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ガセ大陸の謎 -③幻の幕府

前回、パンテラの偽Tシャツを着用し、天城越えを熱唱しながらボロボロのアイコスを1円スタートで複数出品していた本誌特別調査チームは、ガセ大陸最強のガーディアン(守護神)と言われるヤツ(YATSU)に遭遇。ビックリマンチョコでお守りを引いた時に匹敵する衝撃に、全米が失禁。設定も着地点も何も考えないまま対峙する事になった。

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「・・・アンタラ、ダレヤネン」

まるでロボットの様な、ロボットらしい、ロボットじみた声だ。恐らくロボットだろう。

「このポンコツデカぶつ野郎!」

本誌特別調査チームの隊長、真田幸町(44)の冴えわたるその一言に、副隊長の大島照夫(39)は号泣しながらスリッパで隊長の頭をひっぱたいた後、冷静な問いかけをした。

「セクキャバどこですか?」

ついてきてよかった。この二人は歴戦の勇者としてガセ大陸の伝説となるだろう。いずれ私が副隊長か隊長になるとすれば、この勇者たちを目標としよう。

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二人にドロップキックをお見舞いし、ポンコツデカぶつ野郎に土下座して謝ったところ、クイズの正解時に鳴るあのお馴染みの「ピンポン!」という音が聞こえた。

「セイカイ・・・ヨウコソココへ、アソボウヨパラダイス

どうやら歓迎された様だ。すると隊長が優しいまなざしでささやいた。

「新入りにしては中々やるじゃねぇか」

私はこの編集社に18年居るが、隊長は入社2年目。実力派の言動は重みがある。

何をしに来たか忘れそうなころ、本来の調査の一環として、そもそもこの大陸の残りカスみたいな島は何なのかをポンコツに聞いた。

「ココハ、カツテムータイリクト・・・」

どうやらムー大陸との戦争の際、戦争のやり方を知らずにムー大陸に聞きに行き、聞き終わったのちに宣戦布告。すべての攻撃を完璧に見抜かれ白旗を上げたと言う。

ガセ大陸の攻撃は当たらず、ムー大陸も何もしてこなかった為、犠牲者は一人も居なかったが、終戦後の打ち上げで飲み過ぎて酔っ払った兵士がテレビのリモコンと間違えて押した「緊急脱出ボタン」で、打ち上げ会場ごと宇宙へ飛び立ち、人間は全員行方不明になったと言う。

「なるほど。で、キャバクラ幕府が出来上がったと」

いつになく真剣な鋭い眼光で隊長が切り出したので、恐らく何か重要な事なのだろう。ハリセンを取り出そうとした時、ポンコツが口を開いた。

「ナゼソノコトヲシットルンヤ・・・」

ポンコツの目が強く光った次の瞬間、凄まじい速さで案内人のアン・シナナイ氏(34)がママチャリで来た。

「そこから先は別料金よー」

最初の料金をいつ払ったかのかもよく分からないが、触れない方がいいだろう。3人分で300ドルを支払うと、それぞれキャベツの芯を渡された。

「毎度ーおおきに」

金を受け取ったアン氏は目にもとまらぬ速さで去っていった。

「コッチヤ・・・」

ポンコツがボロボロの巨大なマンホールを持ち上げると、地下へ続く階段が現れた。キャベツの芯をかじりながら恐る恐る下ると、最近まで使われていたかの様なレールが敷かれた地下道へたどり着いた。

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「2ジカンシタラモドッテクルンヤデ・・・」

これまでの情報には無かった謎の地下道とキャバクラ幕府。3人のおっさん探検隊はおもむろにスマホを取り出し、至近距離でオンラインチャットをしながら奥へ進んだ。

つづく


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