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公園で遊んで、こどもたちからお話しを聞いてきました。

先日、去年完成したベルリン北部の公園に行ってきました。
私が働いている遊具製造会社の遊具が設置された公園です。

私は普段よくジョギングをするので、その時にいろいろな公園に行って、遊具で遊んでいるこどもたちや一緒にいる大人たちに声をかけて、その公園の好きなところや好きじゃないところ、よく来るのか、こどもの年齢、家から公園までの距離、他でよく遊ぶ公園についてなど、いろいろと話を聞かせてもらいます。

毎日公園や遊具のデザインをしていますが、設営が終わった後の公園に関する情報は、私たちのところにはほとんど入ってきません。市や学校の要望に沿ってつくられた公園でも、こどもたちのアイデアや希望をもとにつくられた遊具でも、こどもたちが楽しく遊べているのか、どんな風に遊んでいるのか、一緒に公園に来ている大人も快適に過ごせいてるのか。。。実際にどうなのか、公園に出向いてみんなに教えてもらっています。

そして、私も一緒に遊びながら、いろいろと実感します。湖のほとりで滑り台を滑るってこんなに気持ちいいんだなぁ、とか、緑に囲まれて思いきりぶらんこで遊ぶってこんなに開放的な気持ちになれるんだなぁ、とか、雲底やのぼり棒ではこどもたちには敵わないー!とか。遊びながら新しいアイデアが生まれることも多々!
(みなさんもぜひ、こどもの遊びの妨げにならない程度に、また早朝や日没前などこどもがいない時間帯に、時々公園の遊具で遊んでみてください!雲底、のぼり棒、クライミングウォールやロープの遊具など、かなりいいいエキササイズになると思います。)


今回は、せっかく初めての公園に行くので、友達を誘って行ってきました。
ねずみとチーズがテーマの公園です。

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まだ誰もいない公園に着いて友達と遊んでいると、こどもたちがどんどん遊びに来ました。
普段ジョギングの時にはカメラを持っていないのでお話をするだけですが、今回は写真を撮ることも目的だったので、保護者の方々に不審がられないように、この公園を設計した遊具会社の者だということ、今日は遊びに来ていて、できれば写真も撮りたいと思っているということを説明。みなさん、こどもの写真は、後ろからでも手や足だけでも撮ってほしくないということだったので、こどもが入らない範囲で写真を少し撮ってきました。

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1枚目の写真のチーズタワーのチーズの穴から撮った写真。
奥に見えるのは、小さい子たちでも遊べる遊具。砂遊びができるバケツなども付いています。

ちなみに、ヨーロッパの遊具に関する安全基準DIN EN 1176では、遊具から落ちる可能性がある高さが150cm以上のセーフティゾーン内の地面には、0,2〜2mmの砂または2〜8mmの小石か木のチップかゴム製の柔らかい素材を使用するように定められています。0,2mmより小さい砂は、雨が降って濡れたり何度も踏みつけられたりすると固くなってしまう可能性もあるため、セーフティーゾーン用の砂としては認められません。砂場用の砂にはもう少し細かい砂が使われることもあります。バケツや型に入れて固めたり手で握って球状にしたりしやすいと、おままごとの楽しみも増えますよね。
更にちなみにちなみに、ドイツでは、州によって砂の交換や清掃の頻度が定められています。16ある州のうち、5つの州ではその頻度が定められておらず、残りの州では1年もしくは2年毎と推奨されているところと定められているところがあります。

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ここにも、チーズ。

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この公園にはところどころにねずみがいます。ブランコのポールにも。
皿形のブランコは、みんなで遊べて大人気!こどもたちがいなくなった一瞬のシャッターチャンスを逃しませんでした。ここは地面が砂なので難しいですが、車椅子のこどもも、ここまで抱えてきてもらえればこのブランコで遊べます。

こどもたちが写らないように写真を撮ってきたのでうまく撮れていませんが、1枚目の写真の奥の方のスロープで、車椅子でもチーズタワーの中に入って遊べるようになっています。中には、触覚を刺激したり、管を通して離れたところにいるお友達とお話をしたりできるような遊びが隠れています。


この近所に住んでいるお母さんとお話しをしていると、終わった頃を見計らって、3歳の男の子が話しかけてきてくれました。

「ぼく、〇〇(名前)、3さい。このこは、いもうとの〇〇(名前)、2さいだよ。」

わぁ、嬉しいー!
私が遊具で遊んでいて、みんなとお話しがしたいのが分かって、お話してきてくれたのでしょうか。それからおしゃべりしながら付いて行って一緒に遊んだのですが、小さい体で、大きなチーズタワーのクライミングウォールもネットもすいすい登ったり降りたり。遊びながら、いろんなことをお話してくれます。

