2023年7月「読んだ!」マンガまとめ
こんにちは。マンガライターのちゃんめいです。
新旧問わずに今月読んだマンガを全て紹介する本企画。元々マンガが大好きで毎月たくさんマンガを読んでいましたが、マンガライターとして活動し始めてから読む量が尋常じゃなく増えました。できることなら全作品しっかりとした漫画評を書きたい! けれど、現実的になかなか難しい。いやでも、せめてあらすじや一言感想メインだけでも!……という謎の使命感からこのnoteが誕生しました。
ちなみに、「Real Sound ブック」さんでは“今月発売された新刊”というしばりでおすすめのマンガを紹介しているので、とにかく新作が読みたい! という方はこちらもぜひ。
読み応えのある、または濃密な漫画評が読みたい方にとっては、こちらのnoteはかなり薄く感じるかもしれませんが、もし良ければ読んでいってくださいませ。この記事があなたにとって新たなマンガとの出会いになりますように。
▼ 過去の記録はこちら
地獄楽(全13巻)
罪人たちが無罪放免をかけて不老不死の薬を奪い合う、和風ダークファンタジー。アニメ1期が7月1日に最終回を迎えたのですが、それに合わせて「和樂web」の元編集長であり、『日本文化 POP&ROCK』の著者でもあるセバスチャン高木さんにご登場いただき、史実から『地獄楽』を徹底解剖しよう! というインタビュー企画を担当させていただきました。
そもそも史実とは“歴史上の事実”ではないんだよって話とか。あと、『地獄楽』という物語の時代設定の妙、当時の忍者のリアルなど……日本文化の有識者だからこその読み解き方が本当に面白い。ぜひに。
ババンババンバンバンバンパイア(5巻)
あれ? 私がいま読んでるのってバババだよね?……と、何度も確認したくなる程の激バトル回でした。 個人的なMVPは坂本先生なんだけど、生足魅惑のマーメイド兄さんも良いキャラだった。バババを読んでいると、小さな時に『魔法陣グルグル』を読んでひたすらに爆笑していた時の思い出が蘇る。あぁ、マンガって本当に楽しいなって。私の尊くて大切な原体験が刺激されます。
ドラQ(1巻)
人間と吸血鬼、異種族間の恋愛だからこそのロマンスというかラブシーンに心奪われたんだけど。パコの社会の窓がフラッシュしてたり、アメリ父が愕然とするシーンであえて1ページ丸々使ってたり。 ラブだけじゃない、あの“かましてくる”感じが本当に千代先生! って感じで最高なんですよ。
「mi-mollet」さんでは真面目なテンションでレビューを書いているのでこちらもぜひ。なんと1話無料試し読み付きです🫀
ラストサマー・バケーション(上・下巻)
ずっと美月の笑顔が脳裏から離れなかった。喜びではなく、怒り、哀しみ、薄暗い感情の全てを隠すような笑顔。 そんな彼女が最後にどんな笑顔を見せるのか。それが見たくてなんだか祈るように最終話まで読み進めてしまった。胸にどしりと刺さる衝撃作でした。
スルーロマンス(1巻)
恋とか、愛とか、どうして周りのみんなはソレを普通に手にしているんだろう。年々さ、もうわっけわかんね~! と放棄したくなる議題に容赦なくグサグサと切り込んでくる。 こんなにも”声に出して読みたい”モノローグを連発してくる作品ってあるだろうか。
厭談夜話(1巻)
夜一人になった時、じんわりと脳裏に蘇るタイプの厭(いや)〜な階段話を集めたホラーオムニバス。 蒸し暑い夏の夜に読むと、肌に纏わりつくようなじっとりした空気感が本作の怖さを増しましにするというか、厭~な臨場感を味わえるのでおすすめです。
スクールバック(1巻)
高校の用務員・伏見さんと、大人と子供の狭間で悩む生徒たちが織りなすヒューマンドラマ。 担任でも、親でもなく…...絶妙な距離感で会話、じゃなくて“対話”をしてくれる大人。私も欲しかったなぁ。でも、本作を読むことで昔のあたしが救われる気がする。
ダイヤモンドの功罪(2巻)
