本を持ち、旅に出る。
私は旅に出る時、必ず文庫本を鞄にしのばせる。
読書において、「どんな本を読んだか」は、言うまでもなく大切だ。
加えて、その本を「誰と、どんな時に、どんな場所で読んだか」も、非常に大切な要素だと思う。
本棚に並ぶ背表紙を、ふと眺めているとき。
この本は、学生時代にあの人から勧められて読んだな。
この本は、旅先の小さな書店で偶然出会って読んだな。
そんな、所持する本にまつわる”自分だけのエピソード”を、思い浮かべる時間は幸せだ。
私は、移動時間や待ち時間に、本を読むことが多い。
旅は、移動時間や待ち時間が多く発生する。そんな旅に、本を携帯しないわけにはいかない。
私は、旅先に何の本を持っていったか、必ず記録(記憶)するようにしている。
それは、後になって再びその本を手に取ったときに、「これはあそこを旅した時に読んだな」と、旅の記憶に想いを馳せることができるからだ。
本が、旅の風景の扉を、再び開く鍵になる。
旅に持っていく本は、なんでも良い。
旅先の風土や歴史に関する本でも良いし、ただその時の自分が読みたい本でも良い。
持っていく本にルールを設けない方が、自由で予測不能な、本物の感動が得られるような気がしている。
旅に出るときのマイルール、「何か1冊、本を持っていく」こと。
ここからは、私が実際に旅先に持って行った本の写真を載せてみる。
本と風景の写真を並べているだけだが、#旅のフォトアルバムとして、お楽しみいただければ幸いである。
新潟旅×村上春樹『女のいない男たち』
里山十帖×原田マハ『〈あの絵〉のまえで』
軽井沢旅行×本多孝好『MISSING』
岩手旅×宮沢賢治『イーハトーボ農学校の春』
宮城旅×伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』
シンガポール旅×寺山修司『家出のすすめ』
本を持ち、旅に出る。
次は、どこに何の本を持っていこうか。
これを考えている時間もまた、幸せである。
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