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NPO等ソーシャルキャリアのための公共政策系・オンライン海外留学

修士留学について、オンライン留学も検討しているのでここにメモしたい。

社会課題に興味がある人が「もっとこんな社会にしたい」という思いを叶えるために、大学院進学を検討する人は今後もっと増えるだろうし、
🇺🇸田舎駐妻の私と状況は違えど、日本から、あるいは働きながら通学するためにオンラインでの学びを選択したい人もいるかも知れない。

ニッチな関心分野になればなるほど「留学情報まとめサイト」が役に立たなくなるので、私なりに「これはアリ」と思ったプログラムをメモしておく。(私が最終的にオンライン海外留学をするかは未定)

私がオンラインプログラムを検討する上での背景:私の・・・

  • 関心は「次世代支援」と「世代間公正の実現」

  • 学士は政策科学

  • 直近のキャリアはNPO勤務

  • 希望はMasterの学位取得(Certificateではなく)

今の私は市場を通じた変化の創出よりは、政策を通じた変化の醸成の方に興味があるので、社会課題に重点を置いた公共政策系プログラムを中心に検討中。
この後紹介するプログラムも、各大学の中でもPublic AffairsのSchool傘下で開講されている。
しかし力点や切り口が異なってくる。

1)公共政策系プログラム三種

①政策の社会的背景への洞察を深める:Master of Social Policy

「ある社会において脆弱な立場に置かれた人をどう支えることができるか」という議論をするにあたっては、
歴史的な移民に対する受容性や、子どもの権利など国際的な議論の趨勢といった、内外の文脈を理解する必要がある。

例えばイギリスの貧困を考えるうえでは、社会階層を無視出来ないし、「揺り籠から墓場まで」と言われた過去の福祉政策の蓄積のレビュー無くして、現在の支援策だけを個別に取り出して妥当性を議論することは出来ない。

こうしたそれぞれの社会固有の福祉領域における社会的背景・文脈について、先進国の比較やケーススタディに基づいて学ぶのが、このプログラム。

オンライン履修であるために、キャンパスよりも更に世界中から学生が集まりやすい、という環境で、学生のニーズにうまく応えていると思う。

貧困や不平等といった永遠の社会課題については、概念や解決におけるアプローチの歴史的変化についても講義が提供されている。

🇬🇧York大学のSocial&Public Policyプログラムでは、必修カリキュラムに「働き方の未来」を入れているのが面白い。
昨今では、支援対象とする人々の就労可能性を議論する上で、AIなどの技術革新によって引き起こされるデジタル格差の状況にも着目する必要がある、ということだと思う。

他には、🇬🇧セントラル・ランカシャー大学でも開講がある。

②NPO経営・リーダーに必要な素養を全方位に学ぶ:Master of Nonprofit Management

アメリカの就業者の30%はnonprofitセクターで働いているという。
これは、日本と比較して超大規模な病院と大学が当該セクターに含まれるためだが、
気候変動やホームレス問題に取り組むNPOであっても、日本とケタ違いの体制および収支で運営されている。
※この馬鹿デカさ、に関する実感はCross Fieldsの小沼さんのnoteに詳しい

したがって
「高度な経営課題について、Nonprofitの目標と手段に即した解決能力を発展させたい!(MBAじゃダメ!)」
というニーズは底堅く、多数の大学からオンラインプログラムが提供されている。

ランキングでは🇺🇸アリゾナ州立大学のプログラムなどが上位にあるし、
全米トップクラスの病院と大学を経営する🇺🇸Johns Hopkins大学でもプログラムがあるのは良い選択肢だと思う。(学費は高めだが年中願書を受付けているなど、受験しやすさもある)

NPO経営では避けて通れない「ファンドレイズ」および「寄付者/賛同者向けマーケティング」といった内容がカリキュラムに含まれている。

ちなみに、NPO経営といった場合に、プログラムの強みに2つの方向性があるように思う。

1)オックスファムや国境なき医師団など国際的なネットワークを持つNPOに強いか、あるいは、
2)一国において「現場支援+効果検証+政策提言」まで行うようなNPOに強いか。