野球の試合で「勝たせてあげよう?」と提案する主人公。片や、挫折が人を成長させると思い「頼むから打たれろ!」とチームの敗北を願うコーチ。 勝つか負けるかではなく、もっと別の思惑というか、ヒリつく緊張感をお見舞いしてくるマンガ、そうないぜ...…。
抱きしめて ついでにキスも(1〜11巻)
アラサーOLと10歳近く年下イケメンが織りなす、ぎえ〜〜〜! と悶えるタイプの歳の差ラブ。あぁ、私、恋愛マンガ大好きだったよなぁと。少女漫画に没頭していた時代の自分がふっと戻ってきました。本作に関しては、思いの丈を綴った記事がそろそろリリースされますのでしばしお待ちください。
エロチカの星(1巻)
その業界の頂点を目指すクリエイター群像劇って、もはや一大テーマになりつつあるけど、なるほど「成年向け漫画」の頂点とは斬新……! 売れない中年作家とタッグを組むのが官能美術・文学に造詣が深い女子大生なので、性表現へのある種リスペクトや情熱があって良い。
ホテル・ローレルの渡り鳥たち(1巻)
豪華なお部屋に贅を尽くしたご馳走、さらに超一流コンシェルジュによる完璧なおもてなし。そんな世にも優雅なホテル・ローレルを舞台に、そこに宿泊する人々の人間模様を描いた『ホテル・ローレルの渡り鳥たち』。
ページをめくるたびに、おそらくホテル・ローレルとは現世の冥界と境界に位置する場所であり、そこに辿り着いたゲストたちはおそらく亡き者、あるいは生死の狭間を彷徨う者なのだろうと......。幻想的な世界観とは裏腹に、そんな薄暗い推測が心に重くのしかかる。でも、生死が宙ぶらりんの状態で、自分の好きなことに没頭する者、夢を叶えようとする者、過去と向き合う者。ゲストによって、過ごし方は様々だが、現世のしがらみにも何にも囚われず羽を休めることで見えてくる、いや、逆にクリアになる自分の欲望や願い。『ホテル・ローレルの渡り鳥たち』には、そんなある種の人生における“執着”のようなものが浮き彫りになる、奥深い人間ドラマとしての魅力が詰まっている。
星旅少年(3巻)
食べ物や肌に触れた時の感触。五感と思い出は繋がっているし、時には当時の感情を追体験させるよねと。記憶の尊さが胸に沁みる巻だった。 紙はもちろん、電子での読書もおすすめ。就寝前の暗い部屋にぼんやりと灯るこの感じ……星旅の“青の世界”に優しく沈み込んでいく。
動物人間
なんかTikTokでやたら1話が流れてきて(ヤングアニマルの公式垢です)気になって購入した『動物人間』。 結論、マッッッジで面白かった。内容的に“面白い”という表現は適切ではないかもしれないけれど、1ページめくるたびに予想を遥かに超えてくる絶望と試される倫理観。もっと早く読めば良かったぜ……。
守娘(上・下巻)
清代末期より伝わる台南の三大怪奇事件をベースに、鬼神・迷信を融合させ当時の女性差別を描く。 “女にはできないことが悪霊になれば簡単にできる” 当時の壮絶さを象徴するセリフ。水墨画のように美しいタッチがまた深い悲しみ、怒りが迫ってくるようで引き込まれる。
艮(うしとら)
あの『日出処の天子』でお馴染み、山岸凉子先生の傑作ホラー作品集。 涼やかで美しい絵と共に綴られる怪異譚の数々。幽霊や怨霊の存在にとどまらず、この世とあの世という神秘性に迫る系のホラー。 静かに、だけど確実に心にじんわりと刻まれる怖さがたまらない。
じゃりン子チエ(全34巻)
古き良き昭和の大阪を舞台にした、国民的マンガ『じゃりン子チエ』。物語の舞台である関西地区では、何度もアニメが再放送されるなど、長きに渡り根強い人気を誇っている大名作…..! 新装版『じゃりン子チエ』の最終巻発売&「大阪ほんま本大賞」特別賞受賞記念で、本作の大ファンを公言する霜降り明星・せいやさんに取材させていただきました。
実はうちの父親も『じゃりン子チエ』の大ファンでして。 今回の取材を担当することが決まった時、真っ先に父親のもとを訪ね、父の漫画棚から単行本を奪……いや、借りて久々に読み返しました。父よ、ありがとな!!!
