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本をめぐる1日

10月最後の土曜日、快晴! 読書の秋ということで、今日はずっと行ってみたかった書店2軒と、知人が主催している本のイベントに出かけることにした。

目的地①夢眠書店(東京・下北沢)

最初の目的地は、下北沢の夢眠書店。
元でんぱ組inc.メンバーのねむきゅんこと夢眠ねむさんが2019年にオープンさせた、「これからの本好きを育てる」書店だ。
場所は非公開、完全予約制で、男性1人の来店は不可。小さな子供やお母さんが安心して本を選べる空間になっている。1日3部制で、各回最大1時間半滞在することができる。

でんぱ組もねむきゅんも好きだったのでずっと気になっていたのだが、人気すぎてなかなか予約取れなそう、という勝手なイメージを抱いていた。が、noteを毎日書くというチャレンジをきっかけに、予約を取ろうと決心。ネットから、意外とスムーズに予約できた。

メールで送られてきた住所に向かうと、「入っていいのかな!?」と躊躇する感じの、普通に人が住んでそうな家が出現。勇気を出して敷地内に入ると、明るい店員さんが出迎えてくれた。

ミントグリーンの看板たぬき

古民家の手前に書店スペース、奥に喫茶スペースがあって、行き来は自由。
ものすごく蔵書数が多いわけではないが、ラインナップはかなり魅力的で次々手に取ってしまう。

ひと通り書店スペースを見てから喫茶に行くと、数名の女性客が本を読んだり食事を楽しんだり、店員さんと会話をしたり、各々の時間を過ごしていた。
古民家を改装したつくりなので、キッチンを囲むカウンターには家みたいなリラックス感がある。私はアップルシナモンカレーのハーフサイズと、本日のプリンをオーダーした。

アップルシナモンカレーハーフ
今日のプリン

アップルシナモンカレーは、スパイスが効いていてお肉の旨味もたっぷり、すごく美味しい。すごく、美味しい!!!
プリンはねっちりクリーミーで、見た目以上にボリュームがある。上に乗っているメレンゲ菓子はズルいくらいかわいく、味も抜群だった。

安心が約束された空間の中で、美味しいものを食べられる。魅力的な本もある。ここはねむきゅんが仕組みを考え抜き、利用者がそのルールを守っているから実現している場所だ、当たり前じゃない。こういう空間をつくりたかったんだな、というねむきゅんの想いがじんわりと伝わってきた。

食事を終えて再び書店スペースに戻ると、ねむきゅん本人が! 嬉しくなって本やグッズをたくさん買ってしまう。ねむきゅんとお話ししながらレジを打ってもらって、本にサインまでもらい、ほくほくの気持ちだ。ちなみに完全予約制でお客さんの人数が決まっていて、人が少なすぎて緊張することも、多すぎてじっくり本に向き合えないということもない、絶妙で快適な空間だった。

書店で紙袋に本を入れてもらうの、好きなんだよな〜
購入したものたちの一部。美味しいものを食べた後だから、食にまつわる本に手が伸びる
著書にはちゃっかりサインを入れてもらった


目的地②エトセトラブックス(東京・新代田)

下北沢から歩いて行ける距離に、これまたずっと行きたかった書店がある。フェミニストの声を届ける書籍や雑誌をつくる出版社、エトセトラブックスが運営する書店だ。
ここにはエトセトラブックスの刊行物はもちろん、フェミニズムにまつわるさまざまな書籍が置いてある。

新代田の駅前。絶好の散歩日和〜!
エトセトラブックスの外観

新代田駅からほど近くにあり、内装は海外のショップみたいに洗練されていて心地いい。
「フェミニズム」と聞くとちょっと身構える人もいるかもしれないが、ここにはやわらかくしなやかな空気が流れている。

日本の書籍はもちろん、洋書や韓国のフェミニズム本、子供向けの書籍までさまざまなタイトルが並ぶ。
書棚を眺めていると、女性が自由に心地よく生きるために尽力している人たちの存在を感じ、心強い味方に囲まれているような気分になった。この世のジェンダーを取り巻く事象はウンザリするような事だらけだけど、ここにいるだけで何だか勇気が湧いてくる。

ここでは上野千鶴子さんの『フェミニズムがひらいた道』(NHK出版)を購入。店頭の「ご自由にお取りくださいコーナー」にかわいいビーズネックレスがあったのでありがたくもらい、歩きながら早速着けた。

ビーズネックレスきゃわ〜
ブックカバーには「I READ FEMINIST BOOKS」の文字。電車などで読むときに、周囲の人にフェミニズム本を読んでいることを主張できるように、という目的があると、代表・松尾亜紀子さんのインタビューで読んだ気がする(あいまいでごめんなさい)


目的地③TOKYO あ〜あBOOK FAIR(東京・早稲田)

天気もいいし、店主の想いを感じる素敵な書店たちに出会えて気分がいい。配信されたてのPodcast番組、OVER THE SUNを聴きながら、本日最後の目的地へ。知人が主催するイベント、「TOKYOあ〜あBOOK FAIR」だ。

今日、10月29日は清澄白河の東京都現代美術館でアート出版のイベント、「TOKYO ART BOOK FAIR(TABF)」が開催されている。毎年かなりの人気を誇るイベントで、出展者も来客も多い。
その裏でひっそりと?開催されているのが、〝TABFに出たくても出られなかった、ちょっと残念な本の闇市”「TOKYO あ〜あ BOOK FAIR」。その名の通り、シャレにみたいなイベントなのだが、これを大の大人が何年も続けているんだから本当に奇特だと思う(褒めている)。

早稲田駅から徒歩5分ほどの会場、「ストアルームいい」には17の出展者がいて、たくさんのお客さんで賑わっていた。

会場だよ

本やZINE、イラストなどの作り手と直接話せるから、ひとりで書店に行く時とはまた違う出会いがある。「日本仕事百貨」という一風変わった求人サイトを運営する会社の社長の本や、編集者・徳谷柿次郎さんの自叙伝的書籍などを購入した。

最近は本をamazonで買うことも多いけど、作り手と言葉をかわして、直接受け取った本は特別だ。ひとつひとつの買い物にちょっとした思い出が乗っかるのっていいなと思った。

豊作〜

イベントを堪能した帰り道、手を繋いで歩く老夫婦に出会い、素敵な気分に。そして今、大学時代にたまに行っていた大好きな喫茶店、カフェ ゴトーでセイロンミルクティーを飲みながらこのnoteを書いている。ここはケーキが美味しいので、帰り際に1つテイクアウトしていこう。

いい1日でした

本のおかげでいい1日になった。帰ってからもしばらく、この本達によって私には楽しい時間が約束されているも同然だ。はっはっは。世の中にはこんなにも本好きがいるのだ。彼らの静かで力強い情熱に触れて、まだまだこの社会も捨てたもんじゃないぜ、と思うのだった。

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