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大学生に講演して気づいた、世代によって異なるFemtechの興味領域

先日、名古屋大学 学術研究・産学官連携推進本部 Tongaliプロジェクト事務局で開催された「女性のためのソーシャルビジネスワークショップ」に登壇する機会があり、大学生にFemtechについて1時間ほど話しをした。
大学生がどういった視点に興味を持っていただけたのかも含めて共有したい。

聴衆は誰なのか?

普段は30代以上の社会人に話す機会が多いため、大学生がFemtechの何に興味を持っているのか、さっぱりわからなかった。
そのため、知り合いの大学生3名に事前にヒアリングをした。

【事前に大学生から聞いたヒアリング】
・タンポン、使わないですね。アプリケーターって何ですか?
・避妊は興味のある分野です
・ピルは飲んでいる子います
・海外の事例、面白いですね。日本遅れてますね
・Femtech製品が便利なことはわかるんですけど、現状はどんな状態なんですか?
・なんでMegumiさんが、Femtechに取り組んでるんですか?

正直、意外なワードが多く、聴衆を意識した事前ヒアリングの重要性を認識した。
筆者は、講演する際は必ず聴衆が誰で、なぜ自分に依頼してきたのかを必ず聞いている。そして自分に何を求めているのかわからないと、「いい話し聞いた」で終わってしまうのはもったいないと思っている。

今回、事前ヒアリングに協力いただいた大学生3名には、この場を借りて御礼を申し上げたい。

海外のオンラインピル提供サービス

adyn(米国)

ピルを服用時に、自殺願望にかられた経験のあるElizabethが、女性個人にあった避妊方法を提案したいという思いで起業。

世界初の避妊方法の副作用を最小限に抑えるために、自分にあった避妊薬がわかる自宅検査キットで、唾液と指先の血液のサンプルから、ユーザーのホルモンレベルを分析し、副作用を特定したあと、避妊薬を郵送で送ってくれるというサービス。

新型コロナウイルスの影響もあり、自宅検査キットは増えてきているが、adynのように自宅で検査をして、パーソナライズされた薬やサプリメントを提供するビジネスモデルは徐々に増えてきている。

Reya Health(加国)

ピルによる体重増加やにきび、気分のむらに苦しんだDallasが起業。自宅で採取した唾液をラボに郵送することで、DNAやホルモンレベルに関するデータに基づき、個人に最適な避妊方法を紹介してくれるサービスを提供。

カナダは国土面積世界第2位でもあるため、自宅検査キットが豊富。以下の記事でも紹介しているので、参考にしてほしい。

参加者の感想

大学生のFemtechに興味・関心のある領域は月経や避妊だが、母親の影響を受けて、更年期に興味のある大学生もいた。
ちょうど母親が更年期世代でもあるため、更年期に興味を持ってもらえるのは、うれしい限りである。

日本には、女性の政治家やエンジニアが少ないため、他国よりもFemtechの広まりが鈍いことを学び、本国にとって、意思決定の場に女性を増やすことが喫緊の課題であることを改めて実感した。
また、所得に関係なく、Femtechの恩恵をすべての女性が受けられるような日本社会を実現していくにはどうすればよいのかについても、他国の事例を参考に考えていきたいと思った。

これまで学んできたジェンダー論のなかでも、まだFemtechの話は少なかったので、大変勉強になりました。
Femtechがまだ法律の壁の前に普及が難しいということを伺い、この法律の壁が、知名度向上と粗悪品防止の壁にもなってしまうと感じました。
一方で、性の話がタブー視されているというかつての状況から僅かずつ変化が見えてきているということにも関心を持ちました。
ご講演いただいたあとに皆で話し合ったのですが、ブレインストーミングで「女性だからこそ困っている」ことが意外に多く、驚くと共に、そのソリューションとして、Femtech展開の可能性を感じました。

身近にある問題や話題から、目を背けず向き合うことで、便利で役に立つサービスが生まれるのだと学びました。
ただ、Femtechという名前だけが一人歩きしないように、規制などを作る必要性も感じました。
Femtechは女性の健康だけでなく、命にも関わるサービスが提供できるからこそ、長期的に見て安心できるものにしていく必要があると思ったからです。

今回のお話しを通して「別にそれ要らなくない?」「改善しなくとも現状に満足してる」層へのアプローチが必要なのではないかと思いました。

日本における女性の社会進出には、まだ課題が多いことを理解できた。

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