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何気なく耳に留まったことが今につながっている 一 アルド・ファン・アイクの公園

私は今、公園と遊具のデザインの仕事をしています。

田舎で育った私は、公園よりも山や田んぼで遊ぶことの方が多かったし、年上のやんちゃな男の子たちがいる近所の公園が怖くて好きになれなかったし、遊具に関わる仕事をするなんて思ってもみなかったのですが。

ドイツのハレという町で遊びと学びのデザインを学び始めた一年生の頃、何の講義だったかも覚えていないくらいあまり興味のない内容だった中、ふっと耳に留まった、オランダの建築家 Aldo van Eyck/アルド・ファン・アイク

彼は子どもたちを社会の不可欠な存在とし、第二次世界大戦直後から、街の中、そして日常にとけこむ遊び場を700以上デザインしました。
人と人とのつながりを目的として作られたその遊び場は、住民が集まる場になっていったそうです。

公園のフェンスをなくし、ケージのようなイメージを払拭。
程よい高さで幅の広いコンクリートに囲まれた円形の砂場は、砂遊びだけではなく、コンクリートの上を走ったり、上ったり下にジャンプしたりもできるし、大人がそこに座ることもできる。
地面の素材も色もデザインし、周りに融合。

時代を感じさせない彼のデザインは、時が流れても魅力的です。

"If we create a playground well, we create a world in which people rediscover what is essential, in which the city rediscovers the child. We must not ask the child to discover the city, without at the same time wanting the city to rediscover the child."     - Aldo van Eyck
「遊び場をうまくつくるということは、人々が必要なものを再発見し、街が子どもを再発見する世界をつくるということ。 街が子どもを再発見することを望まずに子どもが街を発見することを求めてはいけない。」   -  アルド・ファン・アイク

私は彼の考え方と美しいデザインに惹かれて、見つけられる限り情報収集し、彼のデザインについて学びました。

今思えばあれが、「遊具デザイン」「遊び場デザイン」との出会い。

そして、アルド・ファン・アイクのことも遊具デザインのこともすっかり忘れていた数年後、ご縁あって今、公園と遊具のデザインの仕事をしています。

スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式でのあの有名なスピーチでも言っていたように、点と点がつながったんですね。

あの頃は遊具に関わる仕事をしようとは思っていなかったけど、アンテナにぴんっ!と引っかかってあの時学んだことは、今確実に役に立っています。

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