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『五等分の花嫁』美しき5人の姉妹たちのアイデンティティの確立と人間的成長に注目して

"5人の美少女を巡るラブコメディ"と聞いて、昔何となく読むのを敬遠していた作品がある...。

それが春場ねぎ先生の『五等分の花嫁だった。

マンガは大好きだけれど、読了後に何かしらの発見や新しい感情の高まりが欲しい私にとって「5人の美少女」だけでは引きが弱かった。

けれど、このシーンをアルの「コマ投稿」で見かけてから、五等分の花嫁』には「5人の美少女」以上に姉妹の絆や人間的成長と言ったヒューマンドラマとしてのメッセージがあるのではないかと思うようになった。

こうして一つのコマがきっかけで読み始めた『五等分の花嫁』。今ではすっかりこの作品のファンで、その中でも中野 二乃(なかの にの)というキャラクターが大好きだ。

今回は、私のように単なる美少女系ラブコメだと思って『五等分の花嫁』の敬遠している人に向けて、本作と二乃の魅力を紹介したい。

彼に与えられたミッションは美しい五つ子姉妹を卒業させること

貧乏だけれど成績優秀な高校2年生の上杉風太郎は、生活費を稼ぐために家庭教師のアルバイトを引き受けることに。そしてこの家庭教師のアルバイトの教え子こそが、同級生の美しい五つ子の姉妹たち...。

勉強嫌いで一癖も二癖もある美しい五つ子たちに四苦八苦する風太郎。本作は、そんな風太郎と彼女たちの波乱万丈な日々と、やがてその内の1人恋愛関係に発展し結婚するまでを描く物語だ。

1巻の冒頭では、風太郎が五つ子のうちの一人と結婚式を控えており、高校時代を思い返す形式でスタートする。

風太郎は誰を選ぶのか?そんなちょっとしたRPG(ロールプレイングゲーム)のようなワクワク感もあるところが本作の魅力だと思う。

彼女たちのアイデンティティの確立と人間的成長

私がこの作品で一番注目したいのは、彼女たちのアイデンティティの確立と人間的成長だ。

顔もそっくりな美しい5人の姉妹たち。もちろん性格や趣味趣向はそれぞれ異なる。それぞれが個人のアイデンティティを持っていたとしても、常に一緒に過ごし、母親との約束によって「五つ子」という繋がりに囚われている彼女たちにとっては、個人として確立するのは難しく反対に5人での共有アイデンティティを色濃く感じるようなシーンが多い。

幼少期は「五つ子」という繋がりに助けられ結束し強く生きてきた美しい5人の姉妹たち。そんな彼女たちが風太郎の存在をきっかけに、悩んで苦しみながらも一人一人が自己を確立していき強く成長していく様子はとても感動的だ。

とにかく真っ直ぐという言葉が似合う

五つ子の中でも私が一番好きなキャラクターがいる。それが、次女の中野 二乃(なかの にの)だ。

美しいロングヘアとサイドに結んだリボンがトレードマーク。五つ子の中で一番強気で思ったことはストレートに伝える性格だ。風太郎がやってきた時に、誰よりも彼を敵対視していたニ乃。でもそれは、姉妹たちの安全を守りたいという彼女ならではの強い正義感の現れなのだ。

その強い物言いと実は優しいというギャップから、彼女を一言でいうと「強めのツンデレ枠」に入るニ乃。だけど、私は彼女が一番の魅力は他の姉妹と接している時に出ていると思う。

これは、三女の中野 三玖(なかの みく)に対してニ乃が言ったセリフだ。

三玖は五つ子の中でも、一番口数が少なく自分に自信がない性格。もちろん恋愛に対してお奥手な三玖に対し、ニ乃が「あんたも可愛いに決まってんじゃん!」と背中を押すのだ。

自分も他の双子も可愛い、同じ顔をしている五つ子のあなたも可愛いのだと。「五つ子」の繋がりに囚われてきた彼女たちだけれど、こうしてその繋がりを強みにして相手を励ます...そんなニ乃のどこまでも真っ直ぐな強さに私はたまらなく惹かれた。

きっと応援したくなる五つ子がそこにいる

5人の美しい五つ子たち。美少女系ラブコメディとして読めば、きっとあなたの「推し」が見つかる!と言いたくなるところだ。

けれど、私は『五等分の花嫁』は「5つ子」という絆に苦しみながらも成長していく彼女たちのヒューマンドラマだと思っている。そんな一生懸命な彼女たちが紡ぐ物語を読み進めていくと、きっと応援したくなる五つ子がそこにいることだろう。

美少女系ラブコメだと思って敬遠している人には、ぜひそんな一生懸命な彼女たちに注目しながら読んで見てほしい。

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