見出し画像

「思い出の中に溺れる前にこの場所でさよなら」

二度寝をしていると窓から差し込む光に起こされた。そして、転落防止のために少ししか開かない窓から風の音がした。

とうとう私の住んでいる地域にも春がやってきた。

私が短大を卒業したときも風が強かった。この時期は決まって風が強くなるジンクスでもあるのだろうか。

この日は絶対に文章を書こうと決めていた。そしてもう一つ。インスタで投稿を作成しようと思っていた。

縮小垢である日突然始めた毎日の一曲を紹介するストーリー。
今日の一曲はYOASOBIの作曲を手掛けるAyaseさんが2019年にリリースした「夜撫でるメノウ」だ。
数年前に某SNSでバズったため、知っている人もいるのではないだろうか。
この曲は「別れ」をテーマに作られたらしい。(本人談)


ここで歌詞の一部を紹介しよう。

「今まで話したこと全て覚えてはいないけれど
ありがとうの言葉とごめんねと上手く伝えられなかったからこんな結末を迎えたの?
なら「ごめんね」
遅すぎたね
君に届けとこの愛を言葉にのせる毎日を息苦しく思えちゃうほどいつから変わってしまったの?
これで終わりだなんてまだ信じられないけれど
元気でね」

この歌詞は私に刺さるところがある。
私が編入するきっかけとなった友達をS(仮名)としよう。
Sとは言葉のすれ違いがあった。そのせいで彼女を傷つけてしまい、私は入院することとなった。退院してから謝ったのだがもう一度謝りたい。でも、もう遅いと思う。
休学してからしばらく経って大学に普通に通う人やSのことを考えると苦しくなってしまうようになった。私の心はいつからこんなふうに変わってしまったのだろうか。
卒業が一生の別れではないことはわかっている。というより自分に言い聞かせているが、卒業してから関係が続いたという経験が少ない私には卒業式というものが少し怖いものになっている。
これが一生の別れではないけど、どうあがいてももう学生としては大学で一緒に会うことはなくなるので実質、「これで終わり」なのである。
どうか、別れたあとも元気でいてほしい。たとえこの先、会うことがなくてもSが元気でいてくれるなら私は嬉しい。

「出逢わなければなんてそんなの思っていないよ
だから笑って笑ってよね」


「出逢わなければなんてそんなの思っていないよ
だから笑って笑ってよね」とSから私に言ってほしい。これはただの願望だ。

縮小垢で先にいつも通り曲のストーリーを投稿した。次に本垢で投稿を作成した。時計は12時になりそうなところだった。
12時を過ぎると昼食が運ばれてきた。なぜか今日の食事はほとんど喉を通らなかった。

私の卒業は閉鎖病棟と彼氏からの卒業だろう。
閉鎖病棟は明日卒業する。もう戻ってきませんように。どうかどうか。彼氏とはいつかちゃんとお互いが納得した形でお別れできたらと思っている。

卒業された皆さまへ。
卒業おめでとうございます。
皆さまが新たなスタートを踏み出せますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?