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試食のできない料理教室 〜L'atelier de SHIORI Online〜

2020年7月、とある料理教室が誕生しました。

その料理教室は、試食することができません。
先生に会って直接教えてもらうこともできません。
働くスタッフも、生徒さんたちの顔をほとんど知りません。

なのに、その料理教室に通っている生徒さんからは、
毎日のようにそれはそれはたくさんの美味しいお料理のお写真や、
笑顔の家族の写真、
そして感動の言葉が届くんです。

「勇気を出して参加してよかったです!」
「この料理教室に出会えたおかげで人生変わりました!」
「今日も旦那さまのリクエストで作りました!」

届いた声や写真を眺めては
先生もスタッフもにんまりしています。

美味しそうなお料理写真を見ては、
お仕事中でもお腹がなってしまいます。(ぐぅ)

生徒さんはこの半年で、ついに7,000名を超えました。
そんなとあるあたたかい仲間の集まる、
オンライン料理教室のお話をさせてください。


Instagramを使った月額制のお料理教室
L'atelier de SHIORI Online

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事の始まりは、2020年6月のあたまに突然入ったメッセージ。
相手はもう8年来の友人、料理研究家のSHIORIちゃんでした。

連絡を取り合ったのはおそらく1年ぶりくらいだったと思います。その前にメッセージを送りあったのは、偶然ほぼ同時期に妊娠がわかり「同じ令和ベビーだねー!」と一緒に喜んでいた2019年のことでした。

そこに書いてあったのは、長年彼女の活躍を見ていた、彼女の代官山のアトリエ設立のお手伝いをさせてもらった、そして2児の母でもある私にとってとても驚くべき内容で、スマホを持つ手が震えてうっかり落としそうになるほど。

最愛の息子くんが、先天性難聴で耳がきこえていないこと。

コロナの影響や、また息子くんの療育のため、長年大切にしてきた代官山のアトリエを手放そうと思っているということ。

あんなに好きだった仕事を辞めようかとも悩んだということ。

遠くから見ていたSHIORIちゃんは、当時コロナの中、おうちごはんを盛り上げようと頻繁にインスタライブを配信していて、たくさんの人がそのレシピに助けられ、作ったよ!のストーリーが溢れていた頃。まさかそんな状況になっているなんて思いもよらず、一字一句をとにかく丁寧に眺めて、画面越しのSHIORIちゃんの様子を伺ったけれど、なんというかさすがの彼女。もう次の一歩を歩み出さんとしていたから、私も少し安心しました。

そんな彼女に起きたことは、このnoteに書かれています。

ただ一般にやや誤解されがちなのかなと思いますが、
彼女は誰より打たれ強くたくましく、
ポジティブの権化のような子では実はありません。

本当に、ひとりの普通の女の子なんです。

ただ、心から大好きな料理で大切な人たちを喜ばせたい。
自分にできることで誰かの役にたちたい。
友人や仲間を大切にしたい。
家族を幸せにしたい。

そのため必死に前を向いて、自分にできることを探しています。
うまくいかなくて傷つきもがいていることもありました。
でも最後には、ちゃんと自分の未来を選択し、
そこから一歩を踏み出すことができる。
そんな子です。


そしてその彼女の今回の次の一歩というのが、
「Instagramで料理教室をはじめたい!」
ということでした。

息子くんの療育のためには、1分1秒でも長く側にいて、
息子くんのことを考られるようにしてあげたい。
仕事をやめようかとも思ったけれど、
やっぱり大好きな料理で人の役に立てるようになりたい。
自宅からできるインスタライブを、
ちゃんとお仕事としてできるようになりたい。
自分が今まで学んできた全てのことを、
全部そこに通ってくれる生徒さんに還元して、
本気で日本の食卓がもっともっと豊かになってほしいと思っている、と。

自分に置かれた環境を嘆き、何かを諦めるのではなく、
彼女はそこから踏み出せる一歩を必死に探し、
自分も家族も、何かを犠牲にすることなく、
社会へ自分にできることで最大限寄与する方法を考え、
その新しい生き方を実現しようとしている。

