#3_字と向き合う
眠れない日がめっきり増えた。
それは、仕事に行っていないから、ストレスが少ないからか、
良いことなのか悪いことなのかは分からない。
ただ、それまでは、23時半には眠りについていたところを
24時を過ぎても、お酒を飲んでも、薬を飲んでも、寝られない。
そんな日は、自分の書いた字と向き合う、そんなことも試している。
小学校に入ってから15年くらい、書道を習った。
書道の時間は好きだったし、墨の匂いも、あの緊張感も、
先生がつけてくれる朱色の丸も、好きだった。
うまくかけなくても鉛筆と違って消せないという緊張感で、小学2年生でいながらにして、うまく書けなくて泣いたことだってある。それくらい、書道に対してプライドを持っていたのだろう。
黙々と紙に向かうあの時間は、好きだった。
いろはにほへと、ちるぬるを...
久々に筆をとると昔のようにはいかないのだが、
無言で向き合うということが性に合っているので
何回も、何回も書き直す。
夜中の書道は決して、うまく書けるものではないが、
朦朧としながらも、
筆と墨、紙、そして自分の腕と相談して書く作業は、
背筋が足りなくて、姿勢が崩れていったり、集中していないで書く字は、見事にひどいバランスになったりして、自分の適当さや弱ささえも、教えてくれる。
2時間くらい書いていると気が静まる。
そして、よく眠れる。
……ということは、要は疲れていないということかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?