らい珈琲

まじの自己満足です。日記を通して文章力がちょっとでも身につくといいなぁ。 「クリエイタ…

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まじの自己満足です。日記を通して文章力がちょっとでも身につくといいなぁ。 「クリエイター」とか言われると、ちょっと嬉しいですね。

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最近の記事

2023/04/11; 生きた心地がする

暗い歌が好きだ。暗い小説が好きだ。暗さには正直であることが伴うから。正直な感情を飲み込むと、やがて体の奥から湧き上がってきて、至る所から溢れる。そのときの「生きた心地」といったら、他にはない。 先日のこと。大切な人が、極めてセンシティブな話、その人にとっては思い出したくもないだろう出来事、を打ち明けてくれた。突然の告白に私は戸惑った。何を言うべきか迷った。けど咄嗟に私の口から出た言葉は、どうやら彼女を和ませ、多少なり安心させたようだった。 私はほっとした。ともすれば彼女の

    • 2022/09/08;

      幼稚園、小学校、中学校と仲良くしていた友人が、2年前に亡くなったらしい。私は2年前から、彼のいなくなった世界を生きていたのだ。世界をひっくり返された気がして、呆然としてしまった。 幼稚園の頃、毎日彼の家に遊びに行った。「友達と遊ぶこと」を初めて教えてくれたのは彼だった。彼の家ではおばあちゃんが農業を営んでおり、それがとても新鮮だった。おばあちゃんは気のいい人で、時々私たちを軽トラの荷台に乗せて、蜜柑畑に連れて行ってくれた。他にも人力の精米器を一緒に回したことや、天日干しされ

      • 2022/08/06; 「ロンリープラネット」

        ***** 1人の宇宙飛行士が、ある任務を受けた。その任務とは、宇宙での情報通信の可能性を探るため、地球外で電波を受信し返信するというものだ。彼には断る術はなかったし、断る理由もなかった。彼は家族と親しい友人に簡単に別れを告げ、ひっそりと地球を発って行った。 ゆっくりと宇宙を漂う間、初めてのメッセージを送る。「ハロー、サウンドオンリー。マイクチェック、マイクチェック。ワン、ツー」彼は自分の声のぎこちなさに驚いた。「ちょっとだけロンリー、すぐに帰るよ」 辿り着いた星で、彼

        • 2022/07/24; その後、寿司を食べた

          先日、所属しているバンドサークルのライブがあった。僕にとっては、初めて人前でギターを弾く場だった。この時を楽しみにしてこれまで練習してきたわけだが、僕の演奏はというと、惨憺たる出来だった。悔しい〜。 他のバンドは (上から目線で心苦しいけれど) とても上手くて、社会人バンドってこんなにレベル高いんだと感心した。超絶技巧のギターソロを弾きこなす姿や、胸に手を当てて一生懸命歌う姿は、上から下まで全部かっこいい。正直住む世界が違うなと思ったけど、普段は彼らも僕と同じような生活をし

        2023/04/11; 生きた心地がする

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        • 感じること
          48本
        • 動くこと
          14本
        • 生きること
          132本
        • 作ること
          29本
        • 食べること
          8本

        記事

          2022/07/14; 忘れがたき、帰りしなのBono

          今日は確かについてなくて、いいことねぇ〜と口にした。 途端疑問が湧いてきて、いいことを探すことにした。 振り返ってみる、今日のこと。 探し物を手伝ってくれた、小さい傘に入れてくれた、すれ違いざまに手を振った。 いいことねぇ〜と口にして、愛おしい時間に気がついた。 帰りしな、イヤホン越しの雨の音、Bonoの歌声が心地良かった。

          2022/07/14; 忘れがたき、帰りしなのBono

          2022/04/10; 穏やかな時

          「満足した時」にだけ、見える世界がある。お腹いっぱい食べた時、友人と楽しい時間を過ごした時、長い道のりを走り切った時…満足の種類は何でもいい。ただ心から満足した時に見える景色は、とても穏やかで、ずっと見ていたくなるほどきれいなものなのだ。 今日見た景色は、まさにそういうものだった。夜になって、湖畔のベンチに腰掛けた時、僕はぼんやりしてしまった。あまりに穏やかな世界が目の前に広がっていたからだ。その世界では、他の存在に干渉しようとするものは1つもなく、全てが寄り添い合っていた

          2022/04/10; 穏やかな時

          2022/02/23; 『熱帯』の謎

          「俺が考えたのはね、もし色々な本が含んでいる謎を解釈せず、謎のままに集めていけばどうなるだろうということなのよ。謎を謎のまま語らしめる。そうすると、世界の中心にある謎のカタマリ、真っ黒な月みたいなものが浮かんでくる気がしない?」 これは、森見登美彦『熱帯』で語られるセリフだ。今日この本を読み始めて、このセリフを目にして、これは素晴らしい本に出会ったぞ…と打ち震えた。というのも、本、とりわけ物語が含む「謎」について、僕は興味津々だからだ。 * * * 謎が解消された時、僕

          2022/02/23; 『熱帯』の謎

          2022/02/19; 小4の頃の担任

          小学4年生の頃の担任、S氏のことが嫌いだった。始業式の日、新しいクラスで初めて席に着き、S氏が入ってくる。角刈りの頭に色黒の肌、だらしなく出たお腹、強すぎる香水の匂い…S氏の風貌はどこを切っても「おっさん」だった。私は、子供の持つ正直で残酷な目をもって、即刻この先生を嫌いと認定したのだった。 S氏は期待に応えてか、給食中に喋ってはいけない、漢字テストの結果が悪いと罰ゲーム、など、いや〜なルールでクラスを支配した。私はうんざりして、S氏の言動を自分の頭から排除するように努めた

