見出し画像

ピクルス企画振り返り①~六次化とピクルスへの想いを添えて~

こんにちは、かなやんです!
ピクルス企画でバタバタしていて気が付いたら12月も半ば。
やることが多いことは幸せですが、あっという間に時間が過ぎすぎてなんだかもう一年めぐるめ福島で活動したくなってきました。
とはいえ原級(だと泣いてしまうので)していないことを祈りつつ、おとなしく去り行く先輩として、自分なりの視点で今回のピクルス企画を振り返っていけたらなあと思います。
※早速タイトルで嘘をつきました。本当は添えるどころか主役を張っている文量ですが、まあいいでしょう(?)。お付き合いください。

最近の一枚、もう冬

■「六次化」にこだわった理由


「六次化」「六次産業化」という言葉、今でこそ当ゼミ員ならばよく耳にするかと思いますが一般的にはそんなに知られている言葉ではないと思います。というのも三田論(プロジェクトとは関係ないゼミでの論文執筆活動)のテーマ決めで第六次産業というテーマを案の一つとして挙げたとき「なにそれ???」という反応が大半だった印象が強いからです。かくいう私も最初から深い意味をしっかりと意識していたわけではなく「地方出身で農業に興味あり」というやや偏った人間にインプットされていた語彙の一つでしかありませんでした。
さて時は流れて福島班での活動を企画する段階、私たちは「六次化」ではなく「商品開発」と銘打って活動するという選択することもできたはずです。加工品を作って販売する、アウトプットとしては同じものが出来上がりそうですよね。ではなぜあえて「六次化」という表現を選んだのでしょうか?

少し補足説明すると、農林水産省は六次化を「一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組」と定義しています。「農業者(一次産業)が、農畜産物の生産だけでなく製造・加工(二次産業)やサービス業・販売(三次産業)にも取り組むことで、生産物の価値をさらに高め、農業所得の向上を目指す取り組み」という意味合いが「六次化」という言葉にはすでに包含されていると言っても過言ではありません。

6次産業イメージ (出典https://www.pref.osaka.lg.jp/ryutai/osaka_6jisangyo/)

私は、「六次化」と「商品開発」の間にあるニュアンスの大きな違いは「誰が主役か」だと考えています。六次化は先にも述べた通り、言ってしまえば生産者さんが主役です。生産者さんの生産者さんによる生産者さんのための、ですね(若干違う気もする笑)。では商品開発はどうかというと、重きは開発者にある気がしています。ひとつの商品に「私たちが作りました」というポップを置くならば、六次化なら生産者さん、商品開発なら開発者(手を加えた人)といったイメージです。
他にもいろいろありますが、もう一つだけ観点を加えるならば「ゴールのイメージ」にも差があると思っています。六次化のゴールについては先に述べた通りです。商品開発はどうでしょうか。新しい商品が完成したら成功?完売したら成功? 言葉が大きいことが要因の一つではないかと考えられますが、広がりがありすぎて先が少々見えにくいきらいがあるな、と感じてしまう部分があります。もちろん商品開発という言葉を否定するわけではなく、ただ今回私たちが扱うテーマ「耕作放棄地」の難しさや複雑さ、そして私たちの活動理念を考えたとき、ベストな表現とは言い難いと感じました。線を目指しているが点に近く、少々言葉足らずといったところでしょうか。

詳しい話は省きますが(気になった方は以前のnoteをご覧ください)私たちは何も加工品を作りたいから作った、というわけではありませんでした。耕作放棄地という課題解決の一つの方向として予防の観点を挙げ、そのためには六次化を通じて付加価値向上や販路拡大、認知度上昇、そして生産者の所得向上を狙うのがいいだろう、だとしたら私たちは生産者が取り組むには人的・金銭的・時間的コストがかかりすぎる六次化のハードルが少しでも下がるような動きをしよう・・・といった思考プロセスを経て、最終的なアウトプットとして加工品を作って販売することにしました。
私たちの活動の意味合いが少しでも伝われば、そして私たち自身も方向性を見失わずに活動できれば、そんな想いを(勝手に)込めて、些細なことではありますがこの表現にこだわっていましたよ、ということでした。

■「ピクルス」にこだわった理由


さて六次化するとなったなら次は、何を作ろうか?という話になります。パスタソースと麺のセット、ベジタブルチップス、スムージーなどたくさんの案が出ました。その中でも実現に至ったのは「ピクルス」と「カルツォーネ」の二つ、その中でも私は最初から最後までピクルス推し過激派でした。ピクルスを激推ししていた理由は三つ、一つ目は超単純にピクルスが好きだからです。おいしいですよね。漬け方でそのお店の嗜好が出るのも面白いところだと思いますし、保存もききますし、手軽に季節のお野菜を楽しめますし、最近は見た目もかわいらしいお土産ピクルスも増えていて見ているだけでも飽きませんし、何はともあれ結局おいしいですし、いいところばかりですよね(早口)。