「ここ、よくくるの。パパとママと〇〇(妹)とみんなで。たのしいよー。」

と。

ここでまた、ちなみに、安全基準DIN EN 1176では、3歳以下向けの遊具と3歳以上向けの遊具では、プラットフォームの高さや落ちる可能性のある箇所の幅など、基準が異なります。3歳以下と3歳以上向けの部分がくっついている複合遊具では、「ここをクリアできる子はこの先に行っても大丈夫」といったような見えないフィルターをつくります。
年齢はあくまで遊具をデザインしたり安全点検をしたりする際の基準に過ぎないので、この男の子のように、大きい遊具でも怖がらずにすいすい楽しそうに遊んでいる子もよく見かけます。

チーズタワーの大きな滑り台からシューっと滑り降りると、ブランコに乗ってお父さんに押してもらっています。

「もっとはやくー!もっとはーやーくー!!」

私は、ブランコは「高く」と言っていたと思うのですが、ドイツのこどもたちは、「速く」と言います。確かに、高くこげば速くなりますよね。日本とドイツの違いでしょうか?他の国ではどうなのでしょうか?

「ぼくね、このまえね、おひるごはんにここでトマトソースのスパゲッティ(多くのドイツのこどもたちの大好物)いっぱいたべて、それからすぐにすっごくはやくブランコこいできもちわるくなって、スパゲッティもどしちゃったのー!あははははー!」

と、とっても楽しそう。お父さんに、大きい遊具でも怖気ないしとってもアクティブですね、というと、

「体を動かすのが大好きでね。ブランコもこっちの腰が痛くなるほど押しても飽きなくて。娘も2歳だけど、妻では弱くてダメらしくて、いつも私が2人とも押す係になるんです。ははは。」

と、嬉しそうに話してくれました。滑り台、ブランコ、クライミングは必須だから、どれもあってなかなか飽きずに遊べて楽しい、とも。
砂はたっぷりあるけれど、枠に囲まれた砂場はないこの公園。このお父さんはこの後、足で砂に直径2mほどの円を描き、その中に砂遊び道具を出すと、こどもたちが大喜びで砂遊びを始めました。
わぁー、上手だなぁ、と感心してしまいました。


また、3歳の男の子と遊びに来ていたもうひとりのお父さんも、いろいろお話してくれました。

・Googleマップでこの公園を見つけて来た。
・歩いて来れる範囲にもうひとつ公園ができて嬉しい。
・影がほとんどないからこれから暑くなってくるとお昼や午後には遊びに来れなくなるかも。
・近くにあるトラクターの遊具がある公園は息子がだいすきでよく遊びに行っていたけれど、メンテナンスのために去年から封鎖されてたままで遊べない。
・もうひとつよく行っていた公園は、大きな木がたくさんあるおかげで影はあるけれど、その木の根っこがぼこぼこ浮き出ていて、引っかかって転ぶと危ないからと、ここも閉鎖されている。

ふむふむ。封鎖中の公園など、私が変えられないこともいろいろありますが、生の声を聞けるととても勉強になります。

この男の子は、去年大きい遊具から落ちて肘を骨折したけれど、また遊べるようになったから、今日遊びに来た、と話してくれました。お父さんの話では、転落して骨折してから公園になかなか行きたがらなくなっていたけれど、このネズミとチーズの遊具を見て、遊びたくなったそうで。

近所に住む5歳と6歳の女の子も、全部チーズになっていて楽しい!と話してくれて、ねずみになってかくれんぼをして遊んでいました。家から近いし、よく遊びに来るそうです。

私は個人的にはテーマの決められていない公園が好きなのですが、こどもたちにはやっぱり喜んでもらえているんですね。


その他の保護者の方たちからの声としては、

・遊具の近くに座れる場所がたくさんあるのがいい。
・少し離れた場所にベンチがあるから、休憩したり軽く食べたり飲んだりできるのもいい。
・小さいこども向けの遊具がもう少しあるといい。
・トラムの駅から近くていい。
・普通のブランコと皿形のブランコどちらもあるのがいい。

などがありました。

たくさん遊んで、こどもたちが遊ぶ様子も見れて、いろいろなお話ができて、楽しくて充実した1日になりました。また別の公園にも行ってお話を聞いてこようと思います。


長い文章、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!


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