プログラムの特徴が出るところなので、注目して良いと思う。

③政策評価の専門性を習得する:Master of Public Policy

政策評価から立案のために必要な、経済に対する理解や政策効果の計測手法について学ぶプログラム。
個別の政策の良し悪しを分析し、修正点を意見できるようになる専門性を身につける。
MPPとして開講するプログラムでは、対象領域として都市政策やヘルスケアに関する政策が意識されていることが多いようだ。

その中でも、Elective(専攻)でNonprofit Managementが選択できるコース、
即ち公共政策の実効性や有効性を高める方法の一貫で、公共政策の担い手としてのNPOの役割りを学ぶコースが複数の大学から提供されている(例えば🇺🇸Northeastern大学)。

行政とNPOのキャリアを往復したいような人には合っていそう。


上記だけでも、様々な大学のプログラムを比較し、学費とのバランスなどに頭を悩ませうるのだが、
ここからは、出色の「この大学のこのプログラムしかない!」と言わせる特徴を持ったプログラム2つを紹介。

2)唯一無二!!のプログラム二選

Edinburgh大学Social Justice and Community Actions

🇬🇧Edinburgh大学の、社会正義と草の根運動コース。
オンラインで世界中から履修可能なのだが、なんとMaster取得までに通算6年かかりうる、とされている(頑張って3年で完了することが推奨されている)。

そもそも社会「正義」を掲げるという点で、議論の抽象度が他校より一段高い。
正義の実現手段として政策や市民活動を議論する骨太さ。

修士としての研究論文あるいは実践的なプロジェクトデリバリーが課されるあたりも「さすがエジンバラ大学、全身全霊で学ばせるな」と思わされたが、
カリキュラムは非常に網羅的で、能力開発についてはリーダシップに関するものから政策評価まで、
また対象となる社会課題についても、子ども・若者支援から、気候変動まで自分の関心に沿って選べる点も魅力的。

ハイブリッド形式で新たな社会変革を目指すCambridge大学Social Innovation

MBAで有名なCambridge大学のJudge Business Schoolに、2015年(?)に新設されたプログラム、Social Innovation.

Innovationを掲げるだけあって、人々をエンパワーするようなソーシャルな事業をどう作り、
作るだけではなくて、社会変革につながる運動としてインパクトを生み続けるか、まで目指している。

また、学生がPublicセクター・Nonprofitセクター・Businessセクターからそれぞれ均等に選ばれていて、クラスメートの交流を通じても「セクター間の協働」が訓練されるようになっているのが特徴的。

オンライン100%履修ではなく、18ヶ月の学期中、1週間x4回、ケンブリッジで現地通学することが課されている他、非同期のビデオによるレクチャーよりもライブ・レクチャーの比重が多いという観点で、世界中からの学生の参加を許容しつつ、対面の良さも維持したプログラムとなっている。

修士研究論文を必ず書かねばならないので、追及したい社会課題・テーマがある人こそ挑戦したいプログラム。


最後に、私が複数プログラムを検討した挙句、リストから抹消しなければいけなかったMSWについて。

3)海外留学生ではオンライン履修不可のMaster of Social Work

FindAMastersなどの検索サイトで”Social”というキーワードかつ”Online”という形態で探した場合、Master of Social Work もヒットしてくる。

🇺🇸コロンビア大のように、福祉分野における研究・政策提言・実務者育成、その全てで実績の高い大学からもオンライン・コースが提供されているので、「おぉ!??」と一瞬目を奪われるのだが、
実はオンラインでの履修には、「アメリカ国籍あるいは永住権を持っていることが前提」となっているので要注意だ。

Master of Social Workでは長時間にわたる実習が課されていることが多く、オンラインでは留学しにくいプログラムのよう。(海外留学生は従来型のキャンパス通学のみ可能。)


以上、🇺🇸アメリカと🇬🇧イギリスについて、私の下調べ也。