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あの日、私たちが否定したものの正体。

時を経て、過去に悩んでいた自分にアンサーが降ってくることがある。

昔の恋人をSNSで見かけた。私が知らないお店や音楽についていっぱい投稿していて、当時は私に合わせて好きだと言っていたのであろうマンガの投稿なんて一つもなかった。

付き合っている時は誰よりも近い存在だった人が、別れた途端誰よりも遠い存在になるから恋人って不思議だ。

そんな今や遠い存在となった彼のSNSを眺めていて、当時の悩みというかもやっとした出来事を思い出してしまった。そして、そのアンサーがとあるマンガから降ってきた。

価値観の根源

4年前、当時付き合っていた恋人とデートについてLINEでやり取りをしていた時の話だ。彼は、私が「どこへ行こうか?」と聞いたら「どこでもいいよ!(私の名前)が行きたいところが俺の行きたいところだから!」と大真面目に答えるような人だった。一緒に考えようと提案しても改善されることはなかった。

その結果、私は彼とデートの約束をするLINEが大嫌いになった。

後々理由を聞くと、最新のお出かけスポットに詳しい女性の方が、適切な場所へと導いてくれるのではないかと思っていたと言うことだった。

この出来事がきっかけで段々と噛み合わなくなり結果的にお別れしてしまった。それ以外はとても優しくて素敵な人だった。

お別れした直後は、たかが小さなコミュニケーションの相違ごときで別れる必要があったのだろうか。私はなんて短気な人間なのだろう...。と少し悩んでしまった。

だけど、その悩みに対するアンサーが鳥飼茜先生の『サターンリターンだった。

でもね、卑小なこだわりって実は価値観の根源なのよね。私たちはお互いの大切なインスピレーションを否定してしまった。『サターンリターン』より

あの日否定したもの

端的に言ってしまえば、LINEのやり取りが噛み合わないのが嫌で彼氏と別れた女の話だ。

だけど、『サターンリターン』の言葉を借りるなら、デートの行き先を決めるというデートの過程から楽しみたいという、ある種の価値観を否定されたのだ。彼は彼で、超効率的な思考?を私に否定されたと思っているのかもしれないが...。

どちらが良い、悪いとは思わない。けれど、『サターンリターン』でいうように日常に潜む小さなこだわりは価値観の根源であり、それを否定すると言うことは人との関係性を破滅へと導くことがあるのかもしれない。

今回ご紹介したセリフが登場する『サターンリターン』は、小説家の女性とかつての恋人であり自殺した青年・アオイを巡るサスペンスマンガだ。

衝撃的なストーリー展開はもちろん、男女の関係性についてリアルに切り込んだ心抉るようなセリフの数々は必見だ。

過去の恋愛に思い悩む方にとっては、本作を読むことでその答えが見つかるかもしれない。


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