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娘を自分の王子様にしようとする母親

Aちゃんの話

Aちゃんという仲のいい友達がいた。
Aちゃんは家族のことも良く話すし
普通の家庭の子なんだろうなと思っていた。

だが、Aちゃんの家庭では
娘であるAちゃんと、息子であるAちゃんの弟との対応の差が酷かった。

女であるAちゃんは小さいころからお小遣いというものを一切もらえず、小さい頃は近所に住んでいる祖父母に頼んで必要なものを買ってもらっていて、高校生になってからは学費や生理用品や食事代ですら自分でバイトで稼いだお金で賄っていた。そのうち自分のものだけでなく、母親の生理用品も食事代もAちゃんのバイト代で賄うようになっていたらしい。

Aちゃんの家はお金がないわけではない。
Aちゃんの親は男である弟には毎月お小遣い40万円を渡していたらしいし
何度かAちゃんの家に遊びに行ったことがあるが
Aちゃんの部屋には家具や家電はおろか机すらなく物は床に直置き
変わって小学生の弟の部屋には当時は今よりはるかに値段が高かったブラウン管の46型TVを始め大型のベッド、大型のソファー、高額な家具や家電、たくさんのゲーム機やソフト、有名人のグッズ等がおいてあった。

男である自分(父親)と自分の分身である息子はお金をたっぷりかけて
女、つまり妻や娘には「女に金をかけるのは無駄」「女にはビタ一文くれてやる必要はない」というご立派な男尊女卑の信条の家だった。

地元ではこういう家庭は珍しくもなんともなく無くデフォルトだったが。

Aちゃんの高校進学も「女に学は必要ない」(金の無駄)と親に反対されていたらしいが、祖父母に頼んでどうにか受験出来たらしい。

Aちゃんの父親は人の下に付くのが嫌で会社に勤めたりせず
自ら企業と廃業を繰り返して常に社長業をしており、見栄っ張りで、
会社が上手くいっていない時でも
新車を何台も買ったり、高い料理を周囲の人間に奢りまくったり
(そうすることでチヤホヤされたり)
己の見栄のためにじゃぶじゃぶお金を使ってしまう人だった。

もちろん仕事が上手くいってない時でも息子の毎月のお小遣い40万円は変えなかったらしい。

そのせいでAちゃんの両親は喧嘩が絶えなかったらしい。
Aちゃんは喧嘩と言っていたが話を聞いた限りでは
喧嘩というより一方的な暴力だったと思う。

Aちゃんの父親は子供には暴力を振るわなかったらしいが
経済的DVを行っていたし
妻には酷い暴力を振るっていた。

超氷河期真っ只中の当時、Aちゃんは高校を卒業した後も在学中に働いてい場所でバイトを続けていたが、小遣い40万の弟はそのままDQNになり地元で悪事を繰り返し、父親と同じように家族に暴力を振るうようになり、仕事なんて出来ない・したことがない高齢専業主婦の母親は、シフトが増えて以前よりお金が稼げるようになった娘に

「可哀相なお母さんを(お父さんや息子から)助けてくれるよね?」
「お母さんを見捨てないよね?」
「お母さんを置いて出て行ったりしないよね?」

と、べったりとくっついて呪詛を吐く重しになった。

母親にとって息子は小さい恋人などとよく言うが

母親=悲劇のヒロインで
娘=可哀相なヒロインを救い出してくれる白馬の王子様

という、娘を自分の王子様にしようとする母親も少なくない。

本当に可哀相なのは誰なのか。
この家庭という名の物語で本当の悲劇のヒロインは誰なのか。

Aちゃんは2年分の稼ぎが溜まったら家族のいない土地に逃げた。

この家庭の物語での母親はヒロインではなく魔女である。


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