「それは絶対絶対やるべきだよ!手伝わせてよ!!」


私が速攻そう伝えたのはもう言うまでもないわけです。

だって彼女がこれを成功させることができたら、
絶対に世の中の女性たちに自由に生きる勇気を与え、
さらにおいしいが食卓に広がり、
このコロナ禍において疲弊してしまったたくさんの人たちに
絶対絶対幸せを届けてくれると確信してたから。

だからこのプロジェクトは、少なくとも私にとっては、単純にコロナ以前の料理教室をただオンライン化したというものではなく、一人の女の子の生き方の物語を一緒に紡いでいるという感覚でした。

その会話からたったの1ヶ月という爆速の立ち上げ。
この期間の想像を超えるドタバタ劇に、私たちに起こったたくさんの奇跡がありましたがそのお話はまたいつか。



オンライン料理教室は、
”試食ができないこと” がネックだと思ってた!

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そう、これなんです。

当時、4月7日に発令された第一回目のコロナによる緊急事態宣言から2ヶ月がたち、様々な分野でサービスをオンライン化していこうという試みが行われている頃で、もちろん料理教室に関してもZoomを使ったオンライン料理教室などが行われ始めている頃でした。

そこでよく言われていたことが、

オンライン料理教室のデメリットは、試食ができないことである。

ということ。
先生の作ったものの味がわからないと、作るべき料理のゴールが見えないので再現がしにくいというものです。

だからほとんどのオンライン料理教室は、対面レッスンと比較した際のそのデメリットを克服するために、少人数で、Zoomでコミュニケーションを取り、一人ひとりの生徒さんの調理の様子を先生が細かくチェックしながら進めることで補う形をとっているレッスンが主流だったように思います。

そこを、あえて1対多のInstagramのライブ配信を使いたいと。さらに一回きりのレッスンではなく、月額制にして積み上げ式のレッスンにすることで生徒さんたちに自分が学んできたことを全て還元していき、彼女たちの食卓を本気で豊かにしていきたいと

当時彼女がすでに当時無料で行なっていた自分のInstagramアカウントでやっていたレッスンが非常に好評で、多い時には5,000人を超えるライブ視聴者がおり、動画の再生回数はもはや多いものでは10万回を超える勢いでした。そのため、今までライブ配信を見ていてくださった方が、そのままの使い勝手で、非常に気軽に楽しむことができるInstagramというツールを使い続けてどうにかオンライン料理教室を開催することはできないか?と、そう考えたわけです。そして私もそれには大賛成でした。

とはいえ、

・試食ができない
・直接一対一で質問をすることもできない
・材料を自分で揃えていかなくてはいけない

この形式の料理教室で、生徒さんたちは集まってくれるんだろうか?
ちゃんとおうちで美味しい料理を作れる!という自信を持ってもらえるだろうか?

そういった不安ももちろん頭をよぎりましたが、それと同時に私にはこんな考えもありました。

オンラインの料理教室を、リアルの料理教室の代替として考えてはだめ。今回始めるSHIORIちゃんのInstagramを使った料理教室は、今まで誰も経験したことのない全く新しい価値があるもの。オンラインだからこそできるリアルを超える価値が必ずあるはず。とにかくInstagramという制約の中でどこまで私たちがその体験の価値を高められるかが生徒さんたちの食卓の豊かさに圧倒的に直結するから、その可能性を誰よりも私たちが信じて取り組んでいかなくては!

そういう考え方でInstagramでのオンラインレッスンを続けるうちに、むしろ対面レッスンよりもはるかに満足度があがるたくさんのしかけがそこに眠っていることに気づきました。

結果、

「味、無事着地して今までで一番のハンバーグを作ることができました!」
「SHIORIさんの味に近づきたくて、味見をたくさんすることで今までで最高の出来になり家族も大喜びです!!」
「今までだったらレッスンの試食で満足しちゃってたけど、どうしてもそれを食べたい!と思うから自宅での復習に火がつきました!!」

など、

むしろ試食がないことで、
彼女たちはレッスン動画を食い入るようにチェックし、
自分の五感を最大限に発揮して、
【自分だけの理想の味探し】をすることが
できるようになったんです!!!

