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#映画感想文172『LAMB/ラム』(2021)

映画『LAMB/ラム(原題:Lamb)』(2021)を映画館で見てきた。

監督・脚本は、バルディミール・ヨハンソン、ノオミ・ラパスが主演の2021年製作、106分のアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作である。

ずっと予告編を見てきたので、やっと見られて感慨深い。

アイスランドの羊飼いの夫婦が主人公である。この夫婦はその昔、アダという娘を失っており、その後に子どもを持つことなく、羊の世話をして日々を淡々と暮らしている。そんな二人は羊のお産があれば駆けつけ、助産師のようなことをしている。ある日、いつものように夫婦がお産を手伝っていると、半分羊で、半分人間の赤ちゃんが生まれてくる。二人はその赤ん坊を人間のように育てることを決める。

とまあ、予告だけで、このあらすじはわかるようにできている。不穏な物語であることは、この際、脇に置いておこう。

まず、この映画の監督もカメラマンも動物が好きな人たちなのだと思われた。羊たちも、犬も、猫も、羊人間のアダも、とても可愛いのである。わけのわからない気持ち悪い存在としては撮っておらず、どことなく愛が感じられる。

そして、アイスランドの牧草地帯、霧がかかった山々の風景が、何とも独特である。そして、日照時間の長いこと、長いこと。今が何時なのか、昼なのか夜なのかがわからず、時間感覚が狂ってくる。

夫が湿地帯を走るところもよかった。アイスランドならではの気候や土地の雰囲気がなんとなくわかる。

鑑賞後、Twitterでバカ映画呼ばわりされていた理由がわかったのだが、あのラストで一気に芸術的、前衛的作品でなくなってしまったのが少し残念ではある。ただ、仄めかしや暗喩で終わらせたくなかったのだろう、と思う。

犬は死に、猫は生き残る。やはり、同じペットとはいえ、猫は本能が残っている、ということなのだろう。

猫がアダに向ける視線は「こいつ、何やねん。どないなっとんねん」という感じで、やはり、犬のそれとは全然違っていたような気がする。



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