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「SALWAYへの道」社長がブランドローンチにかける想いを語ります。

こんにちは!千葉県八千代市から新しい医療の当たり前を創る、株式会社名優の優一です。

先日お話した通り、名優は2023年6月29日に、中央材料室向け製品のブランド『SALWAY』を発表致しました。

今回は、SALWAY誕生までの道のり、かける想いを、名優の社長が語ります。


1.はじめに

病気になると、生きている間にやりたいことを続けることが難しくなります。病気になった身体を整え、苦しみを和らげ、最期のときまでやりたいことを続けられるよう手助けするのが医療です。

医療では、医療で用いられる器材で感染が生じることがあってはなりません。医療器材を安全な状態にすることが再生処理であり、その実践の場が中央材料室です。

医療の歴史とともに再生処理も、少しずつ進歩してきました。実効性があいまいな業務が慣習的に行われることは少なくなってきていますが、今もなお、適切なインジケータさえ用いていない施設が多くあります。

日本では、1990年代から再生処理についての研究会の活動が活発になり、21世紀になり「医療現場における滅菌保証のガイドライン」が刊行されてからは、目指すべき再生処理がその都度、示されるようになってきました。

しかしながら、20余年を経てもなお、すべての医療施設で適切な再生処理が行われるに至っていません。

適切な再生処理が欧州のように日本で普及しないのはなぜだろう?

その疑問がSALWAYの出発点でした。

内視鏡再生処理 日本 2014年6月撮影
内視鏡再生処理 オランダ 2019年6月撮影


2.欧州の再生処理との出会い

1998年から滅菌コンテナの取扱いを始めたタイミングで、関連学会や研究会に参加する機会が多くなりましたが、再生処理を体系的に捉えられないまま、悶々とした思いを抱いていました。

2004年、世界最大の医療機器展示会、MEDICAでGKE GmbHのカイザー博士と巡り合い、蒸気滅菌でのホローロード型PCDを用いた滅菌保証を知って、その合理性に衝撃を受けました。

MEDICAでのGKEのブースの様子 2011年11月撮影

滅菌器に入れさえすれば、器材が滅菌されると思われている方が多い中。

「滅菌器が正常に稼働していることと、滅菌器のなかに入れた器材がほんとうに滅菌されていることと、どちらが大切なのか」

カイザー博士の問いかけに目が覚める思いをしました。

以後、セミナーのたびに、蒸気滅菌といっても、蒸気滅菌の「滅菌剤」は蒸気ではないこと、長さが同じチューブなら、内径が大きなものが小さなものより滅菌が難しいことなどを学び、科学的知見に裏打ちされた欧州の再生処理と日本の再生処理との隔たりの大きさに愕然とし、何としても日本で欧州の再生処理を普及させようと決意したのでした。

GKE社でのカイザー博士による講義の様子 2014年11月撮影


3.書籍『医療現場の清浄と滅菌』刊行

2011年のMEDICAでJan Huijsさんとの出会いがありました。

彼の著書、"Sterilization of Medical Supplies by Steam"は、驚くほど簡明にわかりやすく再生処理の具体的な手法が解説されており、ぜひ日本の中央材料室勤務者にも知ってもらいたいと思い、版権を得て翻訳し、2012年中山書店より「医療現場の清浄と滅菌」のタイトルで出版しました。

日本医療機器学会講演 Jan Huijsさんご夫妻 2012年6月撮影
「医療現場の清浄と滅菌」出版祝賀会でJan Huijsさん 2012年11月撮影

当時も、再生処理についての本がいくつかありましたが、根拠を示し、除染、洗浄、組み立て、滅菌、包装、さらに洗浄、滅菌の機序についてこれほどまで分かりやすい著書はありませんでした。

実際、Sterilization of Medical Supplies by Steam は欧州で、中央材料室勤務者の教科書ともいえる本であり、世界で何か国語にも翻訳出版されています。


4.変わらない再生処理

カイザー博士やJan Huijsさんを招き、日本各地でセミナーを開催したり、学会や展示会で欧州の再生処理の紹介に努めたり、オランダの大学病院の見学会なども行いました。

しかし「滅菌器のもっとも滅菌が難しい箇所で、滅菌する器材の内腔よりも蒸気浸透の難しいホロー型PCDを用いて滅菌保証を行う」というこのシンプルで確実な方法は、普及が進みませんでした。

カイザー博士のセミナーの様子 日本 2013年3月撮影
Jan Huijsさんのセミナーの様子 日本 2018年6月撮影
オランダHaga Hospital内視鏡室 2019年6月撮影
オランダGelderland Valley Hospital中央材料室 2019年6月撮影


5.デザインの大切さ

展示会のブース、ポスター、カタログなど、関係者の目を惹き、耳を傾けてもらえるデザインを工夫するために、2015年ころよりNIKKEI DESIGNなどを購読したり、専門書でデザインを学んだりしていましたが、まだまだ伝えるべきことを伝えきることができないことに、もどかしさを感じていました。

NIKKEI DESIGNの特集で、西澤明洋さんがブランディングとは伝言ゲームであり、伝えたいことがひとりでに伝わってゆくようにすることが大切だと唱えていました。

なるほど、いかにホロー型PCD等の欧州の再生処理法を中央材料室の責任者が理解し、実践していても、その責任者が異動したなら、いずれ安易な方法にとって代わられてしまう。

そうならないために、ブランディングこそが必要だと思ったのでした。

幸いにして、西澤さんも興味を持って取り組んでいただけることになり、欧州の再生処理を普及させるためのブランディングが2021年4月、スタートしたのでした。


6.SALWAY誕生

再生処理に関わる製品の取捨選択、どうしたらよさを伝えられるのか?私たちの強みとは何か?欧州の再生処理を普及させるためのコンセプトとは?それにふさわしいブランドネーミングとは?

繰り返し検討し、1年以上時間をかけて、SALWAYというブランドに行き着きました。

エイトブランディングデザインオフィス 2022年4月

SALWAYの”SAL”はSterility Assurance Levelの”SAL”であり、欧州の確実な滅菌保証を目指す路を意味しています。

SALWAYは、医療に関わる大切な再生処理の道を、再生処理に関わる皆さんと、手を携えて確実に、歩んでゆきます。

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