          2022/02/19; 小4の頃の担任

          2022/01/10; BUMP OF CHICKENが好きだ

          BUMP OF CHICKENが好きだ。特に歌詞が好きだ。静かに心に寄り添ってくれる、まっすぐで優しい歌詞は、何度僕を救ってくれただろう。こんな歌詞を書ける優しい人間になりたいと、今も昔も憧れている。 BUMP OF CHICKENの映像作品『BUMP OF CHICKEN 結成20周年記念Special Live「20」』には、”BUMP OF CHICKENのテーマ”という楽曲が収録されている。これは彼らが10代の時に制作した、デビュー後のどのアルバムにも収録されていな

          2022/01/10; BUMP OF CHICKENが好きだ

          2021/12/04; 熊野古道探訪記

          熊野古道とは、伊勢神宮や京都を起点に、熊野三山を繋ぐ道だ。熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社という3つの大社である。古くより「伊勢に七度、熊野へ三度」と言われたように、600km以上にわたるこの長い長い道は、多くの旅人に踏みしめられてきた。 1か月ほど前に、僕は熊野古道へ行こうと思い立った。徐に電話を取り出し、三重県に住む友人に言った。「熊野古道を歩くぞ!!」 当初は伊勢から歩いて熊野三山を目指すつもりでいたが、何せ600kmである。並大抵の気合では踏破

          2021/12/04; 熊野古道探訪記

          2021/11/04; 御在所岳に登った

          きのう、三重県の御在所岳に登った。楽しい登山だった。下りはロープウェイに乗る。恐ろしく混雑していたために、ロープウェイに乗り込む頃にはすっかり日が暮れてしまった。 窓の外には、すごい景色が待ち受けていた。見下ろせば三重の街の灯と、それに縁取られた伊勢湾、朧げな水平線。見上げれば闇をすべるセントレア発着便、驚くほど明るい北極星。静かな興奮と感動の入り混じった、心地よい感情が湧き出す。 ゴンドラはぼくらを乗せて、ゆっくりと、静かに走る。このまま宇宙にまで行けるような気がした。

          2021/11/04; 御在所岳に登った

          2021/10/28; 『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』

          先輩から「最後が衝撃的すぎて落ち込んだ」と言われた通り、物語は思いもよらない結末を迎えた。これからこの作品を読む方は、必ず最後まで読み切ってほしい。 『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』は、霊媒師 城塚翡翠の直感と、ミステリー作家 香月史郎の論理が重なり合い、殺人事件の真相を紐解いていく推理小説である。異質なタッグから繰り出される明晰な考察は、とても心地いい。最終話、満を持して対峙するシリアルキラーを、2人は如何にして追い詰めるのか…。誰もが固唾を呑むことだろう。しかしこの

          2021/10/28; 『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』

          2021/10/16; 「人生 出会い」

          RADWIMPSの1stアルバム“RADWIMPS”の1曲目を飾るのは、「人生 出会い」という曲だ。ある日この曲を歌っていると、めまぐるしく移り変わっていくメロディーと率直な歌詞が、当時多感な高校生だったメンバーの心情をそのままに表しているように感じた。時の流れに翻弄され時に喜んだり落ち込んだりしながら、何とか快活に乗り切っていく。そんな10代の生活そのものが、「人生 出会い」には閉じ込められているのだ。 思い返せば僕の高校時代もそんな感じの毎日だった。「人生 出会い」に歌

          2021/10/16; 「人生 出会い」

          吉本ばななさん著「キッチン」を読み始めた。何だかとてつもないものを読み始めた気がした。眠れない夜になってしまいそうだ。

          吉本ばななさん著「キッチン」を読み始めた。何だかとてつもないものを読み始めた気がした。眠れない夜になってしまいそうだ。

          2021/10/09; 短歌に触れる

          『万葉集-ビギナーズ・クラシックス 日本の古典-』を読み終えた。万葉集という奈良時代の歌集から、選りすぐりの歌を現代語訳・注釈付きで紹介してくれる本である。 なぜ急に古典の歌集を読むことにしたか?それを説明するには、私の近況から話さなければならない。 私は昔から、自分の感受性の鈍さに呆れていた。名著を読んでも「ふーん」、綺麗な景色を見ても「へぇ」。それぐらいの感想しか出てこない。そのせいで友人の達者な感想を見聞きしては、なぜ自分にはこんなにもセンスがないのだろうと落ち込み

          2021/10/09; 短歌に触れる

          2021/10/08; 上高地探訪記

          この前、会社の友達と上高地へ行きました。よく晴れた日で、あらゆるものがとても綺麗に見えました。 ここですね。何回行っても素晴らしい場所です。 ハイキングの道すがらどんどん大きくなる北アルプスの山々は、空色の画用紙にのりで貼り付けられたようでした。ただでさえ大きな図体に、くっっきりとした稜線が相まって、異様な存在感があります。僕の脳みそには、あの山に登りたい!という気持ちが生まれました。それは無から有が生まれるように突然なことでありながら、ごく自然なことでした。北アルプスの

          2021/10/08; 上高地探訪記