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無職という不安

退職することが決まり、それを同じ部署のみなさんに伝えたり、取引先に後任を紹介したり、データを整理したり、という作業を粛々とやっている。

すると、突然「あ、わたしはパージされるんだ」と思ってしまった。

purge
【他動詞】
〔敵や望ましくない人物を〕追放する、粛清する
・The party purged its corrupt members. : その党は不正を働いた党員たちを追放しました。
〔望ましくないものを〕除去する、処分する
【名詞】
〔敵や望ましくない人物の〕追放、粛清
・Soviet officials lived in fear of a government purge. : ソビエトの役人は、政府による粛清におびえながら生きていました。
英次郎 on the WEB

ああ、これがパージか、という感慨もあった。

コミュニティからの離脱をするとき、さっぱり、すっきり、さようなら、というわけにはいかない。それなりの人間関係があり、一緒に過ごした時間があり、仕事であれば業務目標を共有していたグループから抜けるのだ。

うう、こめかみが痛い。顔が強張り、若干の痙攣もある。どう考えてもストレスだ。

そういえば、この感じは、初めてではない。

以前、ある習い事を熱心にやっていたのだけれど、生活が苦しくなり、続けることができなくなってしまった。そのことを先生に伝えるときの気まずさといったらなかった。当然、そこの仲間たちとも疎遠になる。こちらとしても、離れたかった。彼らが嫌いになったわけではない。共通点も多い人たちだけれど、彼らが大事に思っているものを大事にできなくなったのだから、利害が一致しなくなり、対立とまではいかないが、不協和音が生じる。みんな一緒にどこまでも歩けるわけではないのだから、仕方がない。

久々に「ああ、頭が痛い。こめかみが痛い」。これは群れを離れることによる恐怖と不安によって起きたものである。そして、ボス猿からの制裁、粛清(パージ)がボディブローのように効いてきた、ということなのだろう。これは、わたし個人の感じ方ではなく「類人猿の宿命」なのではないだろうか。失われるのは収入だけではない。同時に人間関係も失われるのだから。

(そういえば、失恋したときも、頭が痛くなるような)

「別れの痛み」も、また滋味なり、と言えるほど大人じゃないので、どうにもこうにも、体調が悪い。

無職の不安、来年の税金の不安など、不安をあげていけばキリがないが、パージされたおさるのわたしは、次の群れを見つけるまで、放浪の旅をするしかないのだ。

おそらく、人間は群れの中にいないと生きていけないようにプログラミングされているのだ。まあ、群れで行動しないと、チーターとかに食べられちゃったんだろうから、リスクヘッジの観点から、互いが互いを必要としていたのだろう。ただ、今のわたしからすると、正直、初期インストールされている要らないソフトだよ。マカフィーだよ。

はあ、まだ、こめかみが痛い。


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