読み手に読解力を求めない :ゲーム説明書の文章力アップ術(ゲームのルールの伝言ゲーム)
こちらはアナログゲームマガジンの連載「ゲームのルールの伝言ゲーム」の21回目、途中から有料となります。文字数は約3,000字です。
はじめに
「ゲーム説明書の文章力アップ術」と題して、テクニカルライティングについて語る2回目です。
今回は、読解力についての話です。
何かと話題になる読解力
2018年に出た『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』という本が、世間をにぎわせました。
自分は、後述する「RST」を先に知っていて、その出どころである本書を読んだのはつい先日でした。
かいつまんで内容を説明すると……
「AIに取って代わられない仕事、それは『読解力』の必要な業務。しかし日本の教育では読解力があまり身につかず、そもそも教科書を正確に読めていない子もいるので危機的状況ではないか」、というものです。
将来の仕事を考える上でも面白いので是非。
話は戻りまして、著者がAIの能力を試す中で生み出された、読解力を測る指針の「リーディング・スキル・テスト(RST)」というものがあります。
下のURLによると「読解のプロセスを11段階に分け、プロセスごとに正しく実践されているかどうかをチェックする」テストです。
具体的には、11の読解プロセスを、以下のような7分類の能力値で評価していくそうです。
子ども向けのテストかと思っていましたが、大学生・社会人用のテストもあります。RSTの具体的な問題パターンは、同著者の『AIに負けない子どもを育てる』に数十問が載っています。歯ごたえありましたし、少し間違えました。
ただ、ここで取り上げることはできないため、代わりに企業向けパンフレットに載っている例題から一問を。
どうでしょうか。
解けた・解けなかったかはさておきます。今回の記事では、「こういった問題が社会人向けテストに出る」ことから、「こんな文章は理解されないかもしれない・誤解される可能性がある」と考えて話を進めていきます。
文章として美麗で正しいものであっても、読解力が必要な文章であるほど、誤読されやすくなるようです。
アナログゲームの説明書においては、誤読を避けるためにも、読解力が要るような文章は書かない方が良いと言えるかもしれません。
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