見出し画像

麻酔科のお昼いっておいで=「30分休憩」

「お昼休憩にいってきてください!」

同僚の麻酔科医がお昼の交代に来てくれました。
さて、あなたは何分休憩しますか、、?


麻酔科のお昼は短め

画像1

この時の休憩は長くても約30分です。

麻酔科医の多くは30分休憩できたら

「ゆっくりごはん食べられたなぁ。歯磨きまでできた。」

と感じます。

ここで
麻酔科医のお昼感覚についての
アンケートをひとつ紹介します。
twitterで「お昼休憩はどのくらいか」問いかけたものです。


30分以下が約85%という結果でした。

多くの麻酔科医が、
お昼の交代をすると「30分以内には戻ってくるかな」と
無意識に思っています。

なので
それを過ぎると
「あれ?帰ってこないな、、。」
と感じます。

麻酔科研修あるあるですね(笑)
帰ってこない研修医とそれを待つ麻酔科医。

お昼感覚はそれぞれなので、

●指導医はちゃんと時間を伝える。
●研修医はいつまでに帰ってくればよいか確認する。

が大事です。

ただし
世間的には60分後を選択した10%の人が正解です。

医療業界では全く守られていないと揶揄される労基準法では、
フルタイム労働の人は1時間の休憩が義務付けられています。

労働基準法34条1項
使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

実際、1時間まるまる休める手術室は稀です。

おお、ブラック。


麻酔科のお昼は基本的に交代制

麻酔科医は手術の麻酔をしているわけですが、
その場を離れてご飯を食べに行くには
交代要員が必要になります。

交代要員はお昼休憩専用の医師ではありません。
交代が終わるとそれぞれの業務 (主に麻酔)にはいることになります。
1人1時間の休憩をとっていると、
手術室が回らなくなってしまいます。

大きい病院では交代要員がいることが多いですが、
小さい病院ではそこまで麻酔科医がいません。

え?じゃあどうやってご飯を食べてるんだ?

解説していきますね。
まずは一般的な交代制のお昼の話から。


交代要員がいる大きい病院の場合

画像2

交代要員の麻酔科医が順番にお昼交代にいきます。

麻酔業界では人数が多くなると、
その日の麻酔科医の仕事をマネージメントする
麻酔科マネージャー(リーダー)が出現します。

マネージャーの采配で、
全員がお昼が取れるようにしていきます。

食べ物の恨みは深く、
食いっぱぐれが出ないよう調整するのは
マネージャーの重要なミッションのひとつです。(笑)

手術室数が多いので、交代開始は11時頃からと早め。

またもアンケートを紹介します。
交代開始時間についてです。

9割以上が11時台からのスタートです。

食堂に食べに行くとまだ開店したてでがらがら。
売店にはお弁当がずらりと並んでいる状態です。

30分単位で1〜2時間ほどかけてお昼交代をしていきます。

忙しいと

「5分で戻ってきて!」

なんてこともあります。

5分で何を食べればいいんでしょうね(笑)
カップ麺が完成する頃には終了です。


交代要員がいない小さな病院の場合

画像3

さて、交代要員がいない場合は
1人で麻酔をかけながらなんとかご飯を食べます。

運良く手術と手術の間があけば
そこで食べます。

あとは手術中の落ち着いているときに
手術室を「抜け出して」食べるほかありません。

抜け出すといっても、
患者さんの状態は監視しながらになります。

麻酔科医の休憩室は
手術室の中、あるいは隣にあることがほとんどで

●手術室の様子を映し出すカメラ映像
●心電図などの生体モニター

が見れるようになっています。

遠隔で監視を続けながらご飯を食べるわけです。

これまた労働基準法にひっかかる案件です。

労働基準法34条3項
使用者は、第1項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

つまり、休憩中は労働から開放されている必要があります。

法律的にモニターしながらの休憩は休憩ではないのです。

慣れるとなんてことはないのですが、
確かに解放はされていませんね。


食べない、という選択肢

画像4


もう「食べない」という人も一定数います。

お茶を飲む程度はするけど
食べ物は食べません。

●眠たくならなくていい
●集中力が維持できる

という意見もあります。

私はお昼はとりたい派なので、
試そうとは思いません(笑)

*2021/03/01追記
ところが最近、
「おためし」でお昼を食べない生活をしています。

きっかけは下記の本でした。
糖尿病の専門医である青木厚先生の本です。

簡単にまとめると、
16時間以上の空腹時間で、
細胞内の古くなったタンパク質が、新しく作り替えられて(オートファジーといいます)体の調子がよくなる。
というもの。

たしかに
体が軽くなった感じがするし、
集中力もあがって、食後の眠気もない。
いい感じです!

さいごに

さて、ここまで麻酔科医のお昼事情についてお話してきました。

こうして書いてみると非常にブラックでしたね!

労働基準法的には
「休憩時間」は「連続した1時間」である必要はなく、
こまぎれに合計1時間でいいのです。

余裕がある日はちょこちょこ交代して
そのくらいは達成できている、、か、、な、、。
みなさんは休憩できていますか?


最後までお読みいただきありがとうございました!
また次回もよろしくおねがいします。

お読みいただきありがとうございます!頂いたサポートはコンテツ作成に還元していきます。よろしくおねがいします。