だって、なにせ自分で作らないと食べられないですから。
ええ、、美味しそう、、と思ったら、自分で作らないとなんです。

その理想の味にたどり着きたくて、「おいしい!」を実感したくて、本当に動画を隅々までチェックして、レシピにたくさんメモを残して、自分の力でおいしいを実現する。それは誰かに手伝ってもらってのおいしいと比較したらもう格段に満足度が違うし、さらにそこからの再現性も高い。そして「自分でも出来た!」という自信や、家族からの「おいしい!」が、また次の料理への活力になっていく。こんなに嬉しい循環あるでしょうか。まさか試食ができないという制約で、こんなに生徒さんたちが伸びていけるなんて、予想をはるかに超える結果でした。


それはきっと、
オンラインだから、Instagramだから、じゃない。

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前章で、試食がないということで、生徒さんたちの復習がすすんで、さらに再現するために一生懸命レッスンを受けて、仕上がった料理の満足度があがったとお伝えしましたが、実はこれは本当に起こったことのごく一部を切り出してお伝えしているだけで、「試食がない料理教室が満足度が高くなる」と言ってるわけでは決してないです。

ただ、ネックだと思われていたことも、その本質的な価値を別の角度から見てあげることで、自分たち次第でむしろメリットに昇華することだってできる、と、そんな風に感じています。

ただ実際、やはり、L'atelier de SHIORI Onlineを始めてから今までの間、私はスタッフとしてお手伝いをずっとしてきましたが、本当に

・SHIORIちゃんのレシピに対する生徒さんたちの信頼がはんぱなくあるということ
・コロナ禍におけるライブ配信を経て、生徒さんたちみんながSHIORIちゃんに感謝の気持ちを持って接してくださっていること
・さらに度々登場してきた旦那さま(ロマチさん)や息子くんを含め、ほとんどの人がSHIORIちゃんだけでなくその家族までも大切に思ってくださっていること

この点についてはもう第一回目のレッスンから画面越しであっても熱量を持って伝わってきて、このSHIORIちゃんと生徒さんたちの絆は、やはり彼女が14年という歳月を経て築き上げてきた、かけがえのない宝物なんだということをもう身を以て実感しました。

さらに、

・レッスン前に鬼のように試作を繰り返し、最高に着地したものを惜しげも無く教えてくれる
・レッスン中、対面ではなかなか見れない手元もしっかり見ることができる
・実際に調理していく過程を全て見られるので、復習するときに再現しやすい
・レシピの行間をこれでもかと説明しているので、レシピに書かれている工程のその意味から理解できる
・夫婦のかけあいや、SHIORI独特のワーディングなどがとにかく楽しい
・そしてとにかく美味しそう&美味しそうに食べる!

こういった彼女が長年の料理家としてレシピのみならず、そしてレッスンを通して生徒さんによりわかりやすく伝えるにはということを研究し尽くしているという点も、試食がないというデメリットをメリットに変えてしまうパワーの源であるように感じました。

L'atelier de SHIORI Onlineが、こんなにもたくさんの方に愛していただいているのは、オンラインだからとか、Instagramだからとかそういう仕組みの話だけじゃないと思っています。

結局のところ、オンラインであっても大切なのは人と人。そのご縁をどう大切にするか、顔が直接見えない相手に対して、思いやりを持って接することができるかが大切だと、改めて思います。

だからやっぱり今の形のレッスンが、彼女の人生の物語と、そして生徒さんたちの人生の物語との接点として、完璧な形でそこに在ったからだと思ってます。



今、自分たちにできること

ほぼほぼ本能と直感だけで突っ走ってきたので、改めて振り返ると、本当に導かれるようにここまできたな、と言った感じです。ですがまたこの第2回目の緊急事態宣言の出たタイミングで、とにかく私たちも、みなさんのためにできることを精一杯考えて、ひとつずつ行動に写していけたらと思っています。

このコロナ禍において集ったL'atelier de SHIORI Onlineに参加してくださっている皆様とのご縁は、本当にほんとうに宝物のようなものだと感じています。厳しい時だからこそ支え合って、温かい言葉をかけあって、みんなでおいしいの体験を共有して、明日も笑顔でいられるように。これからも頑張っていきます!

ご興味ある方、ぜひぜひ、のぞいてみてくださいね。
新規の生徒さんは、毎月月末に募集中です👏



・・・・・え!?
なんだチミはってか!
私が、変なスタッフめいさんです!



ちゃんちゃん😆



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