みんなと袴を着たかった
3月。春の始まりを感じる季節。
閉鎖病棟からは外の景色は分かりにくい。
手っ取り早く外の情報を手に入れられるのはスマホだ。
SNSで桜の写真を見て驚いた。
私の住んでいる地域はまだまだ寒くて桜なんてとんでもない、春なんてまだ先のようだ。
もう一つSNS上で見かけた春がある。「卒業式しました」というメッセージとともに添付された袴の写真だ。
だんだん近づいている卒業式。もう来週に迫っている。残りの日にちを毎日数えるたび虚しくなる。
心身の不調によって先延ばしになった卒業。
本来なら出席して大学を卒業できたのに。
私も袴を着たかった。
「卒業おめでとう」って言われたかった。
花束と卒業証書を手にスマホのカメラに映りたかった。
休学した時点でお別れだったが、本当の意味でのお別れが近づいている。
もう一緒に大学で授業を受けたり、お昼ご飯を一緒に食べたりする友達はいなくなる。
いつも履修登録期間中に咲く桜は一人で見に行くのかな。
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