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橙のピオニー

神々が見せる、花々の魔法
僕は一本のギターで魅せるさ

豊かな羊雲が浮かぶ農村で
少年が綴った物語

音に引き寄せられて、集う獣達
二重螺旋シンパを音楽で断ち切れば
オオカミと狩人だって、番になれるのさ
童話の世界みたいに…

ああ、欲しいものは既に持っている
星空と天気雨、文字を綴るペン

けれども道は一つで出会いと別れ
相容れない敵兵(僕等)だけ、残されてしまうの?

We are alone.
永遠に語られる事ない、人生の最初に
呼掛けた、母の姿を憶えてるかい
陽光で焦げた肌を晒しながら

The rising sun.
僕達は邂逅《真理》を知らずに生きている
腕の片方が、焼け落ちたとしても
世界は眩しすぎる残響で、目を瞑るよ…


『橙のピオニー』


平和な少年の村、絵描きが歌う
ソラトバズして死んだ、鳥達の石膏を
記す作家の震える指先から
音楽は生まれたんだよ、と詠った

ギター片手に少年は
青空の景色、見つめてる
噛み殺された狩人が、オオカミの
毛皮を抱き寄せる世界…


嗚呼、日々(戦争)は終わらず今日も終わる
陽溜まりに咲いた花畑(Earth)に、旅人が涙溢す
いつか敵兵(僕等)の皮膚も焼け落ちて

言葉がもつれたまま終わる
そうじゃない、別れの後には、再び「出逢い」を…


We are united.
永遠に紡がれる人生の最期に
笑い合う敵兵(君)と、明日を迎えに往こう
昔話を冗談にしながらさ

The setting sun.
彼方、地平線まで届け
伸ばした手で、愛しい人『オオカミと狩人』も抱き締めるように

少年がギターコードに託した
眩しい朝陽の訪れで

ほら、また涙は頬を伝うよ


Ps.神楽鳴

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パイエオン:癒しの神。
女神から陣痛の痛みを取り、ハデスが戦争で受けた傷を癒した。名声を妬まれ、殺されてしまうが、ハデスの力でピオニーという花へ生まれ変わる。    
     

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