女囚霊~塀の中の殺戮ゲーム~
『女囚霊~塀の中の殺戮ゲーム~』という漫画が映画化すると聞いて。こんなにも面白そう(怖そう)な作品を私は読み逃していたのか! と急いで購入。 いわく付きの懲罰房という極限の封鎖空間で繰り広げられるホラー。 とにかく色んな角度から“追い詰めてくる”作品。人の罪と罰、巡る因果……怖さの裏にある哀しさにも注目です。
ミワさんなりすます(7巻)
八海さんや凛ちゃんのようなスーパースターと、片や一般人でなりすまし家政婦のミワ。そんな絶対に交わらないはずの両者を繋ぐものの正体が少しだけ掴めたような巻だった。 この作品は読み終わった後いつも放心状態になるぜ……。
2023年7月雑記👒
まずは毎回恒例の今月のお仕事報告から。
▼ インタビュー:呂布カルマさん『ブレん人』インタビュー
呂布カルマさん、待望の初書籍『ブレん人』の発売を記念したインタビュー記事を2本担当させていただきました。現代ならではの悩みを斬っていただく人生問答は必読です。
▼ インタビュー:霜降り明星・せいやさん 『じゃりン子チエ』が愛され続ける理由
“じゃりン子チエの大ファン”を公言する、霜降り明星・せいやさんに取材させていただきました。 本作との出会い、色褪せない魅力とは?
▼ コラム連載:あちらのお客さまからマンガです/第8回
私が大切にしている“怒り”という感情と、大好きな田島列島先生の『水は海に向かって流れる』について話しています。
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あらゆる方面で私はなんて才能がないんだろう、どうして私はこんなにできないやつなんだろうって痛感する日々です。これは、自信がないとはまたちょっと違う。常に自信と誇りとプライドをもって挑んでいるし、全てを打ち返しているし。でも、あなたには何か才能がありますか? と言われたら、いやないよねって思ってしまうんだよな。
これは、いつだったか作業しながらとあるラジオだかPodcastを聴いていたときにふと耳に入ってきたリリー・フランキーさんの言葉なのですが。
『NARUTO』のロック・リーは“努力の天才”なんて言われていたけど、私はやめないことに関してはマジで天才。つまり、一度始めたことは周囲が引くほどやめずに続ける…….“やめない天才”だと勝手に自負しています。となると、リリー・フランキーさん論でいくと、私はずっとずっと続くし、もしかしたら何かになれる日がくるのかもね。じゃあ、何かってなに? と言われたらよくわからないし、そもそも目指していないのかもしれないけど。とりあえず、続けてみようか。
最後に、8月も頑張るぞ! の気持ちで。私が憧れてやまないお二方をシェアハピして締めよう。
ーーわたしの好きなひとたちは決して歩みを止めない。傷ついてもむしろそれによって耀きを増す。
なんか昔から内面的なところで“男性”に憧れというか、こうありたいって像を見出しがちなんだけど。なんなんだろうこの現象。宮本浩次氏、エドワード・エルリック…….この二人みたいになりたいって思いながらずっと生きている。歌手や錬金術師になりたいのではなく、生き様に憧れるんですよね。言われてみれば、エレカシもソロ次(ソロの宮本浩次氏の略)もエドワードも、しきりに「前へ進め」「歩みだせ」「旅に出よう」とか、とにかく前進させるメッセージが多いよね。大好きです。
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