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坂岡恵
2022年11月14日 21:30
題はまだないのです。昭和のビルの間を通って電車に朝日が差しているすこしばかりオレンジ色を帯びたまま無限の層になって光はつねに揺れているそれはわたしも同じなぜならわたしはつねに無数に存在するからいま、ここに揺れているわたしはいままでに訪れたすべての海辺にいるトーストの目の前に釣り人と学生と飼い犬の間にひとりでいる電車がわたしを揺らすのではないわたし
2022年11月15日 11:50
わたしはあなたの輪郭をなぞってあなたを存在させてみせたい見えないあなたの毛先を撫でてまぶたを拭いほほと首筋の丸みに触れたならあなたはここにいるたしかにあなたはここにいるのにあなたの喉に触れようとすると指先がワイヤーで吊られたようにこわばってしかたがないそれでもわたしがあなたに触れようとするのでワイヤーが指先から第二関節に伝って割れてゆく薬指(と呼んでよ
2022年11月15日 21:11
拒食は消極的な自殺と聞いたことがあるなるほど、食べなくてはひとは死ぬそれでいて食は任意であるひとはおのおのの時間におのおのの食事を取るそこに自分自身を見出すのは容易だまさに休みなく酸素を摂取するすべての生きものとここでこのテーブルでこの世にひとつのハンバーグを前にするたったひとりのわたしはあたかもべつものだしかし任意に生きるわたしと不随意に生きるわたしは二重で
2022年11月21日 08:43
毎朝シャワーを浴びる というルーティーンでわたしは世界と折り合いをつけている閉じかけの目はそのままに衣服を脱ぎ一枚ごとに日々のルーティーンへ迫るもっとも動物らしい姿になりなぜか重くなる体を浴室へと持ち出すやっとシャワーに温水が届き周辺の時空間をいっときに変化させるその一瞬おきにわたしはすこし救われる思いがする湯気とともに細やかな粒子が浴室を包んだらわたしの体も