2022/04/10; 穏やかな時

「満足した時」にだけ、見える世界がある。お腹いっぱい食べた時、友人と楽しい時間を過ごした時、長い道のりを走り切った時…満足の種類は何でもいい。ただ心から満足した時に見える景色は、とても穏やかで、ずっと見ていたくなるほどきれいなものなのだ。

今日見た景色は、まさにそういうものだった。夜になって、湖畔のベンチに腰掛けた時、僕はぼんやりしてしまった。あまりに穏やかな世界が目の前に広がっていたからだ。その世界では、他の存在に干渉しようとするものは1つもなく、全てが寄り添い合っていた。水面に揺れる街灯や風の音なんかが、見えたり見えなかったり、聞こえたり聞こえなかったりと、僕の感覚をゆらゆらと刺激した。僕たちは穏やかな世界を眺めながら、邪魔をしないよう小声で話をした。自分の満足と、この世界はその満足が生み出したものだということを悟ったのは、その時である。

高嶺の 頂きで聞く 風の音は いまに息づく 私の呼吸

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