしまいそうになるような、禍々しくて大きい、特有の孤独がある。
孤独を飼いならすことができる人だけが人生を生き抜いていくことができるのだとしたら、それはなんとも残酷である。
(孤独を感じたこともない、楽観的な夫のような人種もいるのは、また別の話…)

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