冗談(半分本気)は置いておいて、残り二つの理由は私たちの活動理念、そして六次化の目的に紐づいています。ひとつは「(手間なども含めた)コストが比較的低く、利益を挙げやすい」と考えたから、もうひとつは「野菜の素材そのものを活かすことができる」と考えたからです。
利益を上げやすい点に関しては、ピクルスを構成する要素が野菜・漬け液・瓶の三種類とシンプルでありながら販売価格が比較的高値に設定されている場合が多いことから、コストパフォーマンスがいいのでは?と考えたことが始まりでした。前述のとおり六次化は農作物をそのまま売るよりも利益を出すための取り組みであり、今回の企画で利益を出すことにこだわらなくとも、利益度外視で計画するものではないと思っていました。さらに私たちが介在する意味を考慮しても、製作コストは低い方が将来性があるとも思いました。
素材を活かすことができる点に関しては、加工品の特徴として原型をとどめなくなりがちであるということが引っかかっていたことが大きいです。六次化のいいところの一つは生産者さんの顔が見える部分でもあるのに、生産者さんが作っているものが見えない(主役になれない)のはもったいないなと感じていました。ただこの点は別の方向から見ると、これまでのターゲットの域を大きく出にくいというデメリットも孕んでいると思います。ピクルスとカルツォーネでたとえると、「アスパラのピクルス」と言われると普段から野菜を食べる人やアスパラガスを食べることに抵抗がない、どちらかというと好きな人の反応が大きいことが想像されます。一方「アスパラのカルツォーネ」だとカルツォーネが好きな人やイタリアンが好きな人の方が反応しそうだな、と推測できます(読み返したら少々わかりにくい例えだったと反省しました。ニュアンスを汲み取ってもらえれば)。

至る所で使われているピクルスいいしゃ

六次化の目的と私たちの理念を重ね合わせたときの、私に導けるベストな回答がピクルスだったということが伝わればいいなと思います。ただこれはあくまでも「私が導くことのできる」ベストであり、模範解答であるかは定かではありません。カルツォーネも然り、答えはたくさんあったのではないかと思います。今年度に限って言えば、ピクルスとカルツォーネという組み合わせは私たちなりのベストだったのではないでしょうか。

■(たくさんの反省と)形に残ったこと


添えられた想い、長かったですね。添えるとは?というレベルでしたね。結構削ったのですがこの文量でした。すみません。企画が始まる前段階でこの文量なので、いかにしてピクルス開発と販売までこぎつけたのかを語ろうとするともう卒業論文並のボリュームになってしまいそうなのでやめておきます。でも本当に大変だったのは構想を形にする部分であることは言うまでもありません。当たり前ですが私たちはこの活動以外にもやるべきこと・やりたいことがあるわけで、そういう意味でももっと密な情報共有と役割分担、スケジューリングが必要だったと私を含めメンバー全員が感じているところだと思います。
特に個人としては全体を把握してから動きたいタイプ、その方が動けるタイプなのにもかかわらず忙しさにかまけてそこを怠ったことが大きな反省です。細かいことを挙げだすときりがないのですが、常に一定のテンションを保つためにも大まかな全体像の把握は私にとって大きな意味を持つので、個人としての反省の原点はここになるのかな、と思います。

ただ(特定のメンバーに仕事を偏らせてしまったこと等の理由からお前が言うなとも思ったのですが、あえて)声を大にして言いたいのは、明確な形をつくって企画を閉じることができたのは大きな収穫だったと、胸を張っていいことだということです。これはプロジェクトの企画に限らずですが、やってみないとわからないことというのは思いのほかたくさんあると思います。たくさん考えることも大事なのですが、やってみる、そしてやりきることの難しさとそこから得られるものの大きさはなににも代えがたいのではないかと個人的には思うところがあります。
今回の反省を今後のめぐるめ福島班での活動に活かしてもらえたら、私たちがやりきったピクルス企画はもっと意味を持つのではないでしょうか。そのためにも4年生は後輩のためにたくさん伝えられることを形に残して、跡を濁さず卒業しましょう(します!)。

全ての方に感謝!

<次回予告>
次回はけんしんの視点から1年間を振り返ってもらいます。どんな切り口で来るのか楽しみですね。


この記事が参加している募集

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?